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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第24号

障壁とは?

6月22日、23日、24日と東京の学会に出席しました。(皆さんに御迷惑をおかけしたことと思います。)
3年ぶりに友人達と食事をしてきましたが、その時の話題で気になる事がありました。統一地方選挙で知的障害者の人が投票を拒否されたというのです。
法律に選挙は「選挙人の自由な意志によって、公明かつ適性に行われることを確保する」とあります。投票ができない人のためには点字投票、不在者投票、代理投票などで保障されています。
しかし彼は拒否されたのです。(これまでは代理投票をしてきました。)
今回、彼は自分の足で投票所に行き、自分の手で投票用紙に書き込む、一選挙人として参加したいと思ったのです。
選挙管理委員会はこの不手際を認め、一応、一件落着となりましたが・・・・
なにか、ふにおちない一件です。
障害者に対してこのような事は、様々な所で制限、差別として現存しているのです。では、どうしてでしょう?
それは私達の責任なのです。
障害者の立場に立ち、物を見、考える事から始めなければ、本当に誰に対しても同等とはいえないからです。
以前にもコスモス新聞に書きましたが、「目の高さを同じにして」なのです。
こんな話があります。
ある日、仙人が一人の学のない若者に「今の自分の才能、財産、環境に関係なく、あなたがなりたいと思うものを一つ具体的に願ってみなさい。叶えてあげましょう。」と言ったのです。
"アラジンの魔法のランプ"では王女様のお婿さんになりたいとありますが、彼は学がないから「賢者になりたい」と答えました。
仙人は「賢者といってもどんな賢者ですか。もっと具体的に説明してくれないと出来ません。」と答えました。
こんな事は二度とないと思った彼は賢者になる夢を具体的に叶えてもらおうと、日夜、賢者について勉強し、想像力を働かせ、自分のなりたい賢者像を作ろうとしました。働いている時も、食事の時も、休息の時も絶えず賢者について考え続けました。
そしてついに完璧な賢者像を作り上げ、仙人に会いに行き、自分の賢者像について事細かく説明を始めました。丸一日ずっと黙って彼の話を聞いていた仙人は、話が終わると彼に微笑みかけ、一言「今の自分がどうなっているか、よく見てみなさい。」といいました。
さて彼はどうなっていたと思いますか。 自分が何もないからとか、何も出来ないからというのではなく、一生懸命努力をすれば何でも出来るのです。
前文の知的障害者の方も自分で行動しようと思ったのです。
障害者について勉強するのに年齢や期間はありません。
いつでも思い立った時がその時なのです。
皆さんも私達と一緒に「目の位置をどこにおけば良いのか。」
考えてみませんか?

車椅子って!!

最近は科学技術が飛躍的に進歩し、「海底2万マイル」や「火星物語」などのSFの世界が現実のものとなっています。
科学は人類を宇宙に飛ばし、月旅行への夢や異星人との遭遇へと期待に満ちあふれています。
でも車椅子の技術は? 考え方は?と聞かれたときに、私はいつももどかしさを感じます。
欧米諸国に比べて、技術やユーザー(車椅子を使う人)サイドの使いやすさを考えているのだろうかと疑問視しているからです。
友人が先日、ドイツのカールスルーエに行きました。彼は車椅子の生活を余儀なくされていますが、福祉関係の仕事についています。
その彼がくやしそうに言うのです。「日本って何て遅れてるのだ。」と。
ドイツのユーザーは機能的な新しいタイプの車椅子に乗り、色鮮やかなデコレーションで個人の主張をし、気軽に町へ、遠くへと出掛け、生活をエンジョイしていると。なぜなら町の中には、至る所に車椅子表示のトイレや駐車場、車椅子でも簡単に乗れる電動のバスが頻繁に往来を行き来しているからと。
「本気で移住したくなりましたよ。」笑いながら言っていましたが、彼のジレンマがわかるような気がしました。
本来、車椅子とは"必要な人が""必要な時に""その体にあった"ものを使えてこそ、価値があるのです。
今は豊かだと思っている時代には、弱者や少数の人たちが容易に順応できる社会を作る事が大切な事です。
皆さんの理解が、障害を持った人に自立した生活や、伸び伸びと社会に溶け込み、気軽に参加できる、そんな社会に変えて行く事になると思います。

人間工学と車椅子

人間工学と車椅子とは密接な関係にあります。
どうすれば、うまく適合させることができるか。車椅子の安全性と長時間の使用による体への弊害はどうなのか等、様々な事があります。
そして日本は人間工学と車椅子との関係にやっと目覚めた所です。
私たちは暮らしの中で腰をかける事が多く、いろいろな違った姿勢で座っています。その時にしている事や何に座っているかによって、座り方も違います。
まわりの人を良く見てみると、驚くべき「座る世界」が発見できます。
誰でも少しの時間なら座る事は快適かもしれませんが、それが長くなれば障害のない私達でも苦痛になります。
車椅子の必要な人たちは好きな時に立ち上がったり、歩いたりする自由がないので、少しの事でも障害になりかねません。
そのために適合させる事が何より一番大切な事なのです。
次は高齢者の車椅子について、少しお話ししたいと思います。
車椅子に乗って居る高齢の女性は、男性よりも背が低いのに男性を基準とした車椅子に乗っている事が多く、丈の高いスリング(背もたれ)は体が前に倒れる可能性が高く、これが女性高齢者の極端な後弯(背中が丸くなる)を作る一因になっています。背もたればかりではなく、座面の奥行きも長すぎるため後弯に更に拍車をかけています。その上、車輪の取り付け位置が後ろにくるため、うまく動けず、転がり抵抗が大きく、移動も困難となります。
正しい車椅子に乗ると、漕ぎ方も楽になり、漕ぐときの手や腕が前、後、上、下とよく動き、活発になります。その手の動きが体幹の伸屈をうながし、呼吸を活発にするため、心肺機能の向上にもなります。
では男性が体に合わない車椅子に乗るとどうでしょう。
この場合は女性とは違う姿勢をとります。
男性は足が床に着くため、足で漕ぐことがあるのです。そしてその漕ぐ力を大きくしようとするため、体幹は背もたれに強くよりかかり、お尻が滑ってしまい、「滑り座」になります。でもこの姿勢は一つだけ利点があります。滑り座は転がり抵抗を小さくし、楽に漕ぐ事ができるという事です。

しかし長くこの姿勢で漕いでいると前かがみが出来なくなり、普通の車椅子に乗れなくなります。その上、体が後に傾いてしまい、立つことも困難になります。
車椅子は座るために、また動き回るためにあります。
しかし多くのユーザー、ましてや活発でないユーザーは車椅子の使い方も漕ぎ方も教わっていない事があります。
テクニシャンになることは、そんなに難しい事ではありません。車輪の取り付け位置をずらし、車輪が転がりやすいように調節するだけでも違ってきます。
もし、今、車椅子を使っていて、無理があると感じていらっしゃる方はご相談ください。基本的な漕ぎ方は、車輪(ハンドリム)押す、強く押す、力を抜いて休む→→加速、そして又、押す・・・を繰り返す事です。 押す時は体を前に傾けて押すと、より効果的です。また力を抜いて腕を後ろに振り下ろす所が難しい所です。
方向転換は片手をハンドルの前において、もう一方を後方におきます。両手をそれぞれ反対の方向に動かすとスムーズに回ります。
1/4回転、半回転、勢いをつければ1回転もできます。半回転以上回る時はハンドリムの上で手を滑らせます。
重さの大部分が後輪にかかっていると楽に向きが変えられます。
後輪に重さがしっかりかかっていると惰性が減って「重さがなくなったような」感じになります。
転倒防止には後ろに倒れそうになったら車輪の上に覆いかぶさるように体幹を前傾して、車椅子の転ぶ勢いを遅くし、ショックを和らげるように肘は軽く曲げます。(手のつき方に注意が必要です。)
起き上がる時は肩の真下に手をつき、手首と肘を伸ばす動作をして、指先で体を押し上げると同時に、もう一方の手で着地している手の側のハンドリムを後に回して起き上がります。
次に車椅子を利用していると、段差が問題になります。
それはキャスターを上げ「ウィリー」をする事です。でもこの操作は非常に難しく、なかなか習得することができません。
それでアシスタントが必要になります。だからアシスタントとユーザーは息がぴったり合うことが大切になります。
現在の日本でこの訓練はPTという理学療法士が行っていますが、外国では家族、友人等、身近にいる人が主に行っています。