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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第76号

腰痛 -人間の宿命-

人間は四足歩行から二足歩行になったことにより、頸椎、腰椎に過度の生理学的な湾曲が生じ、それに伴って肩や首の痛み、腰痛が出現することになりました。
脊柱は体を支える柱であると同時に、その中をはしっている脊髄を保護しあい、動きに対して安定性を保つ働きをしている。
また脊柱は多くの椎骨とその間にある椎間板が連絡しあい、安定性、可動性を保っています。
腰痛は変形や神経の圧迫、背筋のけいれんなどによっておこり、一般的には老化をともなって増悪します。
日本では以前"四十腰"などといわれていたようですが、ある程度年齢がいってから腰の痛みを訴える者が多かったからでしょう。
しかし、最近は肥満や運動不足などが原因で筋力低下がおこり、若年層において腰痛が増加しはじめています。
中には10代で椎間板ヘルニアを発症し、腰痛に悩んでいる人もいます。

アメリカのエバンス医師はある論文に3つのことを記載しています。
1.腰痛が起こる原因としては人類が脊柱を単なる支柱としてみなしている事である。脊柱は非常にしなやかで大きな可動性がある構造物である。
ただし、その使い方を誤ると腰痛がおこる。
2.人類が直立二足歩行を獲得した時から、腰痛という特殊な症状が生じたとみなされ ている。人類は少なくとも500万年間は直立二足歩行をしてきているが、人類が 腰痛に悩むようになったのは少なくともここ1万年位にすぎない。
では、どうして腰痛がおこってきたのか?
上肢を使って物を拾い、それを別の場所に移動させる習慣が生じたためである。
物を正しい姿勢で持ち上げても次の場所に置く時、骨盤を固定して体幹を回旋する 動作を行えば、物を持ち上げる要因意外に腰痛が生じるということです。
3.重い物を持ち上げることだけが腰痛を引き起こす原因とみなされていることです。 重さは軽いが、かさばっていたりして扱いにくい物を持って、上体を回旋すること も腰痛の原因になります。
エバンスは腰痛の本性が二足歩行によって生じたものではないと記載しているが、物を持ち上げ回旋したりする動作は二足歩行によって得られたもので、人間が二足歩行を得たために宿命として腰痛が生じたものと考えるべきでしょう。
又、随分前の号ですがやはり腰痛について書いたときのことも付け加えますと、物には耐久年数があり、人間の寿命が短かった時にはこの耐久年数以上を越える人が少なかったということです。
医療の進歩が寿命を伸ばし、本来の耐久年数以上を生きるようになると電化製品と同じで色々な問題がでてきます。
たった一つだけの自分の体ですから、大切に扱うようにしましょう。

骨の異常(弱き骨)

カルシウムやリン酸が不足し、石灰化ができない状態で骨が柔らかくなる病気を骨軟化症といいます。
子供の病気のくる病もこれと同じです。
これはビタミンDの不足の他、腸からのカルシウムやリン酸の吸収が悪い時や、腎臓の病気でリン酸が尿の中に出てしまう時などにおこります。
一方、骨芽細胞による骨を作る力と破骨細胞による骨を壊す力のバランスがくずれ、壊す力が強くなり骨の成分がそろっていながら、骨の量が減っていく病気が骨粗鬆症です。
鬆は古くなった大根がスカスカになる"す"の状態を示すもので訓読みでは「す」ですが、音読みでは「しょう」になります。
軽石のように骨にたくさんの孔があいて弱くなってくるので、骨多孔症の方が本当はわかりやすいと思います。
英語では"osteroporosis"といい、"osteo"の「オステオ」は骨の意味で"poro"の「ポロ」は孔の意味になります。
この病気は人間の病気の中で大変多いもので、老人の腰痛のおもな原因になっています。
転んで手をついた時に手首を骨折したり、尻餅をついて腰の骨を骨折したり、またお尻をぶつけて大腿骨のつけねの骨折を生じたりします。

原因は、原因のはっきりした続発性のものと、はっきりしない原発性のものになります。原発性の骨粗鬆症は別名「老人性骨粗鬆症」といわれ、中年以降に発症します。特に閉経後の女性に多く、痩せ気味、カルシウム摂取不足、アルコール過剰、運動不足、糖尿病、喫煙が危険性を増大します。
近年、ジョギングによって加齢に伴う骨量の減少がある程度押さえられることが中高年ランナーを対象とした研究で明らかになってきました。
しかし、長期的な研究をみると男性ランナーは明らかに骨量の減少が少なくなっているのに対して、女性では個人差が大きく必ずしもランニングでの運動負荷が骨量維持に好影響を及ぼしているとは言い難いとの報告がみられています。
男性に比べ、女性の方が骨量を維持するメカニズムは複雑で、女性にとって避けることのできない宿命的な病気なのかもしれません。
軽い散歩などは骨量を維持することはできないとの報告がみられます。

ヒトとサルとの違い

ヒトとサルはともに進化した脊椎動物でいくつかの共通の特徴があります。
しかし両者の間には明らかに解剖学的差異、すなわち人間の特性があります。
まずヒトは二足歩行に適した骨格の変化がみられます。上肢は短く、下肢は長くなり内臓を支える骨盤は広くなっています。
ヒトの脊柱は全体にS状に湾曲しており、サルでは弧状になっており弾力性もヒトの方が数段上回っています。
頭蓋骨も脳の部分と顔の部分の比をみるとヒトは脳の部分が大きく、サルは顔の部分が大きくなっています。
脳の容量はヒトでは約1400ml、ゴリラは600ml、チンパンジーは400~450mlです。
ヒトは顎の突き出しが少なく、サルのような鼻面をもちません。ヒトの下顎骨はサルに比べると半分位になっています。
手の使用によって物を食べるため、咬筋はヒトの方が退化しています。
歯の並びもヒトは半長円形になっているがサルでは梨状形になっています。
犬歯はヒトは退化し小さくなっていますが、サルでは大きく攻撃的な武器になるよう大きく鋭くなっています。
人間の手も正中神経が麻痺すると猿の手に似た形になりますので、猿手といわれています。

運動オンチ

「私は運動オンチでにぶい」という言葉を聞くことがあります。
これは運動神経がにぶいのでしょうか。
解剖学的にみると、運動神経は脊髄の前角からの神経細胞からでる神経繊維と灰白質からの自律性運動繊維からできています。
この神経の役割は脳からの運動指令を筋肉まで伝達することです。
運動オンチはこの神経が悪いのではなく、筋肉の動くタイミングに問題があるようです。
運動を行うときに必要な筋肉は300個くらいあり、それらがうまく動くことによってスムーズに運動ができるようになります。
正確に運動を行うためには、それに参加する筋肉が適切な収縮のタイミングで動き、それにまつわる筋肉の選択的サポート、また拮抗する筋肉のタイミングがうまくコントロールされなければならない。
その筋肉への伝達は非常に複雑で、随時、運動をコントロールすることはできません。運動の総司令は大脳皮質の運動領野にあり、そこには今までの運動がすべてプログラミングされています。
何らかの運動をするときに、そのプログラムが使用され、その上に新しい筋肉伝達システムが作動し、上達するということが可能になります。
ただし、赤ちゃんが歩くようになるという過程は、このプログラムとは異なり人間としての本能行動に基づいています。
有名なスポーツ選手であっても、そのスポーツを始めたころはぎこちない動きで未熟な運動技術でしかありません。
しかし、彼らは運動領野にプログラミングされる時間と正しい運動技術を獲得するまでの達成時間、さらにその修復能力に優れているのです。
すなわち、これが凡人と違う所です。
たとえ、運動オンチといわれても根気よく繰り返し運動学習を行えば、いずれは正しい運動技術を可能にするプログラミングが作成されます。
しかし、マイケル・ジョーダンのように華麗なバスケットをしたいと思うならば、凡人である私達では彼の100倍の練習量と時間が必要になります。
この100倍という数値の根拠は脳生理学の研究により、神経伝達速度、伝達能力、大脳皮質の運動領野における細胞活性度などから割り出されました。
脳に蓄積されるプログラムは一般的には中枢プログラムと呼ばれており、その獲得時間にはかなり個人差があります。
又、いったん獲得されたプログラムを修正する能力にも個人差がかなりあります。
正しい運動技術を遂行できるようになるまでには、並々ならぬ学習時間が必要になるわけです。
運動オンチとは中枢プログラムが運動しようとする動作に対して、不正確であったり未完成であるためにおこることです。
世界的なスポーツの祭典であるオリンピックは何故、4年に一回催されるのでしょうか。
一流といわれる人が超一流になるために機械を使わず、プログラムの書き換えを獲得するのに、1000~1200日が必要とされているからです。
故にオリンピックは4年に一回催されることになりました。