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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第57号

医師と工学

小学生の頃、電気コテ、ハンダ、ドライバーなどを使いラジオやレコードプレーヤーを作ったりした事がありました。
ラジオを作った時、トランジスターといってもゲルマニウムを使っていました。
何度も分解しては組み立て、やっとの思いで音が出た時は感激したものです。
そのラジオから聞こえてくる音楽を今度は自分で作ったプレーヤーで聞いてみたいという思いからモーター(たぶんマブチ)、壊れたオモチャの自動車のタイヤと乾電池、スイッチ(これも壊れたオモチャの部品)、可変抵抗を使いプレーヤーを作り、好きなレコードをかけて楽しんだ事がありました。

その後、医師には電気工学は必要ないと思い・・・・遠のいていました。
が、とんでもなく医師にも必要な大切な分野であったのです。
以前コスモス新聞に紹介をしましたが、パラリンピックを見て今回もう一度、脊髄損傷者と電子工学についてお話ししたいと思います。
脊髄損傷のような中枢神経の障害は一度損傷が起きてしまうと、もう二度と元に戻ることはないといわれています。(現在の医学では)
現在のリハビリテーションは中枢神経が障害された人には手足のマヒの回復を願って行っているのではなく、残された機能を最大限に利用し、日常生活動作を少しでも自立していただくために行っています。
しかし、彼らの最大の夢はやはりマヒした手足を自由に動かし、元のように食事をしたり、歩いたりすることです。
少しでも歩いたりできるように装具を作り、訓練を行いますが、よろいのように大きく、重く、実用的ではなく、歩けても数メートルが限界のようです。
その為、実用的には車椅子を使う方が、簡単で早く、遠い距離の移動も可能です。
マヒした手足を電気刺激で動かして、機能を取り戻そうという研究が40年前から始まりました。
しかし、大きな機械を必要としたわりには、成果はあまりかんばしくありませんでした。それでも医師、電子工学者達は更なる研究を続け、近年少しずつではありますが、コンピューターの性能の向上、小型(ダウンサイジング)化、医療の進歩などがあいまって、今、夢も現実味をおびてきました。
特にマヒした手足の筋肉の中に電極を埋め込み、コンピューター制御で電気刺激を行い、手足を動かす試みがリハビリテーション医学の分野で盛んになってきました。
具体的には伸縮性のワイヤー電極を経皮的に筋肉内に植え込み、マイクロコンピューターにインプットされた電気刺激プログラムを選んで、スイッチを入れるとマヒした手足がプログラム通りに動きだします。
ここまでは我が国でも可能になってきています。
しかし厚生省の認可をうけた製品も発表されてはいますが、いくつかのプログラムを選んでスイッチをいれるという制御方法であるため実用性に乏しいのが欠点です。
アメリカのFDAに承認された機能的電気刺激ユニットは頸脊髄損傷患者に残された肩の動きを利用して対側の手指、前腕と上腕の筋肉の動きを制御するというものです。これは我が国で開発されたものに比べると実用的な感じがします。
でも費用は高く、腱移行術と外科的に電極を植え込み手術を行わなければならないし、またこれだけ大きなことをする割りには機能的には疑問が残ります。
これから電子工学の発達、すなわちコンピューターの発達、また筋肉用の細胞レベルでの研究等の発展が望まれます。
10数年前、「スーパーマン」で脚光を浴びたクリストファー・リーブという映画俳優をご存じでしょうか。
彼は2年前、落馬事故で頸髄損傷になり、それもレベルの高い所での損傷の為、自分では呼吸も出来ない状態になりました。
このような絶望的な状況にありながら、つらいリハビリを耐え現在は電動車椅子に呼吸装置をつけてマスコミ等に積極的に登場しています。
アメリカの脊髄損傷者の代表として、政府に対して研究費の増額を訴え、世論を動かし、また福祉の在り方を講演したりしています。
それに比べて我が国のリハビリテーションはまだ(医療としての認識不足なのか?)研究も研究費用も乏しくさみしい限りです。
またリハビリテーションは医学だけの研究で可能な分野ではなく、電子工学分野との密接な関係が必要になっています。
国がもう少しこの分野に力を入れて、プロジェクトチームを作り(政治家のプロジェクトチームはすぐできますが・・・)、機能障害に対する研究に取り組まなければならないと思います。
アメリカのフロリダにあるディズニーワールド(日本のディズニーランドの数倍)の中にはこの機能的電気刺激の展示があり、一般の人々の関心をよんでいます。
福祉とは何か、リハビリとは何かを、まだ何も分からない子供たちにもわかるようにとテーマパークの中に設置してあるのです。
リハビリや福祉は普段あまり目につくものでもなく、すべての人の興味を引くほど強烈なインパクトにも乏しいものですが、少しでも興味を持ち、ふれあうことができれば、それが新しい一歩になっていくものと思っています。
看護今昔
看護といわれても、あまりピンとこないのではないでしょうか。
それで看護について取り上げてみようかと思いました。
看護の長い歴史を振りかえってみますと、ナイチンゲールの時代からマザーテレサの時代へと変換していきます。
患者さんの治癒能力を最大限に効果的に発揮させるには、医師による治療と看護婦(士)などのコ・メディカルといわれるスタッフの協力がなければなりません。
日本の看護は第二次世界大戦後、GHQにより新しい変革がなされました。
その時に日本に初めて「看護計画」という考え方が導入されました。
その後、基準看護(ぞくに完全看護)という考え方も導入され、患者さんの自立、それを補うのが看護婦の仕事となりました。
現在、我々の病院では受け持った患者さんの入院から退院までを一人の医師が責任を持ってかかわっていくのとは異なって、看護婦(士)には夜勤など目まぐるしく変わる勤務体制があります。
接する看護婦が変わるたびに対応、対処が変わるのでは患者さんも落ち着かないし、時には不信感も招きます。
ですから、たとえ人が変わろうとも、あたかも一人の看護婦(士)が常時、看護しているような形が出来るようにと努力を重ねています。
病気における色々な問題、日常生活上の問題、精神的な問題などを考え、一貫性のある看護が心地よく受けることができれば、患者さんの治癒能力は最大限に発揮できるものと思います。
その為には看護を行う上での計画を作ることから始めて、様々な問題点に関する情報を共有して、どんな変化にも対応できる柔軟さが必要となります。
ヘンダーソン女史の「看護の基本となる」という書によると「看護婦の独自の機能は健康人であれ、病人であれ各人が健康あるいは健康の回復につながる行動を援助することである。
そのひとが必要なだけの体力と意志力と知識とをもっていなければ、この行動に対して最大限の援助を行うべきものであろう。 またこの体力、意志力、知識がそなわっている人はこれらの行動は他者の援助を得なくても可能であろう。
その時はその人ができるだけ早く自立できるようにしむけるやり方で援助しよう。」
現在の医療は医師の行なわれる治療、看護婦(士)によって行われる看護、訓練士によって行われるリハビリテーション、栄養士によって行われる食事療法などこれらがうまくかみ合っていかなければ、本来の医療はできません。
私たちはどのようにすれば、これらがうまくかみ合っていくかを現在模索しながら奮闘努力しております。

増えて行く現代病

アレルギーというのは基本的には免疫反応の一つです。
免疫反応に異常をきたし、自分自身の組織を壊してしまうのがアレルギーです。
アレルギー(allergy)という言葉の語源はギリシア語のallos(altered異なる)ergon(action反応)が組み合わされたものです。私たちが日常生活を営むうえでみられる生体の反応とはちがった反応を指す言葉といえます。
アレルギーによって引き起こされる症状にはアトピー性皮膚炎、喘息、鼻炎、腸炎、結膜炎、そしてひどい場合には精神的症状も伴います。
現在こうしたアレルギーによる病気が非常に増えてきています。
アレルギー症状の年齢別、地域別に比較した調査では、約3人に1人の割合でアレルギーを持っているという結果が出ています。
大きな特色としては子供に多いということです。
小児期における発生率が高く、その割合も全年齢の平均より高いものとなっています。特に都市部では2人に1人がアレルギー症状を抱えているということが明らかになっています。
では、何故アレルギーは増えたのでしょう。
増加した原因として考えられるのは、栄養状態、環境やストレスなどといった複合的な変化です。
卵、牛乳、肉といった栄養価の高い動物性タンパク質を食べる機会が多くなり免疫系が増強されました。
でも免疫反応が賦活(活性)化するということはアレルギー反応も賦活化するということと同義だったのです。
また環境によるストレス、大気汚染、排気ガス、農薬、食品添加物など数え上げればきりがありません。
郊外でのんびり過ごすのと、都会で神経を擦り減らして過ごすのとではストレスの度合いにも大きな格差があり、神経系がアンバランスになれば、免疫系もバランスを崩していまうのです。
アレルギーはそのため、文明病といわれているのです。
東京医科歯科大学の藤田紘一郎教授の著書「笑うカイチュウ」の中で、サルにも花粉症がみられる書いてあります。でもサルが花粉症にかかる罹患率はここ20年変化していないと書かれてあります。人間の場合は同じ期間で10倍近く増加しているとのことです。この差はいったい何だろうと考察した結果、寄生虫が多く関係しているのではないだろうかという事です。
サルの寄生虫感染率は変わりないのですが、ヒトの場合は駆虫率の普及に伴い70%から0.2%に激減しました。
寄生虫がヒトに感染するとI型アレルギーの原因になる1gEが大量に生産されます。大量に生産された1gEがあるため、体に花粉が入ってきても1gEをつくる能力を使い切っているため花粉によるアレルギーが起こりにくいのではないだろうかということです。ある程度の寄生虫との共生も必要なのかもしれません。