香川県高松市での整形外科・内科・健康診断・予防接種は吉峰病院へ。

English

コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第67号

骨粗鬆症 Q&A

最近骨粗鬆症の治療を当院でされている患者さんより質問が寄せられていますので、今回はそれを取り上げてみようと思います。

Q1.骨粗鬆症は遺伝するのでしょうか。
骨粗鬆症の大部分である閉経後老人性骨粗鬆症は遺伝病ではありません。
しかし、骨粗鬆症になりやすい体質のようなものはある程度遺伝します。
その為、血縁間の女性に(母と娘、姉妹)みられることがあります。
体質とは・・・
太った人より痩せて小さい人に多くみられます。もともと骨も細く、量も少ないので早く骨量減少が始まり相対的に脆くなります。
骨粗鬆症の人をよく観察してみますと皮膚が薄く、血管がよくみえる人に多い様です。

Q2.食習慣によって骨粗鬆症の起こり方が違いますか。
骨粗鬆症は栄養状態の影響が大きいようです。
食事を十分とることが予防する上でも大切です。
太った人より痩せた人に多いのも食事摂取量が十分でないためではないかと考えられますが、蛋白、カロリー、カルシウム、リン、ビタミンD、ビタミンCなど、どの栄養素が原因かはまだはっきりわかっていません。
しかしカルシウムが骨の最も大きい部分をしめているため、鉄分が欠乏すれば貧血になるようにカルシウムが欠乏すれば骨粗鬆症になるという計算になります。

Q3.若い時に予想することができますか。
痩せて、小柄で、皮膚が薄く、血管がよくみえ、食事量が少なく、牛乳がきらい、日に当たらず、運動が嫌い、胃腸が弱い、よく下痢をする、ダイエットをする女性の人は気をつける必要があります。

Q4.骨粗鬆症は人間だけの病気でしょうか。
立って歩く人間にしかみられないようです。
また動物は骨粗鬆症になる年令まで生きることができないためにみられません。
人間の寿命が伸びてきたためにみられる病態で、ある意味では長生き、長寿の勲章でもあるのでしょう。

Q5.骨粗鬆症になりやすい人は動脈硬化になりやすいのですか。
昔は骨粗鬆症と動脈硬化は別の病気と考えられていました。
年を取ると骨からカルシウムが失われていきますが、そのカルシウムは実は骨から動脈に移行しているのです。
ですからレントゲンをみると動脈の石灰化がみられることが多くあります。
通常、動脈硬化は加齢と共に血管に存在するようになりますが、骨粗鬆症により血管を流れるカルシウムの量が増え、動脈のしなやかさが失われると血管に沈着するようになります。そのためレントゲンでみることができるのです。
高血圧は動脈硬化によって進行します。動脈の中のカルシウムが増加すると平滑筋の収縮をおこし高血圧となります。
このように考えますと体のカルシウムの分布が異常になる結果起こるもので互いに関係があります。

Q6.日光は健康に良いという人と悪いという人がいますがどっちでしょうか。
人類は昔より日光の下で生きてきました。
日光に当たらないで生きていくことは不可能です。
日光は自然の恵みといわれ、日を浴び、日焼けをすることが健康のシンボルのように考えられてきました。
カルシウム代謝からいうと皮膚は食物の中のプレビタミンDがビタミンDに転換する重要な所で、日光にあたることによってビタミンDが多くなるのです。
食物の中にもビタミンDは含まれていますが人間の必要量の半分くらいしかなく、後の半分はこのプレビタミンDという形で含まれています。
日光浴をしない人はこのプレビタミンDがビタミンDに変わることが出来ませんから必要量の半分しかとることが出来なくなります。
そうするとビタミンDが少ないため腸からのカルシウムの吸収が低下し骨粗鬆症になりやすくなります。
また夏、海水浴をすると冬になっても風邪をひかないといいますが、ビタミンDの作用の中には細胞の分化促進、免疫細胞の機能促進作用があり、また皮膚の中にはランゲルハンス細胞があって感染に対する抵抗力、免疫に皮膚でのビタミンD合成が重要な役割をはたしています。
その為に風邪をひかなくなるのです。
急に日焼けして皮膚が赤くなったり、水疱ができたりすることは行き過ぎで、これは一種の火傷のようなものですから体によいはずはありません。
またこんがりと焼けて皮膚に色素がたまるとビタミンD合成作用は低下します。
黒人の皮膚は先祖が紫外線に当たり過ぎたために少しでもブレーキをかけるために黒くなったと考えられています。
色の黒いインド人がイギリスで生活するようになると白人よりも日光の利用が出来ないためにビタミンD不足になり、骨粗鬆症が早期よりみられました。
また紫外線に当たり過ぎると皮膚ガンになりやすいといわれていますので、日光の浴び過ぎには注意が必要です。
以上いくつかの質問を抜粋して掲載させていただきました。
幼児期の子供はたくさんの質問を大人にします。
「どうして」とか「なんで」というように好奇心旺盛です。
私はこの好奇心が大好きです。
どうか「こんなこと聞いたらいけないかしら」などと自問自答する前に子供のように「どうして」とお尋ね下さい。
それらの質問に答えながら、私自身も患者さんからたくさんのことを吸収することになるからです。

機能的電気刺激について

おさらいしましょう。
以前にもコスモス新聞に記載しましたが、今回もう一度機能的電気刺激についてお話ししたいと思います。
リハビリテーションとは患者さんの機能障害の回復をはかることによって低下した能力を改善したり、低下した運動機能を再度呼び戻して自立した生活ができることを目的とした医学です。
そのための一つの手段として古くから電気刺激療法が用いられています。
現在の電気刺激療法は治療的電気刺激(TES)と機能的電気刺激(FES)にわけられています。
TESは当院でも行っていますが、筋力低下の予防、筋力トレーニング、痙性の低下、骨癒合の促進、疼痛改善などを目的として行われます。
これに対してFESはなくなってしまった機能を電気刺激により再建を計ることが目的です。
リハビリでは運動の促進、再建のためFESの研究、臨床応用が近年盛んに行われてきています。
脊髄損傷や脳卒中などの中枢性の障害をきたした疾患では末梢の運動神経は壊死におちいっていないため、それを刺激して再建をはかることが可能になってきたのです。電気刺激にてマヒした筋肉を収縮させ障害された動作、把持、起立、歩行などを行わせるのです。
機能的電気刺激には表面に電極をはり(動かそうとする筋肉)通電を行うシステムと経皮的に筋肉のモーターポイントに細い電極を埋め込みポータブル型のコンピューターに通電方法を記憶させ動かすシステムがあります。
この研究がなされてからまだ10数年しかたっていないため、思ったほどの成果があげられていないのが現状です。
理論的には可能ですがモーターポイントの変化、筋萎縮、筋肉疲労などの問題もまだ改善されていません。(またこのようなリハビリ医学では収益があがらないのか大手コンピューターメーカーなどの大企業の参入もないのが残念です。)
何年も歩くことが出来なかった若者を歩かせてあげたい、自分で食事をとったり出来ない人に自分で好きに食べることができるようになれればとの思いがリハビリテーション医学なのです。
少しでも早く実用化されることを望みますが現状ではまだ難しく、近年はHebridFESといわれるように装具とこのFESを組み合わせて歩行をさせる研究が盛んになってきています。
現在アメリカでは、Walk-AboutOrthosis(W.A.O)、ReciprocatingGaitOrthosis(R.G.O)といわれる装具を作製し、その装具を動かすことを目的としたFESが行われています。
FES単独よりも装具と併用するこの研究の方が早く実用化されそうです。
車椅子の人達が何より望んでいた、同じ目の高さでの会話。
目線を上げるのでもなく、下げるのでもない対等な高さの会話。
それはこの装具を装着しての喜びの感想でした。
でも今は研究の段階でスムーズな立ち上がりや動きは望めませんし、装具も大きく着脱も困難ではありますが、確実に研究の成果は上がってきています。
今にもっと小型で軽く、廉価な装具が完成されるでしょう。
片手を失い、義手を装着せざるを得なかった人がいます。
今までは手袋などで義手であることを隠していましたが、最近では皮膚とほとんど変わらない義手が作製されています。
もっと進歩すれば、箸を使うことも字を書くことも出来るようになるでしょう。
もうポケットに手をいれて隠すこともなくなるでしょう。
健常者には想像もできないことが引け目やひがみになります。
強い心で頑張っている人達のために一日でも早い研究の成果が期待されています。
このように現在のリハビリテーション医学は医学だけではなく工学(ロボット工学、電気工学等)の進歩が必須のものとなっています。
アメリカ、ヨーロッパでは大企業がそのような分野にボランティアとして参加していますが、今の日本はいかがなのでしょうか。
これからのリハビリテーション医学の進歩が、たんさんの人々を導く明るい灯台のように輝いてくれることを祈っています。