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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第54号

パラリンピックを前にして

昨年、49号(8月)50号(9月)にパラリンピックを取り上げました。
今回はもう少し詳しく、身体障害者とスキーについてをテーマに選びました。
身体障害者とスポーツの関係は治療の一環として行われるもの、市民スポーツと同様にレクリエーションとして行うもの、競技スポーツとして行われるものと分けられます。治療の一環として行われるものは、古くからリハビリテーションとして知られていますが、スポーツ競技として行われたのは第二次世界大戦後、脊損者のリハビリテーションの一手段として行われたのが最初です。

ローマオリンピック以後、四年毎のオリンピックの年に各種障害者が一堂に集まり、パラリンピックが開催されることになりました。
当初、治療の一環として行われれてきたものも、最近はレクリエーション的な競技的要素も加わり、市民スポーツとして確立されてきています。

事実、全国的にも身障害者用スポーツセンターが設立されています。
身障者スキーは1972年(昭和47年)の日本身体障害者スキー協会の発足により始まりました。
しかし残念ながら障害者スキーヤーの参加は少なく、活動はほとんど行われていませんでした。
その後、多くの人々の努力により、1983年に全日本スキー連盟の後援を受け、全国大会が行われました。
身障者スキーといっても、障害の内容や程度は様々であり、それぞれの障害によって制約を受けます。
したがって用具、滑り方などに工夫をこらす必要があります。
病気、事故などにて一下肢が切断された障害の場合は、通常アウトリガーを使用した一本スキーにて滑走する。
膝が温存されている下肢切断の場合は、義肢の適合がよければ健常者と同じ用具を使用します。

ポリオ(脊髄性小児マヒ)
マヒ側の下肢が障害になることがあるので、健側側にくっつけてアウトリガーを使用します。その時は膝の屈伸が不可能な為、急斜面は難しく、緩斜面であれば十分可能です。

脳性麻痺
スキーが可能な条件として、松葉歩行可能か、少なくとも立位の保持が可能なことがあげられます。

視覚障害
スキーの用具に関しては健常者と同じでよいです。ただし、滑走中には様々な情報を原則として健常者が伴走して与えなければなりません。
最近は無線装置を使い、一人で滑走することも可能になっています。

聴覚障害
スキー用具には問題ありませんが、コミュニケーションの手段が手話や手振りに頼らなければなりません。自分のスピードに対する者の情報がないため、スピードの出し過ぎに注意が必要です。
では、障害者がスキーの技術を習得するには、どうすればいいのでしょうか。
肢体障害者では、指導者も同じ障害者であることが理想ですが、これはなかなか困難です。健常者が指導する場合は、障害者と同じレベルのスキーを使用します。
これにより指導する技術の問題、疲労度などを指導者自身が体験でき、連帯意識を持つことができます。

視覚障害
視覚に訴えることができないため、触覚、聴覚を可能な限り利用します。
フォームの指導では、直接、指導者の身体に触れさせて行います。
これは健常者の時にも行なわれていますが、それ以上に直接、頭の位置、体のバランス、手の位置、腰の位置、足の位置など体全体を触れさせ、正しいフォームを覚えてもらいます。滑走中では2~3m以内からいつも声をかけ、情報を与え続けなければなりません。まわりの景色、遠くにみえる景色もできるだけ教えます。
危険回避の訓練も必要です。他のスキーヤーとの衝突、しりもちの安全なつき方、その時の合図などもあらかじめ決めておく必要があります。

聴覚障害
視覚を最大限利用することが大切です。
滑走中は手話を使用する事はできないので、起用する言葉を合図、ジェスチャーなどで前以て決めておく必要があります。
一定の技術が習得できたら、私達と同じく彼らも自分のレベルを評価されたり、他のスキーヤーと競争したいと思うようになります。

その為にはクラス分けが必要になってきます。
肢体障害者の場合はLW1~LW12に分けられ、視覚障害者は3クラスに分けられています。
競技はアルペン種目は回転、大回転、滑降。
ノルディック種目はクロスカントリーで男子は5Kmと10Km、(LW6/8は10Km、20Km)女子はすべて5Km、10Kmで行います。
スキーは季節、地理的条件が多くの障害者を拒んできましたが、少しずつ多くの障害者に受け入れられてきています。
今後もまだまだ多くの課題はありますが、スキーを愛する障害者が市民としての自覚を持ち、一人でも多くの仲間と雪の上に立ちたい、滑走したいという情熱が失われない限り、今後もますます発展していくことと思います。クライオセラピー (冷却療法)冷却による治療法は、急性のスポーツ外傷、リハビリテーションにおいて頻繁に行われています。今回は氷を使った治療法について説明しましょう。

クライオセラピーをご存じですか。

足関節を捻挫した時にアイスパックをあてる。ストレッチングをする前に、アイスキューブで筋肉痛の部位をマッサージする。やけどを起こした時に冷水をかける。できるだけ低体温にして行う手術。疼痛部に氷をあてて痛みをとる。
などなどいろいろな方法でおこなわれています。
簡単にいえば人間の体から熱を奪い、その結果、組織の温度を下げ、治療を行うことのことです。
急性外傷の痛み、腫脹。 関節捻挫後の早期リハビリテーション。
肉離れの急性期。 結合組織のストレッチングの補助。
口唇ヘルペスの悪化防止。 月経痛の軽減 などに有効です。
冷却することで何が起こるのでしょうか。
冷やすことにより見られる反応は組織の温度低下です。スポーツで行われている方法では組織の表面温度が1~10度といわれています。
痛み、筋スパスムの軽減、代謝の低下、炎症の鎮静化という効果は一般的にも認められていますが、血液循環については、まだ不明な点が多く確定されていません。
注意すること
一時間以上行わない。凍傷を起こす危険があります。
直接、皮膚にあてないようにする。リウマチ様症状。心筋梗塞、高血圧の人。神経の部にはあてない。
急性外傷時の冷却法はRICESと呼ばれています。
R(REST)→安静 I(ICE)→冷却 C(COMPIESSION)→圧迫
E(ELEVATION)→挙上 S(STABILIZATION)→固定
の組み合わせにて応急処置を行います。
RICESを適切に行うと損傷組織の減少、四肢の腫脹、痛みの改善、早期リハビリテーションへとつながっていきます。

方法

ほとんどの捻挫に対しては、アイスパック(袋に氷を入れても良い)を30分間患部に装着する。その後60分間はOFFにする。(OFF時は弾力包帯を巻いておく)
間欠的に施行することが原則です。なお筋肉の多い部位では40~45分に、手指、足趾では20分間ON、40分間0FFとする。
圧迫、及び挙上は継続し行い、挙上は心臓より高い位置に置くことが必要です。
睡眠時はアイスパックを取り除き、弾力包帯を巻いたままにしておきます。
朝、起きた時には再度、アイスパックを通常どおり行います。
上肢の時はスリング(三角巾)、下肢の時は松葉杖を使用します。
詳しいことは医師、看護婦、リハビリ士にお聞き下さい。

高松 冬のまつりを終えて

現在、高松は福祉の街づくりを行っており、全国的にも福祉レベルは高い方に思われます。街のいたる所にマークのついた設備が増え、障害者にとっては便利になってきているのではないでしょうか。
しかし、杖をつかなければならない人、自力で車椅子を動かさなければならない人から眺めてみますと、まだまだ改善させなければならない事が多くあります。
すべての人が満足できる街づくりは不可能ですが、その満足度を少しでも上げることが医療関係者、人的支援(ボランティア)だと思います。
外国では社会生活への要接近能力水準(AbilitytohaveAccesstoSocialLife:AASL)という概念が取り入れられています。
行政がこれが対して低いレベルになれば、障害者にやさしいということになります。このAASLという概念が、移動、街空間のバリアーのフリー化、それを行うための身体的、心理的エネルギーを必要とする水準を示し、それをもとに社会的整備ができれば、障害者が人間として自信に満ちた行動が可能になってくると思われます。
街づくりの予算がこのようにかけられ、AASLレベルの低下がみられれば、障害者にやさしくなるはずです。
しかし、点字ブロックがどこにあるかわかりにくかったり、車椅子用に作ったスロープの角度が不適切であった為、登れなかったり、転倒しやすかったりトイレが狭くて車椅子ごと入るとドアが閉めにくかったりしています。
それらは逆にAASLレベルを高くしていることになります。
街を健常者と障害者が共有し、基本的欲求を満たすためにAASLレベルが統合的に低くなり、人の手を借りずに移動が簡単にできなければ良い街づくりとはいえません。人間としての基本的欲求は「誰もが、自分や荷物を意志によって自由に移動させることができる」事だと思います。
それぞれの条件にあわせて何らかの配慮があり、利用したい時に、自分の意志で移動手段を選べるようにならなければ、本当の意味での福祉社会とはいえないのではないでしょうか。