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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第264号

ロコモティブシンドローム3

仕事人間は背中が曲がるデスクワークなどで前かがみになる姿勢を続けていると、胸椎の周りの筋肉が縮んで、伸びなくなります。
縮こまった胸の筋肉が両肩を引っ張ってしまって、それを引っ張り返す背中の筋肉が弱っているわけですから、この状態を横から見ると、両肩が耳の線よりも前に出て、背中が丸まってきているのがわかります。すると身体は崩れたバランスを修正しようとします。このとき、腰に負担がかかって、腰痛になってきたりしますし、前傾姿勢で前を向こうとするために首が反った形になり、首の痛みや肩こりが出やすくなります。この脊柱周りの筋肉の老化が始まるのは意外に早く、20代半ばでスイッチが入ってしまう人もいます。さらに、40代、60代あたりで大きなスイッチが入ります。

この部分の衰えというのは、社会的な仕事の重要度と比例しているようです。
重要でやりがいのある仕事をバリバリこなすのは良いのですが、ふと窓に映った自分の立ち姿が老人のようだったのでは洒落になりません。脚や腰など日常生活でよく使う重要な部分についた筋肉は、一度つくとなかなか落ちにくいものです。これは、歩いたり、立ったり、座ったり、家事をしたりといった日常生活でその部分を意識せずに使っているからです。ケガをしてギプスで固定していると、あっという間に驚くほど筋肉が落ちて、その場所が細くなっていたということがありますが、日常的な家事をこなしていれば、そうそう筋肉は急激に落ちるものではありません。
歩いたり、物を持ったり、階段の上り下りなどが苦にならない筋肉をつけてしまえば、それを維持していくのは比較的簡単なのです。
このことをマッスルメモリーといいます。
一度自転車に乗れた人は、何年も乗らなければ最初はふらつきますが、すぐにまたスムーズに乗れるようになります。これと同じことが筋肉にも起こるのです。
筋肉はいい時の状態を覚えているので、多少休んで筋肉が落ちたとしても、以前のレベルに戻るのは比較的速いです。さらにこのマッスルメモリーは、トレーニングをしていた期間に比例して、筋肉が落ちるスピードに反比例するといわれています。つまり、筋肉をつけるトレーニングを早く始め、長く続けるほど、筋肉は落ちにくく、さらに失った筋肉を取り戻すことも容易になるのです。

骨粗鬆症

1993年に、骨粗鬆症は「骨密度が低くなり、骨折しやすくなる病気」と世界保健機関(WHO)が提唱して以来、骨密度だけを注視してきました。でも実は、骨密度で測っているのは、カルシウム量で、それだけでは骨の本当の強さはわからないのです。骨の成分の半分はカルシウムですが、残りはコラーゲン。コラーゲンが不足すると、骨のしなやかさが失われてしまいます。骨粗鬆症の原因には、骨密度の低下ともう一つ、骨質の劣化も重要なポイントだったのです。その証拠に、骨密度が十分でも骨が折れることは十分にありえます。骨密度が高くても骨折する可能性のある人は、なんと2000万人以上とも言われています。
実は、数ある骨のなかでも、一番丈夫そうな、体を支える「背骨」ですが、実は背骨は一番折れやすい骨でもあるんです。その折れやすさは、手首や大腿骨と比べると実に6倍!しかも、折れているのに痛みを伴わないケースもあり、その結果、体が「くの字」に折れ曲がり、内臓を圧迫してしまいます。もし、20歳の頃と比べて身長が縮んでいる場合、背骨がつぶれているということもあります。
日常生活の中で歩いたり走ったりするたびに、骨には圧力が加わっています。多数の椎骨が積み重なる背骨に圧力が加わると、背骨などに非常に小さなヒビが入ってしまうのです。
そして、毎日圧力が続くことでヒビが大きくなり、「くしゃみ」や「せき」といったちょっとしたことで折れてしまうのです。
これを圧迫骨折といいます。
骨密度だけに注意を払っていて、「自分は骨粗鬆症ではない」と信じている人も、コラーゲンが不足することで圧迫骨折の危険性が高まっている、ということは知っておきましょう。
最近子供たちの間に広がっているのがロコモ症候群と呼ばれる運動機能障害です。本来は一番柔軟性があり運動能力も高いはずの子供が腕がまっすぐ上げられない、かかとを床に付けてしゃがめないなどの症状が出ているのです。こういった症状は本来は高齢者に多く見られるものです。それは骨、関節の柔軟性、筋力が低下するもう一つの原因であるビタミンD不足です。
ビタミンDはカルシウムやリンといった栄養素の吸収も助けてくれるので骨の生成にも大きく関わっていますが、それだけではなく筋肉の働きも助けてくれる大事な栄養素でもあるのです。
このビタミンDが不足することにより筋力が衰え、子供でもロコモ症候群となってくるのです。
ビタミンDは魚などの食べ物からも摂取することが出来ますが、それよりも大事なのは日光を浴びることです。しかも、ガラス越しではなく屋外で直接日光を浴びることがビタミンD補給を助けてくれるのです。最近は屋内で遊ぶという子供や、外に出る時には日焼け止めクリームを使用するという場合もありますが、そういったことはビタミンD不足を引き起こす要因となります。
サプリメントでもビタミンDは補給することは出来ますが、出来るだけ外で直接日光を浴びるように心がけましょう。


ロコモティブシンドロームトレーニング


適度な運動は、若返りの術といっても過言ではないのです。ロコモティブシンドロームトレーニングその①は、開眼片足立ちです。
「ひざが痛いから、そんなことできない。」と思う人もいるでしょうが、大丈夫。片足立ちは正しく行なうことで、ひざに負担はかかりません。そもそも歩くときの半分は片足で立っているのですから。片足立ちはバランス能力を高めます。
転びにくくなって歩くのが速くなり、階段の上り下りがスムーズになります。歩くときも、階段の上り下りも、動作の半分は片足で立っています。その間のふらつきが少なければ、スムーズに動けるようになります。立っているときに背筋を伸ばし、おなかや背中の筋肉にも力が入るように心がけましょう。バランスを失って転倒しないよう、テーブルや椅子など、必ず何かつかまる物がある場所で行なってください。

次は、スクワットです。
スクワットには腹筋と背筋を鍛える効果があるので、腰痛に効果的です。また、お尻の筋肉もつきますので、股関節を含む下半身を安定させます。スクワットと聞くと、きついトレーニングを想像するかもしれませんが、イスに腰掛けたり、立ち上がったりする動作も、スクワットと同じことです。洋式トイレの便座に腰を下ろすことをイメージすると、行いやすくなります。
お腹や背中、太ももの前や後ろの筋肉に力が入っているかを確かめながら行うようにします。動作中は息を止めないようにします。
6秒ぐらいかけて腰を下ろし、6秒ぐらいかけて立ち上がるのが目安です。
バランスを失って転ばないよう、必ず椅子やソファーの前で行いましょう。

かかとの上げ下げ
まっすぐ立ち上がり、その場でかかとを浮かしてみてください。

つま先上げ
椅子に腰掛け、足を少し浮かし、つま先をクイクイと上に上げます。
足の上に軽い重しなどを載せるとさらに効果的です。

ロコモティブシンドロームは、運動不足がほとんどの原因です。特に筋肉と骨の弱化が、要介護状態への危険を早めます。筋肉の強化には筋肉を強くする運動が必要です。骨の強化にはジャンプなどの衝撃が必要です。ジャンプと言ってもスポーツのように激しい必要はなく、縄跳び程度の少し息が上がる程度が望ましい運動です。
このような条件をクリアするロコモティブシンドローム体操としては、ラジオ体操が最も適しています。
ラジオ体操は、老若男女を問わず、最も効果があり、かつ安全な運動としての要素を持っています。また、ラジオ体操は運動の種類やその順番など、体力強化に必要な要素が上手くプログラム化されており、今後再び注目される可能性があります。ラジオ体操のような過度な運動は朝に行えばより効果的ですが、仕事の休憩中やお風呂に入る前などに部分的に行うことも推奨されます。さらに、ボールを使ったバランスエクササイズや、太極拳などのゆっくりとした持続的に酸素をゆっくりと取り入れるような運動がロコモティブシンドローム体操として適しています。