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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第74号

感染するとは?

現在はいたるところに病原菌がいっぱいいます。
すきあらば人の体の中に侵入して、自分のコピーを増やそうとねらっているのです。そして人間の免疫機能の防御をすり抜けるテクニックを磨いています。
では、病原体はどのようにして人体に侵入しているのでしょうか。
結核、麻疹などは咳と一緒に菌が口から飛び散り人体に侵入します。
オウム病などは菌がついたゴミから侵入し、コレラ、チフス、赤痢などは水から感染するため、時として大流行を起こします。その為水系伝染病と昔から呼ばれています。昆虫から感染することも多く、ペストはノミ、日本脳炎はコガタアカイエカ、マラリアはハコダラカ、発疹チフスはシラミ、ツツガムシ病はツツガムシ(ダニの一種)によって起こります。
昔からこの感染経路を絶つことに力を入れてきましたが、ジェンナーの種痘によって始まったワクチン療法が功を奏し、予防手段をとることが軽視されてきました。
さらに20世紀中頃より抗生物質が発見され、感染症の脅いは少なくなってきました。でも最近こうした古典的な感染経路とは根本的に違う経路が発生しています。
それは、抵抗力が弱った患者さんの体内に生息している常在菌によって感染が引き起こされているということです。
常在菌というのは皮膚、腸、口、脳の粘膜に常在している菌で医学的には「正常細菌叢」と呼ばれているものです。
こうした常在菌は普段は宿主である人間に害を与えず、一定の共生関係を保っています。ところが病気で体力が弱ってくると常在菌が強くなり、感染を起こすことになるのです。
以前は院内感染の原因といえば緑膿菌が圧倒的に多かったのですが、現在はMRSA(メイシリン耐性黄色ブドウ球菌)によるものが増えています。
もう一つ、最近問題になりつつあるのが垂直感染といわれる経路です。
一般的には感染は人間から人間に感染する時も、動物、昆虫から感染する時も、個体から個体に感染する平行感染です。
これに対して垂直感染とは母親から子供に感染することです。
母子感染と呼ばれることもあります。
母親の体内に存在する菌が妊娠中の胎盤を通して胎児に感染するものと、出産時に産道を通過する新生児に感染するものとがあります。また時には母乳を通して感染することもあります。
風疹、エイズは胎盤内感染をおこし、B型肝炎は産道感染する可能性があり、白血病細胞の一種は母乳から感染します。
人体に侵入する時に何が一番重要かというと、それは病原体が持っている侵襲力です。菌が体内にはいる為には、まず人間が持っている防衛を破らなければなりません。

この防御を破り安い所が人間には6ヶ所あります。
それは人間と外界との境界になっている所です。
(1)皮膚、(2)呼吸器、(3)感覚器、(4)消化器、(5)泌尿器、(6)生殖器です。
体を覆っている皮膚は人間の内側を外界から仕切っています。
感覚器は外界の情報を得るために外界と接触していますし、呼吸器は外界の空気と接触、消化器は食物を介し外界と接触しています。
泌尿器は外界に尿を出す器官で、生殖器において男性は排泄器として外界と接し、女性は出産のことを考えれるとやはり外界と接しています。
これらは色々な形をとり菌の侵入を防いでいますが、なんらかの原因によってそれぞれの防御が壊れた時、又菌がより強くなったりした時に侵入します。
菌は体内に侵入してから増殖することによって発病することが多くみられますが、時として発病しないこともあります。
この発病しないことを不顕性感染といいます。
これは体内にある免疫機能が働くことによって起こります。
菌、ウイルスの侵入によって体内の免疫機能システムが有効に働き、それに対する抗体が作られるからです。
でも感染を防御している免疫機能が体力の低下などによって衰え、抗体を作れなくなりますと発症します。
MRSA感染症はこのような状態から起こる事が多くみられます。

MRSAとは・・・・・

日本は世界でも有数の長寿国といわれるようになりました。
医学の進歩、医療の発達によってなされているわけですが、医療の何が改善されたためなのでしょうか。
最近の死因はガン、心臓病、脳血管疾患がトップ3といわれていますが、戦前は肺炎、腸炎、結核がトップ3といわれていました。

何故このように肺炎、腸炎、結核が減少してきたのでしょうか?
原因の一つに抗生物質の発見が大きな役割をしてきました。
ペニシリン、ストレプトマイシン、クロラムフェニコールといった抗生物質が細菌による感染症との闘いに勝ったためなのです。
それ以後、新しい抗生物質が作られ平均寿命はぐんぐんと伸び、「伝染病」といわれた病気は死語になりはじめてきました。
ところが細菌も人間が考えていたよりも強く、まだ負けていなかったのです。
抗生物質に負けない耐性菌が次々と出現してきたのです。
これが薬剤耐性菌といわれるものです。
この耐性菌は菌の中にプラスシドと呼ばれる遺伝子を持っています。菌が本来持っている遺伝子とは別のもので耐性菌を増やす元になっています。
プラスシドは抗生物質に対する耐性を考え、作り、それを伝達する能力を持っています。現在ではほとんどの抗生物質に耐性を持つ菌が出現しています。
元来、菌は単細胞生物といわれ、細胞膜しか持っていません。
その為、菌は抗生物質を細胞膜の中に入れないようにしているのです。プラスシドはこの細胞膜の所で抗生物質を分解したり、抗生物質の化学構造を破壊して効果をなくしてしまう働きをしています。

MRSAの逆襲

MRSAとは「メチシリン耐性黄色ブドウ球菌」のことです。
これはブドウ球菌の一種でメチシリンという抗生物質が効かない薬剤耐性菌のことです。黄色ブドウ球菌は最もありふれた菌の一つで、傷口の化膿や食中毒の原因になっています。
普通は人命にかかわるような菌ではありませんが体力の弱っている上に抗生物質が効かない事もあり、あっと言う間に増殖してしまい、時に死に至るのです。
MRSAに感染すると発熱、下痢などが続き、その後MRSAが血液に入って増殖し、全身の臓器を侵すことにより死にいたることがあります。

MRSAは治療が非常に困難な病気の一つです。
エイズよりも怖い病気かもしれません。
エイズの予防は比較的簡単にできますが、MRSAの予防はとても困難といわれています。
MRSAはアメリカやヨーロッパでは現在ほとんど消滅しています。
でも日本では今が流行真っ只中です。アメリカやヨーロッパのMRSAと日本のMRSAが少し違っているためと思われます。
日本のMRSAの80%は毒素を持っていますが、アメリカやヨーロッパのMRSAにはほとんど毒素がみられないからです。
また、医療レベルの低い国では、まだMRSAの出現はありません。
今まで感染の主役は緑膿菌でした。
この緑膿菌は普段から人間の皮膚や腸の中に住んでいる常在菌で、抗生物質に対して強い菌でした。その為体力の低下した患者さんを中心に発生してきました。
そこで人間は緑膿菌を叩くてために抗生物質の開発に全力をあげ、1980年台に緑膿菌に効果のある第三世代セファム系といわれる抗生物質を開発し、緑膿菌の時代は終わりました。
ところがこの緑膿菌は以前は、悪役ばかりだと思われていましたが、体の中で善役も演じていたのです。
緑膿菌は黄色ブドウ球菌が勝手に増えるのを押さえていたのです。
その緑膿菌が抗生物質によっていなくなり、抑えられていた黄色ブドウ球菌が増えてくるという、誠に不都合な結果となりました。
自然界の微妙なバランスを破壊したため、今度は黄色ブドウ球菌を迎え撃つことになりましたが、一方的にやられていた黄色ブドウ球菌はプラスシドによって耐性菌になることで生き延びてきましたのでその威力は大きくなっています。
これがMRSAが発生した原因です。

感染症は永遠になくならない!!

次から次へと新しい感染症が出現し、それまで未知であった病原菌が発見されることは、そう珍しいことでは無くなってきています。
「エイズ」、「ラッサ熱」、「エボラ出血熱」、「マールブルグ病」、「コンゴ出血熱」、「ナバホ病」、「韓国型出血熱」、「セリムキ熱」などが報告されています。これらはすべてウイルス感染といわれ、ウイルスは細菌よりももっと小さく、抗生物質の効果も期待できません。
その為、血管の中を流れなければならない血液が血管の中で凝固してしまったり、血管を破り体内の中に出血したりしてショックを起こし死亡します。
致死率は40%とも50%ともいわれ、エボラ出血熱では80%にも達しています。W.H.O(世界保健機構)はこのウイルス感染を危険性に応じて1~4のレベルに分類しています。インフルエンザは2、エイズウイルスは3、またほとんどのウイルスは2に属しています。
そのことからも危険度4に属するウイルスは想像を絶する位危険ということになります。
現在最も危険とされているエボラウイルスはマールブルグウイルス、ナバホウイルス、コンゴウイルスとは兄弟関係にあり虎視眈々と人間を狙っているのです。
こうしたウイルスは人類が存在する限り、次から次へと出現してくるに違いありません。ウイルスだけではありません。細菌も耐性菌となることで人類に脅威を与え、挑戦し続けてくるに違いありません。
人間にとってはこれらの感染との闘いが永遠のテーマとなっていくでしょう。
でもこの闘いに人間は常に勝利者とならなくてはなりません。
大切なことは病気に負けない体力ですので、日ごろから健康には気をつけましょう。