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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第209号

変形性膝関節症について

膝関節の軟骨がすり減り、次第に変形を生じて、痛みなどが起こる病気です。
正常の膝関節では関節の表面は軟骨で覆われています。弾力性に富んだ組織からなる軟骨は、衝撃を和らげたり、関節の動きを滑らかにしたりしています。また、滑膜から分泌される関節液は軟骨の成分の1つであるヒアルロン酸を含んだ粘りのある液体で、膝関節がスムースに動く潤滑油と軟骨の栄養の役割を果たしています。

初期の変形性膝関節症では、軽度の関節軟骨の磨耗が生じますが自覚的な症状はほとんどありません。
軟骨の磨耗がある程度すすむと、膝の曲げ伸ばしや立ち上がり、歩行時の膝にかかる負担の増加および軟骨、半月板の変性による刺激により関節炎が生じます。

関節炎では、膝を曲げ伸ばししたときの痛みや曲げ伸ばしの制限が生じます。また、関節液が多量に分泌されて関節に「みず」がたまることもありますが、関節内のヒアルロン酸は逆に減少します。

進行期の変形性膝関節症では、軟骨の磨耗がさらに進み関節の土台の骨(軟骨下骨)が露出したり骨棘といった骨そのものの変形が生じたりします。

この状態では、膝を動かしたり立って歩いたりするたびに硬い骨同士が直接ぶつかり合うため強い痛みを生じ、曲げ伸ばしの制限も高度となり日常生活において大きな障害となります。

変形性膝関節症になりやすい人は。

変形性膝関節症は年齢とともに増加します。一般の人を対象にした疫学調査では、60歳以上で女性の約40%、男性の約20%がレントゲン上、変形性膝関節症と診断されます。さらに、この割合は80歳代では女性で60%以上、男性でも50%近くに達します。そして、レントゲン上で変形性膝関節症の所見がある人のうち約20%に膝の痛みや腫れなどの自覚症状が見られます。また、どの年代でも女性の割合が男性に比べて1.5~2倍多くなっています。
変形性膝関節症の発症・悪化要因について多くの研究が行われています。これまでのところ女性、肥満、O脚については変形性膝関節症との関係があると言われています。特に日本人ではもともとO脚の傾向があり、膝の内側により負担がかかりやすくなるため、日本人の変形性膝関節症はその90%ちかくが膝の内側により強い変形が見られます。

症状は
膝を動かしたときに痛みが起こる(動作時痛)
日常生活で膝を動かしているときに痛みを感じます。とくに立ち上がりや歩行時、階段昇降時など膝に体重がかかるときに多く見られます。

膝の曲げ伸ばしがつらくなる(可動域制限)
膝の曲げ伸ばしの制限が生じます。日常生活では膝をピンと伸ばして立つことや正座、しゃがみといった動作がしづらくなります。

膝に水が溜まる(関節水腫)
関節炎により多量に産生された関節液が膝関節のなかに貯留した状態です。中等度以上の関節水腫は関節炎の鎮静化や軟骨の栄養に悪影響を与えるため、関節の外へ排出する必要があります。。
膝が痛む原因にほかの病気が考えられる場合などにMRI検査を行います。これにより、関節リウマチなどと鑑別することができます。

MRIは磁気を用いて膝の内部を映し出して、コンピューターで画像を作る検査です。レントゲンのように骨だけでなく、軟骨、靭帯、筋肉なども詳しくみることができます。

変形性膝関節症の保存療法:リハビリテーション

変形性膝関節症の治療方法には、大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。保存療法にはリハビリテーション、装具療法、物理療法、薬物療法があり、これらを組み合わせて行われます。手術療法は、保存療法で効果が得られない場合に選択されますが、この数は決して多くはありません。変形性膝関節症は、加齢による関節の変化が主因なので、関節の機能を維持しようとする患者さん自身の気持ちとがんばりがとても大切です。
変形性膝関節症に対するリハビリテーションの目的はひざの曲げ伸ばしの回復とひざを支える筋力の回復です。関節の2大機能である可動性と支持性を回復させるリハビリテーションは変形性膝関節症の治療のみならず予防法としても大変重要であり、多くの人に積極的に行っていただきたい事です。
可動域訓練は、変形性膝関節症によって関節の動きが悪くなったり、動く範囲が狭くなったりした場合に、その動きの改善や動きの範囲を広くするために行われます。

ひざの曲げ伸ばしの訓練は、まずひざを温めてから行うと痛みも少なく関節や筋肉も柔軟になっているのでより効果的です。蒸しタオルを10分程度ひざに当てたり、入浴時に浴槽のなかで訓練したりするのが良いでしょう。

変形性膝関節症では、太ももやひざの周りの筋肉を鍛えて膝関節を支える力を強くすることが大切です。仰向けに寝た状態や椅子にすわった状態で片方の脚を伸ばし(寝た状態では30位に挙上)、そのまま10秒ほど支える方法は膝関節を支える筋肉として1番重要な大腿四頭筋の力を鍛える簡単な方法としてお勧めです。また、水中歩行などプールでの運動は浮力のために膝への負担が少なく筋力をつけるのに大変有利です。
変形性膝関節症の進行を防ぐためにもいい方法です。手軽な運動を、決して無理はしないように毎日続けることが大切です。必ず医師や看護師の指導のもとに行なってください。もう少し判りやすく言いますと、椅子に座って、できるだけ背すじをのばし、膝をゆっくりのばします。脚をまっすぐにした状態で4つ数え、ゆっくり下ろします。(最初は足首に重りをつけてはいけません)
仰向けに寝て、片方の脚をのばし、もう片方の足は膝を曲げます。のばした脚をそのままゆっくり上に上げて、4つ数えたらゆっくり下ろします。
浴槽に両脚をつけ、ゆっくり、浴槽を押すように力を入れます。膝をのばすときに力を入れて4つ数えます。
寝る前にも横向きに寝て、上の脚をのばしたまま股を開くようにゆっくり上げます。4つ数えて、ゆっくり下ろします。

軟骨とは?ヒアルロン酸とは

関節がよく働き、また重い体重を受けられるように、骨の端を弾力性のある切り餅状の半透明な2~5μmの厚さの物質が覆っています。それが関節軟骨です。関節軟骨は、コラーゲンという靴革にも使えるような硬いたんぱく質がスポンジのような構造をして、その間にコンドロイチン硫酸とケラタン硫酸というコンニャクのような物質がたくさん詰まってできています。この構造のおかげで、関節軟骨は重い体重を一日中受け続けたり、また走ったりした場合の大きな衝撃にも耐えられる構造をしています。
関節軟骨をつくる軟骨細胞は、軟骨内にシャンペンの気泡のようにあちらこちらに散らばって存在していますが、細胞の周辺のみに少量のヒアルロン酸のあることが分かっています。

ヒアルロン酸ってどんなもの?

ヒアルロン酸の多くは、関節の内面を覆っている滑膜の細胞が、関節液とともに産生してできます。関節を曲げる、関節を踏みつけて圧迫する、などの際にヒアルロン酸は、関節軟骨の表面と表面の間にできたひだ由来の間隔に挟まり、大きな分子が圧縮されます。ヒアルロン酸が圧縮されることで、関節面を接触しないように押し広げる働きをしています。このようにして関節軟骨の表面を摩擦により擦り減るのを防いで、生涯にわたり使いやすい状態に保ち続けています。
変形性膝関節症や関節リウマチでは関節液の主成分であるヒアルロン酸が酵素の力で壊され、ヌルヌルしなくなってしまいます。その場合、新しいヒアルロン酸を注射で関節内に入れますと痛みが少なくなり、歩きやすくなるのです。ヒアルロン酸は、納豆のネバネバのような物質で、自動車のオイルやグリースのような働きもしています。
軟骨の磨耗を少しでも少なくするのは運動が大切なのです。がんばって運動をしましょう。

当院の名誉院長は平成22年2月11日永眠いたしました。
名誉院長は生前より映画が好きで、血をひいてるのか、わたしも映画が大好きです、劇場にはあまり行きませんでしたが、ビデオ、DVDを観ていました。
一番好きな映画は黒澤明の「わが青春に悔なし」でした。
戦前の京都大学で起きた滝川事件を題材にしています。挿入歌も第三高等学校寮歌で「紅もゆる丘の花」です。名誉院長も京都大学出身なので懐かしくもあったのでしょう。
この映画は戦中、国家主義によって言論・思想がことごとく弾圧されていた時代。反戦・平和運動に命を捧げる男と共に、あえて苦難の道を選んで生きる女性(原節子)の物語です。滝川幸辰にあたる「八木原教授」を大河内"丹下左膳"伝次郎が、尾崎秀実にあたる「野毛」を藤田進が演じます。
この作品は何と言っても原節子さんの存在に尽きるでしょう。むさ苦しい男子学生達の中にあって、美しいお嬢さんの存在は、荒野に咲く可憐な一輪の花のよう(例えが変?)。
これは父の言葉です。
野毛がスパイ容疑で逮捕される時に「夜のプラットホーム」という曲が流れます。父から聞いたのですがこの曲は東京駅で夜行寝台を待つ時などに流されていたそうです。ただ、この曲は昭和22年の二葉あき子のヒット曲ですが、この映画が作られたのが昭和21年。
名誉院長の口癖であった「自由に生きろ」はこの映画からであったような気がします。「悔いのない生活を」「自由の裏には犠牲と責任がある」といつも。
戦後60年を過ぎ、自由主義の世の中になったとはいえ、今あらためてこの作品を観ると、真の自由とは何かが問い直されている気がします。
余談ですが、名誉院長の話では映画のはじめにピクニックで行く吉田山は、京都大学の東側にある「丘」のような山で、そこからは京都大学はあんな風には見えないそうです。ですから映画の「吉田山」は景色がひらけており、あんなふうに見えるのは、大文字山ではないかと言っておりました。