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コスモス新聞

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コスモス新聞第268号

インフルエンザワクチン2

今年もインフルエンザが猛威を振う季節がやってきました。インフルエンザに関してはいろいろな情報が錯綜していて患者さんもお困りのことだと思います。またテレビなどでよくえらい先生がインフルエンザの解説を得々とされているのをよく見かけますが、一臨床医として?と思うことも少なくありません。今回はわかりやすく錯綜する情報に対する医師としての意見を述べたいと思います。このコスモス新聞を読まれた方に少しでもお役にたてば幸いです。

インフルエンザの基礎知識

インフルエンザはインフルエンザウィルスによって引き起こされるウィルス感染症です。

その三大症状は

①数日以上続くおおむね38℃以上の高熱
②のどの痛み
③筋肉痛

通常の健康人ならば致死にいたることはありませんが、お年寄り、乳幼児などでは肺炎などに移行し、死にいたることがあります。

インフルエンザで一番こわいのはインフルエンザ脳症です。

インフルエンザワクチンは予防効果があるといわれていますが、ワクチンを打ってもインフルエンザにかかる可能性はあり、さらに昨冬はワクチンを打っていてもインフルエンザ脳症による死亡例も出ていました。

インフルエンザの予防について

うがいはインフルエンザの予防に効果がある。→○
 この世はけがれていて、雑菌、ウィルスだらけ。外出して帰ってくればのどにはさまざまな雑菌、ウィルスがひっついてきます。うがいをする目的はこうしたバイキンどもを物理的に洗い流すことです。イソジンや塩をつけてうがいすることをすすめる方もありますが、こうした薬剤等はのどに炎症などがあるとかえってその粘膜を傷つけたりするので、のどが痛いときのうがいは単純に水だけでするのがよいでしょう。また毎日のようにイソジンでうがいなどをすればおそらくあなたののどは耐性菌だらけになってしまってかえって抵抗力のないのどになってしまうでしよう。

マスクはインフルエンザの予防に効果がある。→△
 マスクにはインフルエンザの予防にはある程度は効果はあります。しかしきわめて微小なウィルスにとってマスクの繊維のすきまなんぞはだたぴろい空間と同じ。やすやすと通り抜けてしまいます。したがってマスクの予防効果は限定的です。しかしマスクは咳などの飛沫を抑えるのには効果がありますから、ひとさまにうつさない効果はかなりあります。私は医師なので患者さんに「ちゃんと予防をしてますよ」というポーズを取るためと患者さんへの飛沫感染を少しでも予防するために、自分が風邪をひいたときはマスクをすることにしています。滅多に風邪もひきませんが。(関係ないことですが、マスクは花粉症の予防にはきわめて大きな効果があります。花粉はおっきいもんね。)

ワクチンはインフルエンザの予防に効果がある。→一応○
 一時は効果に疑問がもたれていたインフルエンザワクチンですが、いちおう効果はあるということになっています。但しよく言われているようにインフルエンザウィルスは変異がはげしいのでワクチンの型が合わなければ無効だし、次の流行の型を決定するのはかなり大変なようです。またワクチン接種を受けた人でもインフルエンザにまったくかからないわけでもないし、少なくとも昨冬はワクチン接種者でもインフルエンザ脳症となって死亡した事例が出ていたのです。

インフルエンザの治療について

インフルエンザかなと思ったら早めに病院を受診する。→今は○(昔は×)
 以前はカゼやインフルエンザのウィルスを殺す薬はありませんでした。(ないこともなかったのですが、副作用が強すぎてあまり使われませんでした) したがってその治療法は対症療法しかなく、結局は安静にして自力で治すしかなかったため、早めに医療機関を受診したところであまり意味はありませんでした。しかし4~5年ほど前からインフルエンザウィルスに関しては副作用が非常に少なく薬剤耐性も少ない非常によいクスリが現われました。タミフルという。このクスリは発症後48時間以内に投与しないと効果がないとのことなので現在はインフルエンザかな、と思ったら早めに受診をした方がよいのです。このタミフルはインフルエンザウィルスに直接働きかけるので、罹病期間を短縮する効果があります。

インフルエンザ脳症は早めに受診すれば防げる。→×
 残念ながらインフルエンザ脳症の原因ははっきりしていません。したがってその予防法はインフルエンザに罹らないようにするしかないのです。タミフルの投与を受ければインフルエンザの罹病期間を短縮することはできますが、脳症の予防効果については何ともいえないのが現状です。したがって早めに医療機関を受診したからといってインフルエンザ脳症になる危険が低くなるわけではないのです。
インフルエンザ脳症は発症から場合によっては数時間で死亡することもあるので、いつもと様子がヘンだなと思ったら(熱以外にけいれんを起したり、眼の焦点が合ってなかったり、意識がなかったりなど)すぐに病院に連れて行くこと必要です。

インフルエンザの高熱により脳症になる。→×
 以前見ていたテレビ番組で↑のようなコメントがあったもので。こうしたいいかげんな報道なしないでほしいと思います。繰り返しますが、インフルエンザ脳症は決して高熱が原因で起こりのではありません。原因は不明なのです。

インフルエンザの高熱はむやみに解熱させない。→○
 最近ではボルタレンという解熱剤がインフルエンザ脳症の発症に関与していると言われています。(詳細は不明)この解熱剤は通常は小児に投与されることはないと思いますが、解熱効果が高いので一部の医療機関では患者さんの歓心を買うために小児にも投与されているようです。ネツ自体は決して悪さはしないので、こんな危険な解熱剤を使うよりは自然な解熱を待つ方がよほど安全です。また解熱剤はライ症候群という病気の原因になったりもしますので、とにかく慎重に、医師とよく相談してください。

それでもやっぱり風邪薬はやっといた方がいいでしょ?→×
 インフルエンザウィルスに関してはタミフルという、直接ウィルスに働きかけてその増殖を抑えるクスリがありますが、一般のカゼウィルスの増殖を直接抑える作用のあるクスリは未だにありません。いわゆる風邪薬というのはあくまでも症状を緩和するだけの対症療法としてのクスリです。

インフルエンザってやっぱりこわいんだね。→△
 インフルエンザは結局その合併症がこわいのです。高齢者では肺炎、乳幼児では脳症です。インフルエンザから肺炎を合併して死亡する高齢者の数は膨大なものと思われます。乳幼児の脳症は本当はごくまれなのですが、衝撃が大きい。昨冬はすでに数十人の子供がこの脳症で亡くなっているようです。インフルエンザ脳症はインフルエンザに罹ったお子さんが発症するものです。ですから、インフルエンザにかかるお子さんが減れば、インフルエンザ脳症にかかるお子さんも減ることになります。この点でもワクチン接種の意義が認められています。普通に免疫のある一般の人は仮にワクチンを受けていなくても数日の罹病期間で特に問題なく治癒するので、むやみやたらに怖がる必要はありません。一般人にとってはインフルエンザは命よりも仕事を休まねばならないなどといった社会的損失が大きいのです。

インフルエンザ脳症に罹ってしまったら。

残念ながらインフルエンザ脳症の決定的な予防法はありません。子供がインフルエンザにかからないよう気をつけるしかないのです。万が一、脳症になってしまったら、現在の医学ではこの病気に関してはタミフルも効かず、対症療法しかないので、あとは子供の体力にかけるしかありません。また子供の集中治療がしっかりできる医者や病院は非常に少ないので、これはもっともっと社会問題として取り上げるべきだと、いつも思っているのです。

最後に

ご存知の人も多いと思いますが、インフルエンザにはA、B、Cの3つの型があり、そのうち世界的な流行がみられるのがA型とB型です。インフルエンザワクチンのウイルス株の内容は、毎年WHO(世界保健機関)が決めた推奨株の情報をもとに、日本国内の専門家がその年の流行を予測して決めています。昨年までの予防注射は、2009年に新型インフルエンザとして猛威をふるった「H1N1」と香港A型、B型の3種類を混ぜたワクチンでした。
2015/2016シーズン(平成27年秋冬)のインフルエンザワクチンは4価ワクチンになります。
今シーズンから3価(A型2種類、B型1種類)から、B型株が1種類追加され、4価(A型2種類、B型2種類)になり、抗原が増量されました。