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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第211号

変形性膝関節症について

今回は昨年12月の続きになります。もう一度勉強しましょう。
高齢者の関節痛、腰痛の原因で最も多いものが、変形性関節症と変形性脊椎症です。両者を合わせて変形性骨関節疾患といいます。
これは、骨や関節での軟骨や椎間板が変性や摩耗を起こして骨が硬くなったり骨棘(脊椎や関節の骨から出るとげのような骨)ができたりして、全体に変形していくものです。この2つは同じような変化なので、ひとりの患者さんが変形性関節症と変形性脊椎症を合併する場合が多く、一方で、骨粗鬆症が強い場合は、一般に変形性変化が少ないといわれています。
症状を伴わない関節の変形や脊椎の変形は加齢現象であり、治療の必要はありません。逆に、痛みが強かったり、関節の動きが悪いなどの機能障害がある場合は、整形外科を受診して状況を判断してもらってください。

変形性関節症の頻度が多い関節は、膝関節、股関節、手の遠位指節関節(指先の関節)です。また、変形性脊椎症は頸椎と腰椎に多く、胸椎は肋骨の支えがあるために負担が軽く、変形性の変化が起きにくいようです。
変形性膝関節症は変形性関節症のなかで最も多く、「年をとって膝が痛い」という場合のほとんどがこの病気です。女性に起こることが多く、ほとんどが内反型、すなわちO脚状の変形を伴い、病気が進むにつれて内側の関節面の軟骨がすり減っていきます。
変形性関節症は、関節の軟骨が破壊されて関節全体に退行性変化が起こった状態で、よくみられる病気です。とくに膝は体重を受ける関節であり、好発部位といえます。初老期から発生することから、変形性膝関節症は高齢者の日常生活に支障を来す重大な問題といえます。
変形性関節症は、関節の軟骨が何らかの原因で弱くなったり、軟骨下骨(なんこつかこつ)が正常な負荷を吸収できない状態で発生しやすくなります。関節の軟骨は硝子様(軟骨で、内容はプロテオグリカン、水、コラーゲンから成っています。変形性関節症は軟骨のコラーゲン線維の破壊、プロテオグリカンの軟化、消失が発生の原因といわれています。

誘因としては全身的因子、加齢的因子、体質的因子、機械的因子、局所的因子があり、いずれにしても単一の因子によるものではありません。
最も多い自覚症状は疼痛で、とくに初期の場合は動作を始める時の痛みです。日本人の場合には、O脚が多いので荷重は関節の内側に集中し、痛みが起こります。女性に多く発生し、とくに肥満になっている人に多く起こります。また、はれを伴うことが多く、関節水腫が原因になります。関節液は黄色透明です。関節のすきまから前内側膝蓋部にかけて圧痛点があります。

病状が進行すると膝関節を完全に伸ばすことができなくなり、屈曲も制限され、さらに変形が進むと関節が側方にぐらつくようになります(側方動揺性)。
典型的な症状は、長距離歩行時の痛みから始まり、正座ができなくなり、立ち上がりやしゃがみ込み、階段昇降がつらくなり、次いで歩行もしづらくなってくるといったものです。一方で、安静時の痛みは少ないのが普通です。進行してくるとO脚状の変形が強くなり、膝は慢性的にはれて大きく見え、曲げ伸ばしの角度が徐々に悪くなってきます。
X線写真では、骨棘が形成されたり、関節のすきまが狭くなったり、軟骨下骨の組織が硬化している像などがみられます。膝関節が内側に反るように変形し、下腿軸の異常が起こります。そのため、荷重した状態で下肢の全長正面像を撮影することが重要になります。
 
診断は年齢、臨床所見、X線所見から行います。さらに関節造影や関節鏡を行うことで、より正確なものになります。鑑別診断で重要なものは、関節リウマチと膝関節結核との区別です。関節リウマチは赤血球沈降速度の亢進とリウマトイド(RA)因子が陽性であることから、また膝関節結核は滑膜生検(組織を取って調べる)所見から、見分けることができます。

内服薬、外用薬、注射、理学療法、手術などです。

まずは保存療法を行います。膝関節への負担を軽減させるために体重を減らします。大腿四頭筋の訓練が重要で、膝関節の安定性と関節水腫の改善が期待できます。装具療法も大切で、O脚を改善させる足底板の装着が有効です。
内服薬は、消炎鎮痛薬が主になります。常用すると胃潰瘍などが心配なので、痛みが強い時だけ、あるいは外出の予定がある時だけ服用するといった服用方法がよいと思います。ただ、安静時も痛い、痛みで眠れないといった場合は、1日2~3回、時間どおりにのむ場合もあります。
 
外用薬は、皮膚からの吸収がよい消炎鎮痛薬の入った湿布、塗り薬を使います。冷湿布と温湿布のどちらがよいかよく聞かれますが、今の外用薬は消炎鎮痛成分の効果を期待しているので、大きな差はありません。両方使ってみて決めるのもひとつの方法です。ただ、温湿布は皮膚への刺激が強いので、湿布かぶれが多い傾向にあります。
 注射は、主にヒアルロン酸という、関節液や軟骨の成分を含んだ注射剤をよく使います。潤滑剤としてのはたらきや炎症を抑える効果もあります。また、ステロイド薬を使うこともあります。炎症や痛みを抑えるのに高い効果がありますが、使いすぎると逆に軟骨や靭帯を弱くすることがあります。

理学療法では、温熱療法がよく行われます。いわゆる"デンキをかける"という治療もこれにあたります。効果は一時的な場合から、すっかりよくなる場合まで、膝の状態によってさまざまです。3~6カ月続けてみて、効果があるようなら続けます。太ももの筋肉(大腿四頭筋)を鍛えることも重要です。
 
変形性膝関節症の手術には、高位脛骨骨切り術、関節鏡手術、人工膝関節全置換術などがあります。病院では、痛みの程度や歩行能力、年齢、X線所見、患者さんの希望などを考慮して手術の適否を決定し、手術法を選択します。人工関節置換術は、長期成績も良好で手術後のリハビリテーションも早く進むので、年々手術件数が増えています。


膝が痛いからといって「安静」にしていませんか?

じつは、それが症状を悪化させていたのです。「膝痛は年のせい」とあきらめるのは間違い。痛み解消のカギは「軟骨細胞の活性化」それを実現するのが「膝痛体操」
膝を無理に曲げずにできる体操なので、すでに痛みがある人にも実践可能です。膝が痛い時は、五種類の膝痛体操を朝・晩10分ずつ(1日20分)
時間が無ければ、1,2だけでも、続けてください。

1.脚上げ体操  
1セット=左右各20回
あお向けに寝て、片方の膝を立てる
ポイント
反対側の膝を立てると腰に負担がかからない。
脚が曲がらない人は伸ばした状態でOK

2.伸ばしたほうの脚を、膝を曲げずに床から10cm上げ、5秒間静止してゆっくりと戻す。
20回繰り返したあと、反対側の脚も同様に行う
ポイント
膝が曲がらない人は、曲がったままの状態でOK

おもりをつけてレベルアップ
脚上げ体操が楽にできるようになったら、足首におもりをつけてやると、さらに効果的。まず、500g位から始めましょう。

3.膝伸ばし体操  
ゆっくり上げ下げするのがコツ
1セット=左右各20回

脚を前に伸ばして床に座り、二つ折りにした座布団を膝の下に置く。
膝は自然に軽く曲げて、かかとを床につける。
片方のかかとを上げてひざを伸ばし、5秒静止して、ゆっくり戻す。
20回繰り返したあと、反対側の脚も同様に。