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コスモス新聞

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コスモス新聞第197号

インフルエンザについて

インフルエンザは,インフルエンザウイルスによる急性呼吸器感染症です。
毎年流行して多くの患者が発生し,症状が重いことから,人の健康や社会に対する影響が大きく,一般のかぜとは区別して考えられています。特に,小児や高齢者,慢性疾患を有するハイリスクの方は,症状が悪化し,時には死に到るケースもあるため注意が必要です。インフルエンザの流行は,例年,11月下旬から12月上旬頃に始まり,年が明けた頃から患者数が急増し,1~3月の間にピークを迎えてその後は減少に向かい,4~5月頃に終息するパターンをとっています。

インフルエンザの流行

2008年シーズンの流行は,12月第1週から患者数が増加傾向となり,1月第4週にピークとなりました。シーズンのは,主としてAソ連型(H1N1)ウイルスが分離され,次いで12月上旬からA香港型(H3N2)ウイルスも分離されました。1月上旬からはB型ウイルスも,わずかながら分離されています。2009年シーズンは,新型インフルエンザウイルスが6月中旬から検出されはじめ,7月上旬以降は新型インフルエンザウイルスのみとなっています。1999年の調査開始以来,最も早い流行開始となった2009年シーズンは,例年のパターンとは違う状態が予想されています。インフルエンザウイルスに感染すると1~3日間の潜伏期間を経て,発熱(通常38度以上の高熱),頭痛,全身の倦怠感,筋肉痛,関節痛などがあらわれます。その後,咳や鼻汁などの上気道炎症状が続き,約1週間で治癒しますが,いわゆる「かぜ」に比べて熱も高く,全身に症状があらわれるなど,症状が重いのが特徴です。特に,高齢者や慢性疾患の患者は,肺炎などの合併症を併発し,症状が重篤となり,死亡する例もあります。また,小児については,稀にインフルエンザ脳炎・脳症を発症することがあるため,症状の経過をよく観察しておく必要があります。

感染経路

感染者の咳などによる飛沫からの感染です。そのほか患者の鼻咽頭分泌物に汚染されたタオルなどの物品を介しての間接的な感染もあります。
感染者がウイルスをたくさん排出するのは,発症から3日目くらいまでと言われています。家庭内に患者がいる場合などは,この期間中は特に注意が必要です。鼻咽頭分泌物などに含まれるウイルスは,空気中では数時間感染力を保つと言われています。
インフルエンザの流行は広がりが速く,り患率も高いため,感染経路をよく理解して予防対策を行いましょう。

通常の感染予防対策

・外出時には,マスクを着用し人ごみはなるべく避けましょう。
・外出先から帰宅したら,うがいと手洗いを励行しましょう。
・洗っていない手で目をこすったり,鼻をほじったりしないようにしましょう。
・食事は栄養バランスを考えたメニューを心がけ,体調を整えましょう。
・暴飲,暴食,夜更かしをひかえて体力維持に努めましょう。
・気道の粘膜を保護するために,室内の湿度を適度に保ちましょう。
・周りの人にうつさないように,マスクをするなどの対策を取りましょう。

高齢者,慢性疾患の患者などのハイリスクグループ,小児の感染予防対策
・流行する前に積極的にインフルエンザワクチンの接種を受けましょう。
平成13年11月から予防接種法の第2類疾病とされて,65歳以上の方又は60~64歳までの心臓,腎臓,呼吸器に重い病気のある方は,市町が実施する予防接種を受けることができます。

病原体

インフルエンザウイルスには,A,B,Cの3型があり,大きな流行を起こすのはA型とB型ウイルスです。
A型とB型ウイルスの表面には赤血球凝集素(HA)とノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白があり,これらが感染防御免疫の標的抗原となっています。
A型ウイルスには,HAで15亜型,NAで9亜型の抗原性の異なる亜型が存在し,それらの様々な組合わせを持つウイルスが,ヒト以外にもトリやブタなどで広く流行を起こしています。A型ウイルスは,不連続抗原変異により数年から数十年ごとに世界的な大流行を引き起こしてきました。1918年のスペインかぜ(H1N1),1957年のアジアかぜ(H2N2),1968年の香港かぜ(H3N2),1977年のソ連型(H1N1)の出現です。
現在は,A型ウイルスのH3N2亜型とH1N1亜型およびB型ウイルスの3種類のインフルエンザウイルスが,世界中で流行しています。
インフルエンザウイルスは同じ型のウイルスでも連続抗原変異により抗原性が変化するため,一度かかっても,また同じ亜型のウイルスに感染してしまうことになります。このため,ワクチンの製造に用いるウイルス株の選定は,毎年,その年にどのようなウイルスが流行を起こしそうかの予測に基づいて決定されています。
インフルエンザは学校における予防すべき伝染病2種に規定されており,通常は解熱後2日を経過するまで出席停止となります。しかし,医師が病状により伝染のおそれがないと認めたときはこの限りではないとされています。

診断方法

急性期の患者の咽頭拭い液やうがい液からウイルスを直接に分離することが病原診断の基本です。検体を発育鶏卵羊膜腔や組織培養細胞に接種して培養し、増殖してきたウイルスの同定を行いますが、これには特別な設備や技術が必要であり、結果が出るまでには約1週間を要します。
血清診断には、従来から補体結合法、赤血球凝集阻止反応などが主に用いられていますが、いずれも急性期と回復期の抗体価の4倍以上の上昇をもって診断するので、確定診断には2~3週間かかります。
検体からウイルスの遺伝子を選択的に増幅して検出する遺伝子診断法(RT-PCR)が開発されていますが、実験室内の交叉汚染や特異性の問題もあり、結果の判定・評価には慎重さが求められています。
現在は外来あるいはベッドサイドなどで20~30分以内に迅速簡便に病原診断が可能なインフルエンザ抗原検出キットが開発され、既に実用化されています。これは、鼻腔拭い液を採取して、ウイルス抗原を高感度に検出する方法であり、外来診療などで抗インフルエンザ剤の使用の可否を判断する際には有用な方法で実用性が高く評価されています。

ワクチンについて

高齢者、慢性呼吸器疾患患者、循環器疾患患者、免疫機能低下患者などの、ハイリスクグループには積極的にインフルエンザワクチンを接種して、インフルエンザによる健康被害を予防するべきです。
現行のインフルエンザワクチンはウイルスの感染やインフルエンザの発症そのものを完全には防御出来ませんが、重症化や合併症の発生を予防する効果は証明されており、高齢者に対してワクチンを接種した場合、接種しなかった場合に比べて、死亡の危険を1/5に、入院の危険を約1/3~1/2にまで減少させることが証明されています。
また、これらのハイリスク群にウイルスを伝播する可能性の高い医療従事者、介護者、家族などへのワクチン接種も、ハイリスク群における健康被害を減少させる効果が報告されており、積極的なワクチン接種がすすめられています。社会機能の維持・確保のために学校教員、警察官、消防官なども接種の対象となりえます。
現在我が国で用いられているインフルエンザワクチンは、ウイルス粒子をエーテルで処理して発熱物質などとなる脂質成分を除き、免疫に必要な粒子表面の赤血球凝集素(HA)を含む画分を密度勾配遠沈法により回収して主成分とした不活化HAワクチンです。現行ワクチンは安全性は極めて高いと評価されています。インフルエンザシーズン前(通常11月中旬~12月中旬)に、65歳以上では1回、13~64歳では1~2回、13歳未満では2回、皮下に接種しますが、2回接種の場合には1~4週間の間隔をあける必要があります。
平成13年11月からは、インフルエンザは予防接種法の2類疾病に分類され、1)65歳以上の高齢者、2)60歳以上65歳未満であって、心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能に、またはヒト免疫不全ウイルスにより免疫の機能に一定の障害を有する者に対しては、本人の希望により予防接種が行われ(一部実費徴収)、また副反応が生じた際には予防接種法に基づいて救済が行われることとなっています。
我が国では、世界各地および日本国内の流行情報、WHOによるワクチン推奨株、国内外の分離ウイルスの抗原解析、遺伝子解析などに基づいて、毎年2~3月頃に次シーズンの流行ウイルスを予測し、さらに予想されるウイルスをワクチンとして接種した場合に期待される有効性や抗原変異株への対応性、さらにワクチン製造上の効率などを総合的に検討して、次シーズンのワクチン製造株が選定されます。現在はA型のH3N2とH1N1およびB型の3種のインフルエンザウイルスが毎年世界中で流行しているので、原則としてインフルエンザワクチンはこの3種類の混合ワクチンとなっています。

治療について

インフルエンザに対しては、これまでは対症療法が中心とされてきていましたが、1998年我が国でも抗A型インフルエンザ薬としてアマンタジンの使用が認可されました。アマンタジンはもともと抗インフルエンザ薬として1964年に発表されていましたが、我が国では抗パーキンソン治療薬など精神神経作用薬としてのみ認可されていたのです。アマンタジンはB型ウイルスには無効であり、神経系の副作用を生じやすく、また、患者に使用すると比較的早期に薬剤耐性ウイルスが出現するため、注意して使用する必要がありました。
その後、新規に開発されたノイラミニダーゼ阻害薬、商品名は皆さんもよくお聞きになっているタミフル、リレンザです。現在抗ウイルス薬として認可されているのは「シンメトレル(塩酸アマンタジン)」「リレンザ」「タミフル」の3種類。これらの治療薬は発熱してから24時間以内、遅くとも48時間以内に服用すれば、発熱・関節痛などの症状をかなり軽減できるようです。この中で幼児や小児に使えA型・B型どちらにも効くのは「タミフル」です。耐性も比較的できにくく、副作用もほとんどないとされており、罹病期間の短縮も期待できます。
解熱剤はインフルエンザに限らずよく使用されるが、必要最小限に留めるべきである。ことにアスピリンは、ライ症侯群との関係が推測されており、小児への使用は原則禁忌である。また、インフルエンザ脳症の発症との関連が疑われるため、非ステロイド系解熱剤のうちジクロフェナクナトリウムは禁忌、メフェナム酸は基本的に使用しないよう合意がなされており、必要な場合はなるべくアセトアミノフェンを使用することが推奨されている。肺炎や気管支炎を併発して重症化が予想される患者に対しては、これらの合併症を予防するために抗菌薬の投与が行われることがある。
インフルエンザ脳症の治療に関しては確立されたものはなく、臨床症状と重症度に応じた専門医療機関での集中治療が必要となります。

たかがかぜ、されどかぜです。早めの受診を。