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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第41号

手の不思議

手で物をつかんだり、にぎったり、ちぎったり、投げたり、つまんだりするときは、手の筋肉が動いているので、手は運動器官だと思われがちです。
でもこれは手の機能の一面をみているにすぎません。
手で物をつかむときには、手で物にふれて、それが何であるかを知るという感覚の働きもしています。積極的に手を働かせて外界を探索することもあります。
手は外環境に直接ふれて外環境の情報を集める感覚器官でもあるのです。
私たちが手を自由に操るのには、神経が脳の間の仲立ちをしていて、脳が外部環境情報を即座に受け入れ、指令を出して筋肉を収縮させ、手が動きます。
だから手を上手に使えるのは、脳を上手に使えるからにほかなりません。

ロボットがコップを割らずにつかむために、どれほどの情報をコンピューターに入れたかご存じですか。
膨大な量の情報が必要でした。それでも今なお難しい課題でもあります。
手の皮膚はいとも簡単にその情報を脳に伝え、コップの重さやもろさを確実に伝達するのです。赤ちゃんのころからの経験がコンピューターの情報にあたるのでしょうか。スペインのアルタミラ洞窟には、およそ二万年前に住んでいた旧石器時代人の生活の跡が残っています。洞窟の壁に手形の絵が残っていますが、その大部分は左手をあてて右手で絵の具を使って描かれたものと思われます。

このことから2万年前の人類に手の分業がみられたことがわかります。
もっとさかのぼって50万年前、ジャワ原人、北京原人のころ、脳の容量は850~1100㏄に達し、骨盤は2\2足歩行できる現代人と同じ構造になります。
20万年前くらいにネアンデルタール人(旧人)があらわれ、頭蓋の大きさは現代人とほぼ同じになります。 4万年前にはホモ・サピエンス(新人)が登場、脳はネアンデルタール人よりやや小さくなります。
この進化の流れの中で原始的な道具の使用が300万年前から始まり、2足歩行していること、脳の容量が現代のチンパンジーの450㏄よりやや大きいことがわかります。
200万年前ごろから、脳の容量の増大がスピードを早め、この増大の理由は手で道具を活用して生活することや狩猟採集という生活様式が脳の進化に影響を及ぼしたと考えられます。知的生産に手を使うために脳の領域が拡大していったという訳でしょうか。
現代でも上手に手を使う動物は人以外ではチンパンジーが最も有名ですが、稚拙なものです。
人間は手を操ることによって、脳に刺激を与えて、その発達をうながしてきました。それでも今の脳の容量の全部を使っているわけではありません。
ということはもっと多量の知識を生産する能力を持っていることになります。
我々の祖先は数百万年もの間、獲物を追って走り、道具を使って生活を豊かにし、手と足をつかって農作物をつくり収穫してきました。
それが今日の人類への進化を可能にしたきたのだと思います。
日常、なにげなく使っている手がこんなにも重要な進化の担い手だったなんて不思議な気がします。
これからも手を積極的に使う創造的な活動をし、脳への刺激を与えて健康な体を維持していきたいと思います。

鼻の先から尻尾まで

東京女子医科大学の神経内科の岩田 誠先生が書いた「鼻の先から尻尾まで」という小雑誌を読み、大変おもしろかったので抜粋して紹介したいと思います。

Ⅰ鼻が先頭
「神経内科とはどんな科ですか?」という質問があったときにどう答えようかと話し合ったことがある。
「頭の先から足の先まであますところなく診察する科ですよ。」と言いたいと思った。人間の全てをまるごと診療の対象としているんだから、診察に時間がかかって大変なんだ、といういささか自己弁護的な答えでもあったが、ともかく、全身に張り巡らされたネットワークとしての神経系全てを診療の対象とするんだという自負の証しでもあった。しかし年を経て今振り返ってみると、「頭の先から足の先まで」ではなく「鼻の先から尻尾まで」というべきだったと気づく。脊椎動物の最先端は鼻であり、最後尾は尻尾であることに気づかなかったとは迂闊であった。
このことは人体の感覚神経の分布を示す皮膚分節を一見すればわかる。
「頭の先から足の先まで」では、人体の最先端と最後尾の診療を放棄することになってしまう。
人体の先頭に位置する鼻には、嗅神経がある。この神経が侵されれば匂いがわからなくなってしまう。 しかし、神経内科の病気が原因で臭覚障害が生じるとしうことは、脳腫瘍や脳外傷などの脳外科疾患以外にはあまりない。
ところが近ごろアルツハイマー型痴呆の病変が、嗅神経の行き先である嗅球に出現することが明らかにされ、この病気の初期症状としての臭覚障害に注目が集まってきた。しかし、これを実際の診療に役立てる段になると、なかなか難しい。
先日、最近物忘れが目立つようになってきたという老婦人を、友人が紹介してくれた。「臭覚低下があるので、アルツハイマー型痴呆の初期だと思います。」という彼の鋭いコメントにすっかり感心して、早速滅多に使わない臭覚検査用の紙煙草を取り出し、この婦人の鼻の前に出してみると、確かに何も臭いがしないと答える。
"臭い音痴"を自認している私にさえはっきりと感じられる程の臭いが全然分からないということなので、これは明らかに臭覚消失である。
しかし、付き添ってこられたご主人によく尋ねると、若いころから蓄膿があって、臭いには鈍感だったという情報が得られた。

このようなわけで臨床の場での臭覚障害の意味付けは大変難しい。椎間板とは脊椎の椎体と椎体の間にあり、椎体間を連結している線維軟骨性の円板を椎間板といいます。
大きな腰椎のものでは、直径3~5cm、厚さ1.5cmあり、背柱の長さの約1/4以上を占めています。晒した骨には取れてしまいありません。
椎間板の中には胎生期の脊索の名残である髄核とよばれるブヨブヨした部分があり、若年の髄核は半流動性のゼリー状をしています。この外側を線維軟骨の線維束(線維輪)が取り囲んでいますので、弾性と耐圧性にとんでいます。
この線維輪は人体のバネとして働き、一種のショックアブソーバーの役目をします。脊椎を伸ばしたときは、その流動性により脊柱の運動をスムーズにし、高い所から飛び降りたり、重いものを持ち上げた時など、脊柱に急激な圧力が加わったときには緩圧材としてこれをやわらげる役目もします。
また脊柱は膝や肘のように大きく曲がりませんが、背を丸くできるのも椎間板があるからです。だから椎間板は脊柱のクッションと脊椎間の摩擦を減らしていることにもなります。
昼間、体を動かしている間に髄核の中のゼリーから水分が抜けて椎間板は縮むことがあります。でも夜の間に水分をたっぷりと吸収してもとの厚さにもどります。
しかし、老人になるとその水分の吸収が難しくなります。
老化は20才以上から始まるといわれています。椎間板ヘルニアとは、老化により線維輪が退行変性を起こしもろくなり、髄核が外側方に飛び出す状態をいいます。
無理な姿勢をしたり、重い物を持ち上げたりすると、急に腰が痛むことがあり、これが俗に言うぎっくり腰です。
椎間板ヘルニアは体重の一番加わる腰椎の第4~5腰椎間に多く、症状としては座骨神経痛や下肢の知覚障害などがあらわれます。
とくにこの場合は、親指側の側背部やカカトからアキレス腱の部分にかけて痛みやマヒがでますから、どの椎間板が脱出したかを逆探知することができます。

寒さに向かって

今年の冬は寒さが厳しくなりそうと予報がでていました。
確かにいつもより寒くかんじる今日このごろです。
患者さんにも症状により、つらい冬になる方もいらっしゃると思います。
慢性動脈硬化症との診断が出た方には気をつけていただきたいことがあります。

まずお風呂の中で指の体操をしましょう。
難しいことではなく、ゆったりと湯船に沈んで、今日一日の疲れをいやしながら、お湯の中で指を開いたり閉じたりして下さい。
足の裏やふくらはぎも、なでるようにマッサージしましょう。
血行の循環を良くすることによって、シビレ感や冷感を改善します。
運動不足のために糖尿病の血糖値があがる場合もあります。
寒さのために血管が縮み、血圧が上がりやすくなります。
厚着や凍った道、雪による転倒、骨折などが多くなります。

年末、年始にかけてお酒を飲む機会が多くなりますが、飲酒は適度にしましょう。
なぜなら飲酒をしていた場合の転倒は骨折につながりやすいからです。

朝、暖かいふとんから寒い廊下やトイレに行く時は、注意して下さい。
脳卒中がおきやすい時です。
特に寒いトイレで"きばる"と血圧が上がるのでご用心。
寒さに向かって、元気でいることが一番。
腕を大きく回したり、その場で足を大きく上げて1、2、1、2、と歩きましょう。病状によって異なりますが、適度な運動は大切です。
寒いからといって"こたつ"でぬくぬくするのは猫にまかせておきましょう。
あっと、それから物療だけでなく、診察も受けて下さいね。
症状に変化があったり、またはない場合、それぞれにあわせて物療の変更をしたいと思います。
どんな運動をすればいいか、わからない方、気軽に質問してください。
診察室のドアはいつでも患者さんのために開いています。