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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第235号

むち打ち損傷

むち打ち損傷は頚椎捻挫・頚部挫傷・外傷性頚部症候群などともいわれています。
追突事故などで強い衝撃を受けると靭帯が伸びたり、何かの影響で神経に圧迫が加わったり、筋肉の働きに「ずれ」が生じ、自律神経や血管に大きく影響を及ぼし、身体の不調をきたす事をむち打ち症といいます。
頚部がムチの様にしなり、筋肉や靭帯、椎間板、血管、神経などが損傷されるものをいいます。直後に症状が出現しなくても、数時間~数日後に頚や肩の痛みや重苦しさ、運動の制限などはっきりとした症状を感じることもあります。
頭痛、頸部痛、頸椎の運動障害が3大症状です。とくに、頸部痛は約90?100%に現れるともいわれます。
後頭部、頸部から背部の痛みやこり、上腕から手指の痛みやしびれ、脱力などの頸肩腕症状や、めまい、眼のかすみ、耳鳴り、耳閉感、動悸、声のかすれ、吐き気、顔面の紅潮、全身の倦怠感、集中困難など多彩な症状が現れます。また、時に腰痛を訴えることもあります。
一般的には事故直後から症状が出ることが多いといえますが、約5分の1は事故後12時間あるいはそれ以降に頸部痛が現れたという報告もあります。
むち打ち損傷の病態はとても複雑で、症状もさまざまです。四つくらいに分けられますが、一つだけに当てはまることはありません。

頚椎捻挫型
頚・肩の痛みや重苦しさ、肩・背部凝りなど
神経根損傷型
腕の強い痛みやしびれ感、肩甲部・前胸部痛など
頚部交感神経刺激症状型
頭痛、めまい、耳鳴り、のどのつまり感、視力障害など
頚髄損傷型
上肢、下肢の筋力低下、両手の知覚傷害やしびれ感など

治療

急性期では、基本的には手足の外傷に対する治療に準じます。症状が軽ければ外来通院とし、比較的安静をとり、鎮痛薬、消炎酵素薬、筋弛緩薬などの内服薬を投与します。また、冷湿布などの外用薬も有効です。ただし、機械による牽引や温熱療法は急性期に行うと症状を悪化させる危険性があるため、受傷後1?2週は行いません。症状が中等度であれば、ポリネックで頸部を固定するのもよいでしょう。
頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気などの症状が強い場合や頸部の運動制限が著しい場合には数日間入院し、安静をとることもあります。
急性期がすぎると、頸椎牽引、温熱療法などの理学療法を行います。場合によっては神経ブロックやトリガーポイント注射を行います。薬物療法は急性期と同様ですが、精神安定薬などを用いることもあります。
また、社会復帰に向けての日常生活指導や運動療法も行います。頸部のポリネック固定は、長期間行うと頸部周囲の筋力低下を生じることがあるので、次第に外していきます。
「むち打ち損傷」は、事故のときに首がムチがしなるように前後に大きく振れる状態からついた病名です。医療用語では「頚椎捻挫や頚部挫傷」、「外傷性頚部症候群」などと呼ばれます。車のシートやヘッドレストは改良されていますが、後ろからの追突事故で、頭痛や頚部痛のため来院する患者さんは減っていないのが現状です。
この病気の問題点は正しい診断と適切な治療がされないために、治療が長期化することです。症状が軽くても整形外科などの医療機関を受診することをお勧めします。救急病院の応急処置だけや、医学的診断なしで鍼灸マッサージや接骨院で痛みをおさえるだけの施術のみは賢明ではありません。
問題点のもうひとつは、不安神経症やいわゆるPTSD症状(心的外傷ストレス)に陥る方も珍しくないことです。周囲の無理解から被害者が苦しんでいます。
整形外科の専門書の中には、長期化している人は、事故の被害者という社会的な状況が身体に影響を及ぼす心因反応で、痛がっている患者さんに責任があるような記載まであります。
しかし毎月たくさんの「むち打ち損傷」の患者さんを見ていると、心因反応を起こし易い性格とは思えない、ごく普通の人に長期通院例が出ています。
損害保険会社が検査や治療法のガイドラインを出しても良いと思いますが、現実は長期化したら「患者や医者が悪い」といった対応です。
私自身、勤務医の頃「むち打ち損傷」は投薬以外に治療の選択肢がなく、あまり興味を持てない疾患でしたが、今は「もし心因反応的要素が関与していても、目の前の患者さんが困っているなら一緒に原因や治療法を考えよう」に変わりました。
どんな病気にも言えることですが、治療は患者さんと医者の共同作業です。どんなことをすると調子が悪くなり、どんな治療が患者さんの体に合っているのか相談しながらベストと思われる治療を選択していく作業です。X線やMRI検査も多くの症例で異常が出ませんが、既存病変の確認や経年変化の有無などは治療に必要な情報です。当院の特徴は、他科の先生と連携しながら診断と治療に当たることと、東洋医学的アプローチ(マッサージ)も可能なことです。
身体だけでなく心のケアも重要となるケガですので、今後「むち打ち損傷」専用の問診用紙を作り、看護師が事故の状況をより詳しくお聞きし、そのうえで適切な処置をして、不安のない、より早い完治のためのサポートをしたいと思います。
痛みで苦しんでいる患者さんに、「この痛みは注射で楽になりますよ。」と説明すると、「単に痛みを取る麻酔的なものなら我慢します。」とか「痛み止めの注射は癖になると聞きました。」という答えが返ってきます。これは間違った認識です。
痛みは早く取らないと「痛みの悪循環」が起こり、さらに痛くなることもあります。神経ブロックは、この悪循環をブロックし、さらに血流を増やして自然回復力を高める働きがあります。決して「一時しのぎ」の治療法ではなく、即効性のある治療法のひとつです。
痛み刺激が脊髄から脳に伝達されると、ほぼ同時に交感神経と運動神経が刺激され、末梢の血管収縮、筋肉の収縮が起こります。また、交感神経から副腎が刺激され、カテコラミンが分泌され、血管収縮がさらにすすみ、局所の乏血、酸素欠乏がおこり、発痛物質が生成され痛みが徐々に強くなります。この状態を放置すると、痛み刺激が脳に伝達されず、脊髄で反射的に交感神経を刺激しさらに増悪する状態になっていきます。これを痛みの悪循環といいます。
ブロックは、局所麻酔薬と神経の炎症を抑える二つの薬を使って、「痛みの悪循環」を断ち切る治療法です。局所麻酔薬は単に痛みを感じる知覚神経を抑えるだけでありません。運動神経に作用して筋肉の緊張を和らげ、さらに交感神経にも作用して血流を改善させることが出来るのです。
どんな些細な症状でも治療の参考になりますので、ご気楽に外来看護師にお伝えください。

なお、前号で今月はフットケアについて2の続きの予定でしたが、急遽「むち打ち損傷」に変更しましたことをお詫びいたします。次号では「フットケアについて3」ついてのコスモス新聞になります。

第60回映画楽会

題目
蛇姫様
2月20日(水曜日)
午後1時00分上映
3階食堂
川口松太郎の原作に忠実な映画化で、演出には娯楽映画をとらせてはナンバー・ワンの渡辺邦男監督があたり、大映スコープ・総天然色で、絢爛たる中に、千太郎の活躍を存分に描くものであります。
当時人気上昇の市川雷蔵が主人公千太郎に扮し、「弁天小僧」でその片鱗をのぞかせた彼の歌舞伎の演技修練を、この作品では三つの場面の劇中劇で、またラストの幻想的な雷蔵・嵯峨のデュエットで藤間勘五郎振付のモダン舞踊をするのも、新しい雷蔵の魅力を発揮したもんです。
雷蔵の千太郎に対し、名コンビとして既に定評のある嵯峨三智子が琴姫として出演するのも、この作品の見所である他、お島に近藤美恵子、千太郎の妹、おすがに中村玉緒、植原一刀斎に黒川弥太郎、新免重時に林成年、敵役の佐伯左衛門に河津清三郎、京極寛次郎に田崎潤などが顔を並べ、作品に厚みを加えています。

舞台は現在の栃木県那須烏山市。烏山城の三ノ丸址にある寿亀山神社にはこの作品が公開された同年、「蛇姫様」の句碑「梅雨くらく蛇姫様の来る夜かな」(松太郎)が建立されたとか。
お楽しみに!!!