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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第198号

関節とは何でしょうか

関節は骨と骨のつなぎ目で、動くことと支えることという2つの大切な働きを持っています。わたしたちの身体には約140もの関節があり、それぞれの部分で関節の大きさや形は少しずつ違っています。関節痛とは、何らかの原因で可動性と支持性という関節の基本的な働きが障害されたときに起こってきます。
私たちの身体は、加齢とともに様々な身体機能が少しずつ低下してきます。関節は骨と骨のつなぎ目で、身体を動かす可動性と身体を支える支持性の2つの大切な働きを担っており、日常生活動作において常に動き、体重を支えるという過酷な環境にさらされています。関節の加齢による変化は、関節表面を覆っている軟骨の磨耗や変性に始まり、やがて土台の骨そのものの変形を生ずるようになり、これを変形性関節症と言います。
変形性関節症ではその進行の程度によって関節炎という炎症が生じ、関節の痛みや腫れなどの症状が現れます。また、骨折や靱帯損傷、軟骨損傷など関節の大きな外傷の後では、比較的早期に変形性関節症の変化が生ずることがあります。その中で、最も頻度が高いもののひとつが、変形性膝関節症です。
今回は変形性膝関節症をとりあげました。

変形性膝関節症について

変形性膝関節症とは、膝関節のクッションである軟骨のすり減りや筋力の低下が要因となって、膝の関節に炎症が起きたり、関節が変形したりして痛みが生じる病気です。中高年の方に多い病気ですが、とりわけ女性に多く、50歳以降になるにつれて患者さんの数が増えていきます。
初期は痛みがすぐに治まったり、痛みがあっても年のせいだとあきらめたりして病院を訪れる人が少ないのが現状です。一度発病したら若いころのような膝に戻すことはできませんが、適切な治療を受ければ症状の進行を遅らせることで、普通に日常生活を送ることができます。
痛みを我慢することや、年だからとあきらめたりする前に変形性膝関節症の正しい知識を身に付け、適切な治を受けるよう心がけてください。
変形性膝関節症でも、症状の現れ方や進み方は人によって千差万別です。X線写真では膝関節の変形が相当進んでいるのに症状がほとんどない人、逆にひどく痛むのにX線写真では変形がほとんど見られない人など様です。
変形性膝関節症の症状がどのくらい進んでいるかを知る手がかりとして、自覚症状があげられます。自覚症状は病気の状態をかなり的確に反映しています。
変形性膝関節症は「一次性」のものと、「二次性」のものに大別することができます。変形性膝関節症の多くは、筋肉の衰えや肥満、無理な動作など多くの要因が絡み合って膝への負担となり、膝の関節軟骨がすり減って発症します。このように明確な原因が特定できないものを「一次性変形性膝関節症」といい、一方、けがや病気など原因となるものがはっきりとしているものを「二次性変形性膝関節症」といいます。

一次性変形性膝関節症の危険因子
加齢
女性
筋肉の衰え
肥満
膝への負担の大きいスポーツの習慣
O脚や偏平足など足部の変形
足に合わない靴およびハイヒール など

二次性変形性膝関節症の危険因子
膝周辺の骨折による関節軟骨の損傷
靭帯損傷
半月板の損傷
膝蓋骨の脱臼
膝関節のねんざ
慢性関節リウマチ

変形性膝関節症は年齢とともに増加します。一般の人を対象にした疫学調査では、60歳以上で女性の約40%、男性の約20%がレントゲン上、変形性膝関節症と診断されます。さらに、この割合は80歳代では女性で60%以上、男性でも50%近くに達します。そして、レントゲン上で変形性膝関節症の所見がある人のうち約20%にの痛みや腫れなどの自覚症状が見られます。また、どの年代でも女性の割合が男性に比べて1.5~2倍多くなっています。
変形性膝関節症の発症・悪化要因について多くの研究が行われています。これまでのところ女性、肥満、O脚については変形性膝関節症との関係があると言われています。特に日本人ではもともとO脚の傾向があり、膝の内側により負担がかかりやすくなるため、日本人の変形性膝関節症はその90%ちかくが膝の内側により強い変形が見られます。
期の変形性膝関節症では、軽度の関節軟骨の磨耗が生じますが自覚的な症状はほとんどありません。
軟骨の磨耗がある程度すすむと、膝の曲げ伸ばしや立ち上がり、歩行時の膝にかかる負担の増加および軟骨、半月板の変性による刺激により関節炎が生じます。
関節炎では、膝を曲げ伸ばししたときの痛みや曲げ伸ばしの制限が生じます。また、関節液が多量に分泌されて関節に「みず」がたまることもありますが、関節内のヒアルロン酸は逆に減少します。
進行期の変形性膝関節症では、軟骨の磨耗がさらに進み関節の土台の骨が露出したり骨棘といった骨そのものの変形が生じたりします。
この状態では、膝を動かしたり立って歩いたりするたびに硬い骨同士が直接ぶつかり合うため強い痛みを生じ、曲げ伸ばしの制限も高度となり日常生活において大きな障害となります。


変形性膝関節症の治療方法(保存療法)
変形性膝関節症の治療方法には、大きく分けて保存療法と手術療法の2つがあります。保存療法にはリハビリテーション、装具療法、薬物療法があり、これらを組み合わせて行われます。手術療法は、保存療法で効果が得られない場合に選択されますが、この数は決して多くはありません。変形性膝関節症は、加齢による関節の変化が主因なので、関節の機能を維持しようとする患者さん自身の気持ちとがんばりがとても大切なのです。

リハビリテーション

リハビリテーションの目的はひざの曲げ伸ばしの回復(可動域訓練)とひざを支える筋力の回復(筋力訓練)です。関節の2大機能である可動性と支持性を回復させるリハビリテーションは変形性膝関節症の治療のみならず予防法としても大変重要であり、多くの人に積極的に行っていただきたい内容です。
可動域訓練は、変形性膝関節症によって関節の動きが悪くなったり、動く範囲が狭くなったりした場合に、その動きの改善や動きの範囲を広くするために行われます。
ひざの曲げ伸ばしの訓練は、まずひざを温めてから行うと痛みも少なく関節や筋肉も柔軟になっているのでより効果的です。蒸しタオルを10分程度ひざに当てたり、入浴時に浴槽のなかで訓練したりするのが良いでしょう。


筋力訓練
太ももやひざの周りの筋肉を鍛えてひざ関節を支える力を強くすることが大切です。仰向けに寝た状態や椅子にすわった状態で片方の脚を伸ばし(寝た状態では30~45度位に挙上)、そのまま10秒ほど支える方法はひざ関節を支える筋肉として1番重要な大腿四頭筋の力を鍛える簡単な方法としてお勧めです。また、水中歩行などプールでの運動は浮力のためにひざへの負担が少なく筋力をつけるのに大変有利です。
リハビリテーションは自分自身でできる大変有効な治療法ですが、正しいやり方と適切な量が大切です。間違ったやり方や訓練のしすぎは返って症状を悪化させる場合もあります。医師や理学療法士の説明と指導をちゃんと受けることが必要です。


物理療法
関節や筋肉の痛みがある部分(患部)に、熱や電気、氷などの物理的な刺激をくわえて治す治療方法を「物理療法」といいます。患部を温めることで血行を良くして痛みをやわらげたり関節や筋肉の硬さをほぐしたりする「温熱療法」と冷やすことで腫れを引かせ痛みをやわらげる「寒冷療法」があります。一般的に変形性膝関節症の治療では、慢性の痛み曲げ伸ばしの訓練(可動域訓練)のときには、温める方が良いことが多く、関節の腫れや熱感があるときには炎症症状を改善させる意味で冷やす方がおすすめです。
装具療法
装具の目的はひざ関節にかかる負担を軽くすることと関節を安定化させることです。装具には次のようなものがあります。


サポーター
サポーターは自分で手軽に購入することができますが、サポーター自体にはひざ関節の負担の軽減や関節の安定化作用は大きくありません。サポーターは装着したときに感ずる安定感と関節の保温効果がおもな働きです。


足底板
足底板は靴の中に入れたり足に直接つけたりする装具で、O脚を若干矯正することにより立ったり歩いたりする時にひざの内側にかかる負担を減らして痛みを和らげることを目的としています。変形性膝関節症の初期から中期で変形がそれほど強くない時期に有効です。


機能的ひざ装具
機能的ひざ装具はプラスチックや金属の枠組みでつくられた装具でひざ関節の安定性を高めることで痛みを和らげることを目的としています。簡単な装具の場合、取り外しは簡単ですが関節の安定効果は高くありません。逆に大掛かりな装具は関節を安定化させる効果は高いのですが取り外しがやや面倒であり、費用もかさみます。



体重を分散させるので、歩くときにひざの痛みが緩和されますし、転倒防止にもなります。ひざだけでなく立ったり歩いたりする時の脚全体にかかる負担を軽減し安定性を高めます。杖には松葉杖やさまざまな種類のものがありますが、日常生活ではT字杖が使用されます。

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次回は薬物療法、手術についてです。