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コスモス新聞

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コスモス新聞第214号

放射線とは何だろう

皆さんご存知のように、福島第一原子力発電所事故は、2011年3月11日に日本の東京電力福島第一原子力発電所において発生し、大量の放射性物質が流出しました。

同日発生した東北地方太平洋沖地震により、運転中の原子炉は緊急に自動停止したものの、平常の海抜からの高さ14メートルから15メートルの大津波によって原子炉の冷却に必要な電源を喪失したことが事故の引き金となりました。2号機は、原子炉格納容器につながる圧力抑制室が破損し、核燃料棒に含まれる高レベルの放射性物質が大量に外部に漏出しています。1、3、4号機の建屋は水素爆発を起こして大破しています。
原子力安全・保安院による暫定評価は最悪のレベル7(深刻な事故)し、レベル7の原子力事故は、1986年にソビエト連邦で起きたチェルノブイリ原子力発電所事故以来2例目とのことです。

今回は放射能について勉強しました。

放射線とは波長が短い電磁波及び高速で動く粒子のことを言います。
電磁波という言葉は、電気の「電」磁気の「磁」波長の「波」が合成した言葉です。
電気の影響が及ぶ範囲を「電場」磁気の影響が及ぶ範囲を「磁場」といわれます。
電場と磁場は、相互に関連し合い電磁場となりますが、水に石を投げ入れた時の波紋のように進行していくのが電磁波です。乾燥した冬場に、髪の毛どうしが絡み合ったり、化繊の服が体に吸い寄せられる現象は、静電気から発生する電場による影響です。
電場は人体の体内を通ることはできませんが、皮膚の表面に電気を走らせる事が出来ます。
磁場とは磁石の回りに砂鉄をまくと、砂鉄が磁石に引き付けられ幾つかの筋が生じるような力が働きます。これが磁場です。
地球全体は静磁気である磁石であるといわれており、南極と北極が対極どうしで引き付けあって、磁場を作っています。
磁場は人体の体内に入る事ができます。このことは肩こりのための体に貼る磁石や、MRIなどの医療検査装置は人体における磁場作用を利用した物です。
電磁波は波を描いて進むが、1秒間にいくつの波を描くかを周波数、波の長さが短いものを高周波、長いものを低周波と呼びます。
電気が流れると、そこに電場と磁場が起きます。この二つが組み合わさり波として伝わります。つまり電気の流れているところでは必ず電磁波が発生するのです。

一般的には太陽光より周波数の低い電磁波を[電波]と呼び、高い周波数を[放射線]と呼びます。
「放射線」は目に見えないので、不安を感じている人もいるでしょう。放射線は、宇宙誕生のときから存在し、私たちは日常生活の中で、いろいろなものから放射線を受けて暮らしており、受ける量が少しならば健康への影響はありません。

また、放射線は医療をはじめいろいろなところで役立っています。
X線はレントゲンにより1895年に発見されました。X線と名付けたのは、なにか不思議な未知の光線という意味からでした。
レントゲンによりX線が発見された後、ベクレルはウラン鉱石からX線と同様に物質を透過する線が放射されていることを発見しました。ウラン鉱石から放射されている放射線は、物質自身から自発的に放出されます。この物質の放射線を出す性質は、後にマリー・キューリーにより放射能と名付けられました。
レントゲンは陰極から陽極に向かって飛んでゆく電子の流れである陰極線の研究をしているときに、電子が陽極にぶつかって出てくる不思議な線を見つけました。この線は、本やトランプのカードを通過しましたが、鉛は透過しませんでした。レントゲンは、実験中に鉛を手で支えていましたので、その線によって彼の手の骨の影が蛍光板に映りました。
X線は直ちに医学に利用され、診断や治療に広く使われるようになり、医学に多大の進歩をもたらしました。その一方見方を変えると、その進歩は生物に対する放射線の障害作用を人類が学んでいった過程でもありました。特に放射線が利用されはじめた頃は、放射線の生物に対する影響が知られていませんでしたから、今日では考えられないような無防備さで放射線を扱い、医師や技師さらには患者にも皮膚癌、白血病などをおこし、亡くなる人も多くいました。
地球が生まれたのはいまから46億年前のことと考えられています。まだ熱かった地球が徐々に冷えて海が出来、生命が生まれたのは地球誕生から6億年位経った頃です。現在一般に考えられているのは、原始の生命が生まれたところは深い海の底で、海水の温度も高いところでした。何故浅い海に生命が生まれなかったのでしょうか? その大きな理由の一つと考えられるのが生命に有害な宇宙線です。現在生命を守る地球の多重バリアーには、地球磁場、大気、オゾン層がありますが、地球磁場がまだ形成されていなかった頃には浅い海で生命が生まれたとしても降り注ぐ宇宙線によって壊されてしまったのでしょう。生命が浅い海に移動してくることができたのは地球に磁場が形成され、有害な宇宙線の進入を防ぐことが出来るようになった27億年前頃です。そして、生物が陸上に進出してきたのは紫外線を防ぐオゾン層が形成された5億年前のことです。このように生命の誕生、進化の歴史と放射線の関係を振り返ってみると、生命は宇宙線や紫外線などの有害な放射線の届かないところで生まれ、そして危険がなくなったところに進出していったのだ、といえるでしょう。
生命誕生の歴史から考えると「地球上に降り注ぐ放射線が多重バリアーにより生命に危険がなくなる程少なくなった。だから生物が生きていられる」ということです。

放射線は生物に吸収されると直接その細胞のDNAに傷をつけたり、細胞の中の他の原子や分子(特に水)と作用して間接的にDNAに傷害を与えたりします。DNAは細胞や体を作り上げてゆくためになくてはならない設計図ですから、放射線による傷害が大きくて修復できなければ細胞は死にます。また修復に間違いが起きれば、奇形、癌、その他の病気の原因になります。
原子力発電所では、原子炉の中の核分裂によって放射線や放射性物質が生まれますが、厳重に閉じ込め、管理されているので、人体や環境への影響が及ばないようになっています。
「放射線」は、光の仲間です。放射線を出す能力を「放射能」といい、放射線を出す物質を「放射性物質」といいます。放射線にもさまざまな種類があり、その種類によって性質も異なります。放射線の単位には、放射能を出すほうに注目した単位と、放射線を受けた方に注目した単位の2つに大きく分けられます。
エネルギーとはものを動かしたり、照明をしたり、温めたりといったように、すべての仕事の元なる力のことです。運動エネルギーは発電機の中で電気エネルギーに変えられ家庭に送られると、そこで電気洗濯機のモーターや炊飯器によってそれぞれ運動エネルギーや熱エネルギーに変化します。
光子がもつエネルギーは小さなものから非常に大きなものまで広い範囲にわたり、その大きさによって放射線を分類します。X線、ガンマ線は高エネルギー光子です。
エックス線やガンマ線もエネルギーの小さな塊、光子と考えられています。
この中でアルファ線、ベータ線、ガンマ線、X線、中性子線が主な放射線で、アルファ線、ベータ線、中性子線は粒子、ガンマ線とX線は電磁波です。

自然界からの放射線を「自然放射線」といいます。今、1人が1年間に自然放射線を受けている量は、世界平均で2.4ミリシーベルトといわれています。
自然放射線の量は場所によって変わってきます。日本全国を県単位でみても、最も高い岐阜県は1.19ミリシーベルト、神奈川県の0.81ミリシーベルトと、1.5倍ほどの差があります。
海外をみると、ブラジルのガスパリは10ミリシーベルトと、日本の10倍近い値です。これは土壌中のモナザイトという鉱物のためといわれています。

航空機で東京都ニューヨークを往復すると、0.2ミリシーベルトの放射線を受けることになります。地上から高いところほど、宇宙からくる放射線(宇宙線)の量が多くなり、1万メートル以上の高度では、地上(海面)の約150倍の宇宙線が降り注いでいるからです。

身体の中の放射性物質は、食品を通じて身体の中に取り込まれます。主な放射性物質は、カリウム40、炭素14など数種類です。これはすべて自然に存在する放射性物質です。最も多いカリウム40は、いろいろな食品に含まれていますが、放射性物質が体内にたまっていく心配はありません。

放射性物質は、崩壊して少なくなっていくうえに、排泄によって体外に出され、たまり続けることはありません。
医療で診断に使われるレントゲン撮影や、CTスキャンなどのX線、また核分裂のエネルギーを取り出す原子力発電所で生まれる放射線は人工放射線といいます。

人工放射線は、放射線の種類や性質は自然放射線と変わりなく、人体への影響も自然放射線と変わりません。
放射線や放射能のさまざまな性質がうまく利用されています。
例えば、透過力は、普通では見えないものを見させてくれます。体内を見るX線検査はその例です。体内に限らず、構造物の内部など外部から直接検査できない場所などを調べる「非破壊検査」もよく知られている放射線利用の一つです。
生物の細胞への影響を利用した例としては、がん治療から、ジャガイモの発芽抑制、害虫駆除のための不妊化などに利用されています。がんの治療も、生物の細胞に影響を与える作用を利用したものです。
放射線の電離作用を利用した例としては煙探知器があります。ふたつの電極の間を常時、放射線(アルファ線)が流れる装置をつけておくと、煙がこの装置に入ったとき、煙の粒子で放射線が遮られ電流が低下します。このときに警報が鳴るように作った装置が煙探知器です。

このように放射線、放射能も使い方を誤らなければ人間にとっていいものになるのです。人間の英知を集めれば必ずや、この難局を乗り越えられると信じています。