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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第256号

映画あれこれ

今回と次回は少しお勉強から離れ、当院の映画樂会にちなんで映画とはどのようにしてできていたかをお話します。
昔はフィルムでしたが今はデジタルになっています。
映画フィルムは、通常「フィート」で測ります。映画がアメリカで生まれたからでしょう。映画は1フィート16コマ、1秒は24コマで作られています。
それを掛け算していくと、30分で2700フィート、120分で10800フィート。メートルにすると約3283メートル。
ゲゲッ、2時間の映画はなんと3キロ以上のフィルムで出来上がるのです。ですから、小分けにして運ばなければなりません。
1巻はカットによって違いますが、10分から15分くらいが目安です。すると120分の映画は、8巻以上になってしまいます。
上映する時は、二台の映写機を使い、交互に映写機を回していくわけです。
皆さんもご存知だと思いますが、10分から15分ごとにスクリーンの右上に、パッパッと光ったりします。これは、フィルムに穴を開けてあり、次の巻の映写を始めて下さい、という映写技師さんに対する合図なのです。
通常、ここで、カットは必ず変わります。仕上げ作業時に、その点も考慮に入れて編集、音楽入れの作業が行われていないと大変なことになります。
巻替わりの場所の選択は、監督の力量によります。下手をすれば、映画そのものの出来に大きな影響を与えかねませんから。
昔、映画館で映写技師がフィルムを掛ける順番を間違えて、大変、問題になった事がありました。ストーリーがぜんぜん違ったものになってしまったのです。
しかし、所詮人間がやることです。世界のどこかの映画館で、そのような上映が行われていないともかぎりません。妙に感心した観客が生まれていないとも限りません(笑)。

次は映画のサイズのことですが、スクリーンに映し出される映像の縦横の比率のこと。
で、そのスクリーンサイズは、だいたい「スタンダードサイズ」「ヴィスタサイズ」「シネスコサイズ(シネマスコープ)」の3種類にわけられます。
「スタンダードサイズ」は、普通のテレビ、ですから4:3。「ヴィスタサイズ」は、ワイドテレビ、ですから16:9のハイビジョン。「シネスコサイズ」は、それよりもっと横の長のやつ、と思ってください。
現在作られている映画で一番多いのは、「ヴィスタサイズ」。ハリウッドあたりで作られる、アクション、CGいっぱいの映画は「シネスコサイズ」が多いみたいです。
「スタンダードサイズ」は、近頃はまれにしかお目にかかれません。あっと、映画館でかかるCMがありました。
歴史的に流れをみてみますと、最初は、フィルムの映像をそのままスクリーンに映写される「スタンダードサイズ」で始まりました。
しばらくして、もっと横長の方が迫力が出るのでは、とハリウッドの20世紀フォックスで考え出されたのが「シネマスコープ」。
これは特殊なレンズで撮影し、映写も特殊なレンズで映写すると、あらまあ不思議(でもないか)横長の迫力ある映像が現れるわけです。
これが人気を博して、日本の大手の映画会社などは、すべてが「右にならえ」状態になってしまったのです。ですから昔の映画を見ると「東映スコープ」とか「大映スコープ」という映像がでてきましたでしょう。
しかし、これに対抗しようとしてパラマウントは、「じゃあ、別の方式を考えよう」と横長の映像を編み出しました。でも、映像のクリアさは格段と向上したものの、フィルム代は倍以上かかり、結果は「シネスコ」に軍配が上がりました。
それから時は流れ、テレビの時代になり、テレビで映画を放映する機会が増えてくると、シネスコの映画は、テレビじゃ、非常に見づらく、でもスタンダードじゃ迫力がない、じゃあ、パラマウント方式か、でもそれではフィルム代が高い、と考え出されたのが、「ヴィスタサイズ」。これが現在では主流になっています。
そのため、一時期は世に「シネスコサイズ」の映画は無くなったかに見えました。ちなみに日本において最後まで抵抗してシネスコで撮られていたのがお馴染み「男はつらいよ」シリーズですが、結局は世の潮流には逆らえず、最後の何作かは「ヴィスタサイズ」で撮られました。
ところがどっこい、前述のアクション、CG合成の映画を撮りたい監督が、復活を試みています。
撮影現場は、非常に華やかなですが、この仕上げの行程は、地味ながらも、まさに映画が完成していく様が見て取れ、楽しい、また大変な作業でもあります。
現像されてきたポジフィルムをサウンドテープと共に編集していきます。これをポジ編集と言います。
編集では、シンクロナイザーを手動で回しながら、ビュワーと言う機械でその映像を見ていく物と、電動で見ていく方式がありますが、いずれも最終的に切ったり張ったりするには、「スプライサー」という物で行います。
三流映画ではありますが、ほっこまい高松純情シネマという映画にも登場します。
一コマ一コマを大事に編集していきませんと、その数コマの違いが、話の流れが、スムーズにいったりいかなかったりするのです。もちろんそれは、明確に分るものではありませんが、ラフな編集は、「つまらん映画だったなあ。」といった印象を与えてしまうのです。
素早い動き、たとえば刀を振り下ろすアクションの途中でカットを変えると全然迫力がありません。数コマダブらせると不思議に迫力が出ます。また、逆にノロリとした動きの場合、数コマ飛ばした方がスムーズに見えたりします。
これらは、残像現象などの人間の目の錯覚を見越した上での方法です。
あっと、言い忘れていましたが、そもそも映画(テレビもそうですが)というものが、実際には流れていない映像(1秒に24コマの静止画の連続映写)が動いているように見えるのは、人間の目の残像現象を逆手にとった発明品なのです。
これでできたのが、監督ラッシュというものです。
このラッシュを見ながら再指示を出し、編集し直します。これがオールラッシュになります。そこから音入れのサウンドエフェクトがはじまります。
これは、監督、作曲家、選曲家のセンスが問われるところです。
黒澤明が「椿三十朗」で編み出した、人を切ったときの「ザクッ!」というのもこれです。これは肉のかたまりをあまり切れの良くない包丁で叩ききる音を使ったようです。
監督は、スクリーンの前でどんと構え、「あの場面では、音楽は抑え気味に」とか「あの場面の声はかえって逆効果だからいらない」とか編集を手直しします。この作業で映画の善し悪しが決定されるぐらい大切な場でもあるわけです。
ポジの作業をすべて終えたポジフィルムは、ネガ編集に回されます。
こうして、すべての作業を終え、一本のフィルムに画も音も現像され、0号プリントが出来上がってきます。これを再現像したのが商品となるのです。
これだけ大変な苦労をしてはじめて完成するのです。だから一度この世界にどっぷりつかりますと映画作りはやめられなくなるのです。

第85.86回 吉峰病院映画楽会
ついに登場「七人の侍」
これこそが映画。それが七人の侍。これは世界遺産的映画です。
1954年(昭和29年)公開。まさに脅威です。
11月5.12日(水曜日)
午後1時00分上映 3階食堂