香川県高松市での整形外科・内科・健康診断・予防接種は吉峰病院へ。

English

コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第208号

金魚のウロコ

皆さんはご存知ですか、金魚が宇宙にいったのを。

金魚のウロコが宇宙ステーションに運ばれて、新薬開発の基礎研究に使われました。
なんでって誰もが思います。
無重力状態の宇宙でなぜ骨は弱くなるのか、金魚のウロコで調べよう!大学の研究者たちが提案しました。
地上では重力、宇宙では無重力。これを調べれば重力が骨に与える作用が解明でき、骨粗鬆症の飛躍的な研究が簡便にできるのです。金魚のウロコには、ヒトの骨と同じ骨芽細胞(骨を作る細胞)と破骨細胞(骨を溶かし壊す細胞)があり、人の骨とよく似た代謝を行っていることも判っており、宇宙実験に成功すれば、地上での課題がクリアできるのです。ウロコが2000枚運ばれたようです。ウロコを取り出すのが大変だったと思うのですが。
ウロコと骨粗鬆症....何とも不思議な関係ですね。

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は、骨がすかすかになり、脊椎や股関節、手関節、肩関節付近の骨折が起こりやすくなる病気です。骨粗鬆症は特に閉経後女性に多く見られ、日本では骨粗鬆症患者さんは1100万人、そのうち閉経後女性の骨粗鬆症の患者さんは800万人と推定されています。しかし不思議な事に、実際に治療を受けている患者さんは4分の1から5分の1くらいだと考えられています。骨粗鬆症によって椎体骨折が起こると、背骨が曲がったり身長が縮んだりします。椎体骨折は、ひとつ骨折を起こすと、2つ目以降の骨折が起こりやすくなることから、骨粗鬆症による最初の椎体骨折を予防することが重要となります。日本女性の平均寿命は85歳を超えており、閉経後の人生は35年にもおよびます。閉経後の人生のQOL(生活の質)を保ち、健康的で活動的に過ごしていかなければならないのです。そのためにも、骨粗鬆症をしっかり理解、勉強することが大切になるのです。

10月8日の「骨と関節の日」にあわせて、骨粗鬆症患者への実態調査結果が発表されました。60歳以上の女性骨粗鬆症患者を対象に調査したところ、「診断前に自分は骨粗鬆症を疑ったことが無かった」との回答が全体の7割を占めました。また8割が「自分には関係ない」と思っていたとが分かりました。骨粗鬆症は60際以上の女性で約3人に1人、70際以上で約2人に1人とされています。

また、骨粗鬆症と診断される前に骨密度検査を受けたかを聞いたところ、48%が「一度も受けたことはない」と回答。また骨粗鬆症が判明したきっかけについては、「かかりつけ医に検査を勧められて」が30%、「会社や市・区などの骨密度検診を受けて」が23%、「骨折して医療機関を受診して」が15%、「自ら医療機関を受診して」はわずか10%でした。

一方、骨粗鬆症が原因で骨折したとの経験は32%で、骨折部位は「太もも・足」が36%、「手首・腕」が29%。今後不安に思うことでは、「骨折して寝たきりになってしまう」が59%となっていました。
自覚症状が無いため、骨折するまで症状が現れないケースも多くあります。骨折をして初めて骨粗鬆症が分かった患者様もたくさんいます。
また骨折して寝たきりのなる可能性もありますから、早期に骨密度を測定し、骨粗鬆症への発症を予防することが求めているのです。

先日、骨粗鬆症の新しい概念の薬が厚生労働省から新薬として承認されました。」その薬は、「フォルテオ」(主成分テリパラチド)と呼ばれていて、海外では2002年から用いられており、やっと日本でも使用できるようになりました。
私たち整形外科医が今までの薬ではコントロールできない骨粗鬆症の為に待ち望んでいたのです。
フォルテオの主成分であるテリパラチドは、ヒトの副甲状腺ホルモン(PTH)をもとに作られたペプチド(複数のアミノ酸が結合してできた化合物)です。PTHは、ヒトの副甲状腺から分泌されるホルモンで、骨の代謝をコントロールしています。このPTHの活性の原因となる部分ペプチドを抜き出し、遺伝子組換え技術により作られたのがテリパラチドです。

現在の技術では、このペプチドを飲み薬として投与することは難しい(消化管で分解されたり、腸から吸収されにくい)ので、1日1回、皮下注射によって投与します。
糖尿病の方が自己投与しているインスリンと同じ様に考えてくださってもいいと思います。
フォルテオは、ヒトの骨を作る骨芽細胞の数を増やしたり、骨芽細胞の数が減らないようにする働きを持っています。骨芽細胞の数が増えることで骨の量が増え骨が強くなることで、骨折などをおこすリスクを減らすことが出来ます。これまでの骨粗鬆症治療薬は、主に骨を壊す「破骨細胞」の数を減らしたり働きを止めることで、骨が壊れるのを止める作用を持っています。もろくなってしまった骨を強くするには、骨を作り出す骨芽細胞の力に頼るしかありません。この薬はまさにこの過程を手助けする新しいメカニズムを持つ薬なのです。
ですが、すべての骨粗鬆症の患者様にこの薬を使っていただくのでは決してありません。

現在治療に使われる主な薬
・活性型ビタミンD3製剤
食事で摂取したカルシウムの腸管からの吸収を増す働きがあります。
・ビタミンK2製剤
骨密度を著しくは増加させませんが、骨形成を促進する作用があり骨折の予防効果が認められています。
・女性ホルモン製剤
女性ホルモンの減少に起因した骨粗鬆症に有効です。閉経期のさまざまな更年期症状を軽くし、併せて骨粗鬆症を治療する目的で用いられます。
・ビスフォスフォネート製剤
骨吸収を抑制することにより骨形成を促し、骨密度を増やす作用があります。骨粗鬆症の治療薬の中でも高い有効性が認められている薬です。
ビスフォスフォネートは腸で吸収され、すぐに骨に届きます。そして破骨細胞に作用し、過剰な骨吸収を抑えるのです。
・塩酸ラロキシフェン剤
骨に対しては、エストロゲンと似た作用があり、骨密度を増加させますが、骨以外の臓器(乳房や子宮など)には影響を与えません。
・カルシトニン製剤(注射薬)
骨吸収を抑制する注射ですが、強い鎮痛作用も認められています。
骨粗鬆症に伴う背中や腰の痛みに対して用いられます。

これらの薬以外にも、イブリフラボンやタンパク同化ホルモン製剤などが使われる場合もあります。これらを骨粗鬆症の病態にあわせ、治療を行っていかなければなりません。薬だけではなく、食生活の改善、適度な運動、日光浴の大切さ、生活様式の変更、精神の安定さなどがうまくコントロールできなければなりません。
骨粗鬆症の患者は世界で1億人以上とされています。
薬化学の研究グループが骨を作る作用のある化合物を新たに合成しています。この化合物は人類が食物から必ず摂取しなければならない必須アミノ酸の一種「トリプトファン」の構造を一部変えた誘導体です。本来であれば国をあげて共同研究を進めていたなければならないのですが。・・・

品と味のある俳優・小林桂樹さんが心不全のため9月16日死去・86歳でした。
大学を中退して1942年から俳優に。新入社員の姿をほろ苦くユーモアで描いた「ホープさん」(51年)に主演、「これが僕のやりたいものだ」と開眼した記念碑的作品となりました。その後、「社長シリーズ」で実直なサラリーマン役が当たり、平凡で誠実な日本人像を体現した俳優として人気を不動のものにしました。
「裸の大将」「黒い画集」「江分利満氏の優雅な生活」「あの、夏の日~とんじゃろじいちゃん~」・・・と男優主演賞4回受賞という最多記録を持つ俳優です。
長寿社会で老いることの難しさを浮き彫りにした「黄落~その後」などで、晩年はユーモアで身を包み、しみじみとした品と味のある老人の哀歓を見せていました。
私の大好きな映画の一つに1961年公開の「名もなく貧しく美しく」があります。聾唖者の二人を演じる高峰秀子と小林桂樹の組み合わせがぴったりで、美しくもたくましい夫婦愛を見事に表現しています。
何度も観たくなる、宝物のような映画です。
手話で心を交わすシーンは劇中幾度となくでてきますが、昔のサイレント映画を見ているような、独特のあたたまる情感を堪能できるのも本作の特筆すべき特徴でしょう。
また、夫婦愛を描いているだけでなく、母と息子の愛を描いている部分でも十分見応えがあります。
男女の純愛という観点からだけでなくとも、子育てに自信をなくしかけた世のお母さん方にもぜひとも観てもらいたい作品です。
映画の終盤、小林桂樹演じる夫が、妻の高峰秀子にこう言うんです。
「自分は、この家にいるときだけはまるで耳が聞こえるようだ」
「僕は、君や君のお母さん、そして息子の考えていることなら耳が聞こえなくても、全部解る」と。・・・
家族が解り合え、支えあって生きることってやっぱり、一番の幸せ。
私はその台詞を聞いたとき、いつも心が洗われるのです。
映画では美しい構図やら面白い映像があるわけではないのですが、高峰秀子と小林桂樹の表情を描写の中心の持ってきて、ほかがそれを邪魔しないように作られています。そのさりげなさは現在の映画には描けない描写ではないでしょうか。
なかなかうまいもんで、感心させられます。
一ヶ所、最後の方だったと思いますが、高峰秀子が画面を横切る、ただそれだけのシーンに、はっとする美しさみられます。その場面が鮮明に残っています。
白黒で時間も130分と長い映画ですが、一度映画楽会で上映したいと思っています。お楽しみに。