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コスモス新聞

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コスモス新聞第199号

変形性膝関節症について

前回のつづきです。まずはおさらいから。

変形性膝関節症とはどんな病気ですか?
"関節軟骨の変性、磨耗による荒廃と、それに伴う軟骨および骨の新生、増殖による慢性、進行性の変形の関節疾患"です。簡単に言えば、加齢、肥満、けがなどにより、関節の軟骨が磨り減り、さらに骨が変形し痛みを生じる病気です。明らかな原因のない、一次性関節症とけが、炎症等の後に生じる二次性関節症に分けられます。90%以上は一次性関節症です。50歳代で発症し、65歳以上で急増します。また、1:2~1:4で女性に多い病気です。

どんな症状ですか?
(1)痛い:初期は動作開始時の痛みを訴えることが多いです。病期が進むと動作中の痛みを訴えるようになり、階段昇降、特に降りるときの痛みが特徴的です。さらに病期が進むと歩行が困難になることがあります。圧痛は関節の内側にあることが多いです。
(2)伸びない、曲がらない:初期は、関節水腫、滑膜肥満が原因で、進行すると関節面の変形、関節包の拘縮、筋力低下が原因となります。正座ができない。
(3)太くなった:関節内に炎症を起こすと関節液が貯まります。
(4)O脚:骨破壊が進んだとき。
(5)ぐらぐらする:歩くとき外側にぐらつく。
(6)肥満:変形性膝関節症の80%に肥満が認められます。

ひざに水がたまったら
いわゆる「水」とは関節液のことで、関節液は関節包の内側にある滑膜という薄い膜でつくられています。関節液は、健常なひざの場合には通常0.5mlくらい含まれ、なめらかな動きや関節軟骨の栄養に大切な役割を果たしています。「ひざに水がたまる」とは、何らかの原因でひざに過度の負担がかかったときに、滑膜が炎症を起こし、その結果、多量に産生された関節液がひざ関節のなかにたまった状態をいいます。変形性膝関節症でも、しばしばみられる症状で、「関節水腫」といいます。
ひざに水がたまったら、まず、その水を抜きます。これは、ひざに多量の関節液がたまったままの状態では、はれによる痛みが出たり、関節のはたらきを悪くしたりするためです。水を抜いた後は、ヒアルロン酸を注入して、ひざの痛みや炎症を抑え、ひざの動きをなめらかにします。ひざに水がたまり、たまった水を抜いても、再び水がたまってしまう場合があります。これは、「癖」になったのではなく、水がたまる原因となった炎症が治っていないからです。他の方法でも滑膜炎を治療しながら水を抜いて、関節内注射をすることで、症状が改善されていきます。
関節軟骨をつく軟骨細胞は、軟骨内に気泡のようにあちらこちらに散らばって存在していますが、細胞の周辺のみに少量のヒアルロン酸のあることが分かっています。


軟骨とは?
関節がよく働き、また重い体重を受けられるように、骨の端を弾力性のある切り餅状の半透明な2~5μmの厚さの物質が覆っています。それが関節軟骨です。関節軟骨は、コラーゲンという靴革にも使えるような硬いたんぱく質がスポンジのような構造をして、その間にコンドロイチン硫酸とケラタン硫酸というコンニャクのような物質がたくさん詰まってできています。この構造のおかげで、関節軟骨は重い体重を一日中受け続けたり、また走ったりした場合の大きな衝撃にも耐えられる構造をしています。
関節軟骨をつく軟骨細胞は、軟骨内にシャンペンの気泡のようにあちらこちらに散らばって存在していますが、細胞の周辺のみに少量のヒアルロン酸のあることが分かっています。


ヒアルロン酸ってどんなもの?
ヒアルロン酸の多くは、関節の内面を覆っている滑膜の細胞が、関節液とともに産生してできます。関節を曲げる、関節を踏みつけて圧迫する、などの際にヒアルロン酸は、関節軟骨の表面と表面の間にできたひだ由来の間隔に挟まり、大きな分子が圧縮されます。ヒアルロン酸が圧縮されることで、関節面を接触しないように押し広げる働きをしています。このようにして関節軟骨の表面を摩擦により擦り減るのを防いで、生涯にわたり使いやすい状態に保ち続けています。
変形性膝関節症や関節リウマチでは関節液の主成分であるヒアルロン酸が酵素の力で壊され、ヌルヌルしなくなってしまいます。その場合、新しいヒアルロン酸を注射で関節内に入れますと痛みが少なくなり、歩きやすくなるのです。ヒアルロン酸は、納豆のネバネバのような物質で、自動車のオイルやグリースのような働きもしています。


薬物療法って?
変形性膝関節症に限らず現在病気の治療に使う薬は大変多くの種類と様々な使い方があります。薬物治療の原則は「必要最低限の薬を適切な使い方で」です。自分のひざの状態をよく理解し、医師とよく相談の上適切な内容を選択してください。


関節内注射って?
ヒアルロン酸
軟骨の成分のひとつであるヒアルロン酸を人工的に作った製剤で、ひざの関節内に直接注入することにより、軟骨の修復を促して、ひざの動きを滑らかにします。穏やかな効き目で、定期的に注入できるのが利点です。
ステロイド剤
強い炎症を抑える目的で用いられることがあります。即効性がある反面、感染や、ステロイド関節症などを引き起こすことがあります。

関節内注入後の注意
・入浴を控える。
・注射したところをもんだり、不潔な手で触ったりしない。
・急に激しい運動をしない。
関節内注入後は、感染を避けるためにその日の入浴は控えて、また注射した部位をもんだり、不潔な手で触ったりしないようにしましょう。痛みがなくなるとついつい、いつもより余計に歩いたりして、ひざに負担をかけて、また悪化させてしまいます。急に激しい運動をしないように気をつけましょう。


内服薬、坐薬
非ステロイド系消炎鎮痛剤
いわゆる「痛み止め」といわれる薬のことで、正しくは関節炎などの炎症を治すことで痛みを和らげる作用を持っています内服薬は通常1日に3回含むものが多いですが、種類によって1日1回や2回のものもあります。また、坐薬はお尻から挿入するタイプのもので使い方が異なりますが、内服に比べて痛みを和らげる効果が強く胃腸への副作用が比較的少ないという特徴を持っています。
外用薬
塗り薬には、クリーム状、ゲル状のものなどがありますが、皮膚の状態、使い心地によって処方されます。塗りこむことによるマッサージ効果も期待されます。貼り薬には、温熱タイプと寒冷タイプがあります。ひざに熱感や腫れがある場合には冷たいタイプが良いでしょう。

変形性膝関節症の治療は、まず保存療法(運動療法や薬物療法など)を行って症状の軽減を図ります。保存療法を行ったにもかかわらず、十分な効果が現れず症状が悪化してしまったような場合に手術療法が検討されます。手術にあたっては、その効果、危険性、手術費用、入院期間、手術後のリハビリテーションの内容など、主治医とよく相談したうえで決めることが大切です。


手術療法
関節鏡視下手術
ひざの中にカメラ(内視鏡)を入れて行う手術です。
関節内を観察しながら、変成した半月板や軟骨、増生した滑膜や骨棘の処理を行います。創も小さく、手術後数日で歩行が可能で、早期に社会復帰ができます。ただし、効果の持続性が短い場合もあります。
高位脛骨骨切り術
脛骨のかたちをかえて、O脚を矯正し、ひざの内側にかかる負担を軽減する手術です。矯正した骨の部分がくっつくまで2~3ヶ月を必要としますが、重労働やスポーツを含めて活動できるまで回復します。ひざの変形が中等度で内側にとどまっており、40~60才代の方で比較的日常活動性の高い方が治療の対象となります。

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人工関節置換術
変形した関節の表面を金属などでできた人工の部品で置き換える手術です。ひざ全体が大きく変形し、痛みが強く立ち座りや歩行など日常生活に支障をきたす場合に行われます。痛みを取り除く効果は高く、日常生活に支障をきたすことはなくなりますが、正座などの深い曲げ伸ばしや運動などの無理は制限されます。人工関節置換術には、関節の表面全体を置き換える全置換術と部分的に置き換える単顆置換術の2つがあり、関節の変形の程度などによって選択されます。主治医とよく相談して適切な方法を選択してください。

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