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コスモス新聞

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コスモス新聞第267号

インフルエンザワクチンが変更になりました

昨シーズンまでインフルエンザワクチンはA型2種類、B型1種類でしたが今シーズンからA型2種類、B型2種類の合計4種類のワクチンになります。
2015~2016年のシーズンから、日本でも4価(4種混合)の「インフルエンザワクチン」が使われることになりました。これによって、流行するインフルエンザのタイプをほぼ網羅することができるようになります。
予防接種の値段・料金がほとんどの医療機関・都道府県で値上がりしていますが、これはワクチンが"レベルアップした"ことが理由です。

つまり、何が変わるのか

これまで3価(A型2株 + B型1株)であったワクチンが、4価(A型2株 + B型2株)になります。B型インフルエンザのワクチンを1種類追加することになります。
主に流行するB型インフルエンザは、「山形系統」か「ビクトリア系統」と呼ばれる2つのタイプです。これまでは、両方が同時に流行することが少なかったため、シーズン前にどちらが流行するかを予測し、一方だけをワクチンに入れていました。
しかし、今シーズン(2015-2016)からは、両方が入っているワクチンになります。
これによって、どちらのB型インフルエンザが流行しても、もし両方が流行したとしても、十分に予防効果を発揮することができるようになります。

4価、とはどういうことか

「そのワクチンを使うことで、何種類のウイルスや細菌に対して免疫を獲得することができるのか」を"価"として表現します。
ウイルスや細菌も、ヒトと同じように様々に異なる遺伝子を持ち、色々な特徴を持っています。ヒトの免疫は、"指名手配書"を使って犯人を検挙するように、外敵のデータベースを基に働きます。
ワクチン接種は、この外敵のデータベースに、新しいウイルスや細菌の情報を追加することを意味します。そして、「4価のワクチン」とは、4種類の指名手配犯をデータベースに追加できるワクチン、ということです。

これまで、日本では4価のワクチンを作れなかった

日本では、「生物学的製剤基準」によって、薬に含まれるタンパク質の上限量が定められています。この制限は、薬に病原性のあるタンパク質が混入すること等を防ぐために必要なものですが、この制限によって、インフルエンザのワクチンを3株までしか入れることができませんでした。
そのため、B型インフルエンザのうち、主に流行する2つの株から、"今シーズンは、どちらが流行するのか?"を予測して、どちらか一方だけをワクチンに入れる方法がとられてきました。
これまで、世界保健機構(WHO)も3価(A型2株 + B型1株)のインフルエンザワクチンを推奨していたこともあり、正しい予測がされれば問題ありませんでした。しかし、最近は2株のB型インフルエンザが同時流行する傾向が増えてきたため、4価のインフルエンザワクチンが求められていました。
アメリカでは日本に先立って2013-2014のシーズンから4価のワクチンを導入し、A型・B型インフルエンザを予防する際に有効であることを報告しています。

変更にはどのような意味があるのでしょうか?

現在日本で使用されている、季節性インフルエンザワクチンの有効性については、問題の多いことを否定する専門家はいません。
現行日本で使用されている、季節性のインフルエンザワクチンは、スプリットワクチンと言って、インフルエンザウイルスを、ホルマリン処理した上にバラバラにして、その一部を抗原として使用するものです。
このタイプのワクチンは、安全性について問題が少ない反面、抗原刺激が弱く、部分的にしか免疫を活性化しない、という欠点があります。
ただ、2009年に所謂新型インフルエンザ(H1N1)の流行があり、この時には流行しているウイルスの抗原を、数ヶ月のうちに単価のワクチンにして接種したので、日本でも平均で7割という高い有効率を示しましたが、それ以外の季節性ワクチンでは、ずっと低い有効率であったことから、現行のタイプのインフルエンザワクチンの効果の低さは、抗原刺激の問題と言うより、ワクチンに選択されたウイルス抗原と、実際に流行しているウイルス抗原との、違いにあるのではないかと考えられます。
昨シーズンまで接種されていた、季節性インフルエンザワクチンには、A型が2種類、B型が1種類の、併せて3種類の抗原が含まれていました。
これで3価のワクチンと言う訳です。
その内訳は、A型がH3N2の所謂A香港型と、2009年に新型インフルエンザと呼ばれたH1N1型、そしてB型が1種類です。
このワクチンに含まれる抗原の選定は、概ね前回のシーズンで流行したウイルスが選ばれます。
しかし、実際には前年流行したウイルスと、全く同じウイルスが流行するという保証は、何もありませんから、ワクチンと流行するウイルスとが異なる、というケースは当然あるのです。
A型の場合には、H1N1とH3N2以外が流行する可能性は、現時点では殆どありません。勿論鳥インフルエンザのように、完全に別箇のタイプのウイルスが、流行する可能性もありますが、それは通常の季節性の流行とは別箇に考えるべき現象です。
ただ、同じH1N1でも、Aソ連型と呼ばれるものと、2009年に新型と呼ばれたものでは、微妙にその性質が異なり、ワクチン株と流行株とがそのように異なれば、当然ワクチンの効力自体も低下します。
もっと問題になるのはB型です。
近年の流行しているB型のウイルスには、ビクトリア系統と山形系統という、2つのタイプがあります。
これはH1N1とH3N2くらい性質が違いますから、当然ビクトリア系統の抗原のみを含むワクチンは、山形系統のウイルスには無効です。
しかし、現行使用されている3価のワクチンには、1種類のB型の抗原しか含まれていません。
つまり、ある年のワクチンにはビクトリア系統の抗原しか含まれていないので、仮に山形系統の流行があれば、ワクチンを打っていても全く効果は期待出来ない、ということになるのです。
実際にインフルエンザワクチンの効果は、A型インフルエンザと比較するとB型では明らかに低くなります。日本臨床内科医会のデータなど見る限り、殆ど無効と言っても過言ではなく、これならB型の抗原を抜いて、A型のみのワクチンで充分ではないか、とさえ思えます。
通常1シーズンのB型インフルエンザは、どちらかの系統のものしか流行らないので、当たれば効果がある反面、外れればB型に関しては、殆ど意味のないワクチンになってしまいます。
毎年接種することが推奨されているワクチンが、このような一か八かの選択で良いのでしょうか?
この問題を解決する1つの方法が、ワクチンに含まれるB型の抗原を2種類にして、ビクトリア系統と山形系統の両方をカバーすることです。
つまり、それがこれまでの3価のワクチンを、今シーズンからB型の抗原を1つ加えて、4価のワクチンにする理由なのです。