香川県高松市での整形外科・内科・健康診断・予防接種は吉峰病院へ。

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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第55号

これからの整形外科 将来への展望

交通事故、転倒などで骨折をされた患者さんが入院します。
骨折のレントゲンを見ていただき、「この部位をこのようなもので固定をし、ずれをなくして骨がくっついてくれるのを待ちます」、とお話しします。
すると患者さんより、「ところで先生、つかぬことをお聞きしますが骨がくっついたあとは、これをどうするのですか?」と質問がきます。
私は「これは、あくまでも骨をくっつけるための補助的なもので、厳密に言えば生体にとって異物ですから、骨がしっかりくっつけば、どうしても取り除かなければなりません。」とお話しします。
「もう一度、手術をするのですね。」と患者さんから言われます。
骨をくっつける為の手術と、もう一度固定した物を取り除く手術と2回の手術が必要です。患者さんにとって2回の手術は精神的にも肉体的にも時間的にも負担は大きいと思われますが、現在の整形外科では必要不可欠な手術工程なのです。

骨折の手術においては、鋼線、また骨折の部位によっては様々な形に曲げられるプレート、それを止めるネジ、骨の中に差し込み固定する円筒形の釘など、様々な固定材料があります。
それも骨折の部位、折れ方などを考え、一番良いと思われる物を選択し使用します。小骨折の時にもミニプレートとかマイクロプレートと呼ばれている物を使います。
時には骨の変形をなおすために(骨切り術)を行った時にもプレート、スクリューを使用します。
簡単で、固定性が良好な手術が少しずつ増えてきています。骨折によりますが・・・小さな傷で(経皮的に)行えば、抜く手術ももっと小さな傷ですんだり、外来ですぐ抜くこともできます。
小さな切開ではどうにもできない骨折では観血的整復固定術といわれるような手術を行います。
多くは骨癒合後、腰椎麻酔、又は全身麻酔にて抜釘手術(保険上では骨内異物除去術といわれている)を行うことになります。
麻酔の手術によっては入院も必要となり、手術侵襲はもちろんのこと、経済的にも負担になります。
手術を行う側にとっても、特に神経や血管が近くにある時の手術では、瘢痕の中をかきわけてプレート、スクリューを抜去しなければなりません。
これらの問題を解決する骨固定材料が近年登場してきており、保険適応にもなり、少しずつ普及しつつあります。
高強度のポリーLー乳酸(PLLA)のスクリューやピンがそうです。
このスクリュー、ピンの強度はヒトの皮質骨と同等の張力、強さをもっています。
骨の内でも8週後90%、12週後60%の強度を保っており、約2~3年で完全吸収されるといわれています。
吸収の過程は加水分解によって最終的にはCO2とH2Oとなり、この形で体内より排出されるといわれています。
したがってこのスクリューやピンを用いて骨を固定し、2~3ヶ月で骨癒合が得られるならば、抜釘は必要なくなります。
しかしながら現在はスクリューとピンのみであり、使用部位についても大腿骨、脛骨などの大きな荷重や負荷のかかる部位、また骨癒合に3~6ヶ月かかる部位では使用できません。
ですから、あらゆる骨折に使われる状況ではありません。
プレートも現在、研究がなされていますが素材の性質上、自由に曲げたり、加工することができないため、使用が難しいとされています。
コンピューターを使い、骨折部位をシュミレーションし、骨の形態、骨折の折れ方を検討し、オーダーメイドになればある程度は解決できるのではと思いますが・・・。手術時にシュミレーションして、それにあわせたプレート、スクリューを使い、骨を固定するとなると、現在の加工技術では、まだ高価な為、非現実的なのです。
でも手術を必要とするあらゆる骨折、骨切り術がこのような吸収性の固定材料を用いて行われる時もそう遠くないと思います。
2度もメスを入れられることなくすむということは、患者さんにも非常に有益でありますので、一日も早い実現を願っています。

痴呆

痴呆とは精神機能が全体的に障害され、正しい記憶や判断、行動ができなくなるため生活に支障をきたす状態のことです。
"寝たきり"と並んで人生末期の能力低下の2大要因の一つです。
1990年には日本に100万人の痴呆性の老人がいると推定され、2000年には160万人、2010年には250万人にものぼると予想されています。
統計的にみますと74歳までは約1%未満ですが、75歳を過ぎると徐々に増加し、男性では7%、女性では10%になります。
寿命が伸びてきている現在では長寿と比例して痴呆も増えてきています。
痴呆の原因としては、脳卒中の後遺症、脳動脈硬化、脳の変性(アルツハイマー病)といわれていますが、日本では脳卒中の後遺症が多数をしめています。
脳卒中の危険因子としては、高血圧、心疾患、頚動脈の雑音、糖尿病などがあげられます。
「活動的平均寿命」という健康指標があります。
これは心身共に自立して、健康に生活できる平均年数を生命表の方法により計算するものであり、今までの平均寿命を改善するものです。
WHOの統計をみますと、平均寿命は国によって異なっているのに、痴呆のない平均寿命は各国でほとんど同じ位です。
これをみますと、脳が正常に働いている期間は生物学的限界があるような感じがします。
ですからこれ以上寿命が伸びれば、必然的に痴呆も増えるということになります。
しかし、アメリカでの統計30年間をみてみますと、この10年間で痴呆のない平均寿命が実際に延びており、特に女性での延びは平均寿命の延びを上回っているのです。したがって脳が健康で機能できる期間は、まだ限界に達してなく、何かができれば痴呆のない平均寿命は延びてくると考えられます。

では、その何かとは何なのでしょうか?
現在、日本での痴呆対策は世界のレベルからすると20年位遅れているようです。
厚生省は病院は必要なく、痴呆の人々を収容する施設を増やそうとしています。
これが本当に痴呆のない有意義な人生をおくれる対策なのでしょうか。
疑問が残ります。 施設に収容して問題解決ではなく、痴呆にならないようにすることを考える事の大切さをどこかに置き忘れているのではないでしょうか。
痴呆の予防対策の確立こそが、今後求められている課題であるのです。
施設に収容して、現実を見ることなく済まそうとするのは、政策が個人レベルまで降りてきていない証しではないでしょうか。

豊かな老後を送る権利を誰が剥奪しているのでしょう。
どうすれば痴呆にならずに、自立した老後を送れるか、私たちも今、一生懸命考えて、行動する必要があります。
なぜなら、今、日本を動かし、活躍しているあなたたちも、いずれはこの問題に直面するからです。
その時に、何の力も経済的にも弱者になったあなたに誰が本気で考えてくれるか、今、問題を先送りにした結果があなた自身にかえってくることを念頭において、健康管理に十分な目を養っていただきたいものです。

ピアノソナタ

マルタ・アルゲリッチさんのピアノ演奏を聞くことができました。
彼女はアルゼンチンのブエノスアイレスに生まれ、(南米といえばラテン音楽が主で、クラシックの土壌はないように思っていました。)小さい頃よりピアノに親しんでいました。ある日、フリードリッヒ・グルダのレコードを聞いて、感銘を受けた彼女は単身ヨーロッパへ勉強に行き、現在の彼女があります。
彼女の演奏は女性らしいタッチの柔らかさ(男性では無理)、シャープな感性で、ホロヴィッツ、ルービンシュタインをもしのぐピアニストといわれています。
現代最高のピアニストといえば、ウラディミール・ホロヴィッツといわれています。彼のピアノ演奏は、山をも動かすと思われるようなスケールで人々を圧倒し、聞く人に巨人のような印象を残します。
単なる感覚的な喜びとして聞かせるのでなく、自分がドラマの主人公となって入り込み、その場面、場面をスリリングに味わえる感動があります。
音楽が奏でる幻想の世界に酔う喜びがここにあるのです。
映画「オーケストラの少女」は、昭和13年に日本で公開されました。
当時、日本は軍事色が重くのしかかっている時代でした。
人々の暗い心に暖かい日差しや心温まる気持ちを呼び起こしたこの映画は、空前のヒットを記録しました。
ラストシーンで少女の手引きによって、有名な指揮者の家に無断で多数の楽士が入り込み、驚く指揮者を前に演奏を始める彼ら。職を失った彼らにとって最初で最後のチャンスです。「ハンガリア狂詩曲第二番」を演奏すると、いつのまにかその素晴らしい演奏に指揮者の手が自然に動きだし、ハッピイなエンディングとなります。
この映画の成功にはドイツ映画界出身の3人の男たちの素晴らしい企画とディアナ・ダービンという15才の少女歌手抜きでは語れません。
制作者のジョウ・バスタアナクはハンガリア生まれ。
原案のハンス・クラーリィは1920年代ドイツが生んだ最大のシナリオ・ライター。ドイツの映画界に脚本家として入ったヘルマン・コステルリツツ、後に渡米して名を変え、監督となったヘンリィ・コスター。
ディアナ・ダービンはこの映画で一躍ハリウッドのティーン・エーイジャーの女王となりました。
「オーケストラの少女」の企画にもっとも光彩を添えたのは、当時アメリカで最高の指揮者といわれたレオポルド・ストコフスキーとフィラデルフィア・シンフォニー・オーケストラを出演させたことで、このあたりの企画に、アメリカ生まれのプロデューサーでは考えられない高い夢があり、それがクラシック音楽の賛美者の多い日本人の注目を浴びる結果となりました。
フィラデルフィア交響楽団の演奏曲目はチャイコフスキーの「第五交響曲」、ベルリオーズの「ラコッツィ行進曲」、モーツアルトの「ハレルヤ」、リストの「ハンガリア狂詩曲第二番」、ワグナーの「ローエングリン」などがあります。