香川県高松市での整形外科・内科・健康診断・予防接種は吉峰病院へ。

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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第277号

黄班円孔 私の治療1

私はその時、テレビで映画を観ていた。美人の女優さんの顔がゆがんいるのに気がついた。両目で見るとちゃんと見える。今度は左目だけで見てみた。見えない。視点の中心の一部だけがぽっかり消えていた。
野球の試合でいつもなら取れるボールが取れず、チームメイトから年取りましたね~と言われた。私には珍しく(もう年だあ)と弱気になってしまった。
今年に入って少し両目のバランスが悪いような気がしてそろそろ眼鏡を換えなければと思っていた矢先のことであった。
気になる為、友人の眼科に駆けつけた。眼科はひどく混んでいたが、先生は時間をかけて丁寧に診てくれた。その結果、左目の黄斑に小さな孔、裂孔があるとのこと。大ショック。
この病院では治療できないとのことで、大学病院に紹介状を書いてくれた。精査が必要なので出来るだけ早く大学病院に行くようにと勧められた。

黄色い不気味なもの

初診の日の夕方から左目に奇妙なものが見えるようになった。2、3mmの大きさの逆三角形の黄色いものが視点の少し左上に見える。それは手術までずっと私をいらいらさせた。
初診から7日目に医大に出かけた。あちこちの検査室を廻り、やっと終わったとほっとしていると、これからが本格的な検査だと言われてびっくり。結局6時間もかかった。その結果、病院の診断通りとのこと。先生に手術をしなければ失明の危険があると言われ、しょんぼり。しかし、しっかり治療をすればよくなりますと言われ、ちょっと気を取り直した。
採血し、入院の手続きを済ませ帰宅。
待機時間が長かったので入院の連絡がきた時ほっとした。
大学病院眼科に入院。翌日手術なのでそれからが忙しかった。
まず主治医の先生の診察と説明。看護師さんの説明、うつぶせの練習、心電図、胸部X線検査、視力、眼圧などの検査。
若い先生方3人が部屋に来られて涙の管を洗浄。
主治医の先生のお話によると、この病気は、網膜の中心の一番視力を司る黄斑というところに孔があく病気で、患者は50才以上の女性が多いとのこと。私は男なのに?
この黄斑円孔の手術は10数年前から行われるようになったそうで、それ以前は治療法はなかったとのこと。10数年前でなくてよかったとつくづく思う。私達の知らないところで沢山の方々が日夜このような研究に励んでいるのだ。いくら感謝しても感謝しきれない。
えっ、白内障の手術も?
主治医の先生の説明の時、同時に白内障の手術もしておいたらと勧められた。白内障なんて思いもよらなかったので驚いた。60歳以上の人はこの手術後、ほとんど全員、白内障の手術が必要になるとのこと。今回の手術中なら15分間で済むそうである。
でも、まだ濁っていない水晶体を自分の都合で取ってしまうなんて、なんだか水晶体に申し訳なくて思い悩んだ。明日の手術までに決めればいいと言われ、夜、ずっと考え込んだが今後の自分の体力と残された時間を考えてようやくこの手術も受けることに決めた。
砕いてしまった水晶体のことを思うと今でも少し胸が痛む。
手術
前夜の連絡で午後の予定だった手術が朝10時に変更になった。朝から忙しい。6時以降、飲食はダメ。洗顔もダメ。目薬をさし、点滴。眼鏡をはずす。私はつけていなかったが、腕時計、入れ歯もはずすとのこと。トイレも忘れずに。最後に筋肉注射。
いよいよ手術へ
手術室のそばの小部屋で着替え、手術室へ。手術台に横たわった時にはもうまな板の鯉。局所麻酔なので意識はあるが。先生の呼びかけも「ハイ、右むいてヨーン」とのどかなお声で、思わずニヤッとしそうになる。
こんなリラックスした気分なので、時々チクチクする痛みはあるが、あまり感じない。先生方のひそひそ声に聞き耳をたて、今何をしているのかと、あれこれ想像しながら手術室のベッドの上での1時間が過ぎた。手術中、どんなことをするのか興味があったし、手術に関しては全面的に先生方を信頼していたので、恐怖心は少しも起こらなかった。
手術台から車椅子に移ると、立ち会った先生方が並んで私に、お疲れ様でしたと挨拶され、一瞬どぎまぎする。こちらこそ先に言わなければならないのにと恐縮してしまった。でも顔は見れないのです。
車椅子で病室に戻る時はおなかがぺこぺこだった。
続きは次号へ。おたのしみに。

リハビリこぼれ話

2階にあるリハビリテーション室は朝早くから患者さんが予約に来ます。
待ち時間が少ないようにしていますが、何故か同じ時間に集中するのは誰にとっても通い良い時間帯なのでしょうか。
今日も待合で数人の患者さんがおしゃべり中。
「この頃、カラスが前の駐車場に集まって困ってるのよ」「カラスはおりこうだからね」「そうなのよ、餌やりしてる人がいて」「カラスに?」
「ちがう、野良猫に!」「あー、猫ね」「注意したら車の下に隠して置くようになって」「あらぁ」「駐車場にカラスが群れをなして」「いやぁ、怖いわ」とまあ、他愛のない会話である。
彼女たちは物療に通っている。保険適応のマッサージと関節の痛みなどを和らげる赤外線治療を受けに来ている。ついでにリハビリも受けてくれるといいのだけど、もう年だから努力はしたくないと・・・。
でも身体は楽をすると限りなく堕落していきます。
運動をしない体はしなやかさを失い、関節の動きも低下、背骨のクッションも薄くなり、反射神経も鈍ります。
まだまだ。
怖いのは骨粗鬆症。骨の老化は目に見えません。
この病気、高齢者の病気だと認識していませんか?
いえいえ、若い時からの積み重ねも大きく影響し、ファストフードが大好きな今時の人たちは要注意です。
骨の貯金最適年齢は0才から20才、この時期に骨量を蓄えれば、将来の骨粗鬆症のリスクが減ります。その後は減らさないこと。特に女性は妊娠、出産でカルシウム不足に、また閉経後は女性ホルモンの変化により骨量減少の危機です。
男女共には加齢によりカルシウム吸収の悪化、運動不足が当てはまります。

「すいませーん、おじいちゃんいますか?」とかわいらしい声が。
小学校低学年らしい女の子、学校から一生懸命走ってきたらしい。
「はーい、おじいちゃん? お名前は?」
「あのぅ、・・・です」「すぐ呼んでくるから待っててね」
入院中の・・・さんのお孫さんらしい。
認知症により息子夫婦の顔を忘れる時があるが、孫は別らしい。
楽しいおじいちゃんでお昼寝をすると午前中にリハビリをした事を忘れて、何度も来る。
でも戦争中の話になると饒舌になり、体験談は口角泡を飛ばす勢いとなる。
チャンスです。夢中で話すと痛みへの注意がそれ、関節の可動域が拡がりリハビリが進みます。だから何度でも聞きますよ。
「おじいちゃん、算数で100点取ったよ」「そうかそうか、ええ子じゃな」
「うん、がんばったよ。だから100円ね」「よしよし」と言ってポケットに手を入れるが何もない。「あれ、財布がない」「じゃ、今度ね」「うん、忘れるなよ」
「じいちゃんこそ!今日はお習字があるから、またね」と手を振りながら階段をピョンピョンと跳ねるように下りていった。一緒に跳ねるランドセルが可愛い。

翌日、彼は診察室にいた。
「・・・・さん、駄目でしょ。夜中に無断外出しては。」院長に叱られている。
彼は夜間に通用口から勝手に外出、行方不明になった。
すぐにご家族に連絡したが「大丈夫ですよ。家でも良くいなくなりましたから」とのんびりしたもの。
でも何かあったら大変と担当の看護師も呼び出され、一晩中電話の前で待機しようとしていた矢先にタクシーで帰院した。
外出には届けが必要である事を一応納得してくれたがお昼寝の後は???どうなる?
笑い話で終わる訳もなくナース・カンファレンスを緊急招集、今後の対策を考えるが相手は子供ではない。ある意味やっかいな案件で解決策としては絶えず病室をチェックして目を配るくらいしかない。
おじいちゃん、外出駄目と覚えていてね。祈るような気持ちです。

彼の病室から笑い声が聞こえる。きっとお孫さんが学校の話をしているのかな?いいご家族に恵まれた幸せな時間が長く続くように、退院しても家で出来る簡単な運動リストを作っとこ。
歳をとると体を動かさなくなります。
特に何でも便利になった現代、その利便性が大敵、なまった体を少しでも維持するために必要な運動がリハビリです。
一人一人の患者さんの体調に合わせて運動の指導をするのは大変だけど、元気で通ってくれる人たちの笑顔に支えられて、今日も頑張らなきゃ。

総合企画部 吉峰由美子