香川県高松市での整形外科・内科・健康診断・予防接種は吉峰病院へ。

English

コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第192号

関節リウマチについて

「リウマチ」とは一般には「関節リウマチ」のことをさします。しかし、広い意味では関節や周囲の骨、筋肉などが痛む病気全般を指し、慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、、変形性関節炎、痛風など200種にもおよび、「リウマチ性疾患」と呼ばれています。
「リウマチ」という病名はギリシア語の「rheuma(リューマ)」という「流れ」を意味する言葉に由来しています。古代ギリシアでは関節が痛む病気は脳から悪い液体が流れ出し関節にたまって痛みをおこしていると考えられていたためです。そして長い間リウマチ性疾患は「悪い液体の流れ」によるものとして同じ種類の病気として扱われていましたが、だんだん原因がわかってきて、それぞれが別の病気として扱われるようになりました。
関節リウマチはリウマチ性疾患の中でも全身性結合織病のグループに属します。全身性結合織病は膠原病ともよばれ、全身の結合組織(細胞と細胞をのりづけしている組織。コラーゲンなどのたんぱく質その他)が侵される病気で、発病の原因は明確にはわかっていませんが、免疫の働きの異常が関与していることがわかっています。患者数は日本全国で70~100万人とも言われ、高齢化に伴い増加傾向にあると言われます。発症年齢は早ければ20歳代から発病、30~50歳代がピークで40歳代がもっとも多く、人生でもっとも多忙な時期に発症する病気といえます。男女比は1対4と圧倒的に女性に多い病気です。最近では高齢男性にも増加しています。自己免疫疾患は男性より女性に多く見られ、その理由として女性ホルモンと妊娠・出産が関係していると言われています。
乳腺刺激ホルモンや卵胞ホルモンなどは自己免疫反応を高める働きがあり、妊娠中は副腎皮質ステロイドホルモンが増え免疫の働きが抑制されますが、出産後には抑制が解除され反動で一時的に免疫の働きが高まるため、自己免疫疾患が起こりやすくなることが知られています。
関節リウマチの特徴は、関節の滑膜という部分に炎症がおき痛みと変形を引き起こすことです。関節の痛みのほかにも皮下結節というしこりができたり、血管の炎症、貧血など全身に症状が出ることもあります。進行や経過にはいくつかのタイプがあり、すべてが重度の障害に至るというわけではなく、現在では早期発見・治療で進行を最小限に食い止められるようにもなってきています。「免疫」とは、さまざまな細菌やウィルスなどの「抗原」といわれる異物が体内に侵入したときに「抗体」という武器を作って異物をやっつける自己防御のしくみを「免疫」といいます。
関節リウマチが起こる原因ははっきりとはわかっていませんが、この免疫の働きになんらかの狂いが生じたために起こるのではないかと言われています。関節リウマチの人の血液には自己の成分である免疫グロブリンに対する「リウマチ因子」という抗体がみられることがわかっています。このような免疫異常によっておこる病気を「自己免疫疾患」と呼びます。関節リウマチはこの「自己免疫疾患」の一つとされています。なぜ自分の体を「免疫」の対象にしてしまう自己免疫疾患が起こるのか?。それはその人の体質に関係があるのではないかと考えられます。生物の体を構成する細胞の主成分はたんぱく質で、その組み立て方を決めているのは遺伝子です。この「設計図」にまちがいがあると異常なたんぱく質がつくられ様々な病気を引き起こします。関節リウマチの人の場合も、健康な人と異なる遺伝子があることがわかってきました。たとえば、HLAという免疫に関係するたんぱく質に関係する遺伝子は特に注目されており、慢性関節リウマチの人はDR4という種類のたんぱく質でつくられたHLAを持つ人が多く、免疫システムの異常に関連しているのではないかと考えられています。
関節リウマチにはHLA-DR4型の遺伝子が深く関係していると考えられますが、関節リウマチの人でこの型の遺伝子を持つ人は60~70%で全ての患者さんが持っているわけではありません。また健康な人でもこの型の遺伝子を持つ人が40%います。
また自己の成分に対する抗体である「リウマチ因子」が見つからない患者さんもいて、健康な人にリウマチ因子が見つかることも、関節リウマチの多い家系はありますが、親が関節リウマチでも必ず子供が発病するわけではなく、遺伝だけがリウマチの原因ではなく複数の因子が関連していると考えられます。正常な遺伝子を受け継いでいてもウィルスの感染により遺伝子が傷つけられ病気を発症したり、遺伝的要因を持っている人がカゼなどの感染症やストレス、出産、ケガ、手術などを引き金に発症したり症状が悪化したりするのではないかと考えられています。この発症のメカニズムが解明されていけば遺伝的要因を持っていても発病を未然に防げる可能性があります。
関節リウマチに特徴的な症状は関節の腫れと痛み。この腫れと痛みの原因は関節に起こる炎症です。「炎症反応」は組織が傷ついたときに修復を行おうとする防御反応のひとつです。
体内に異物が侵入したときも異物を排除するまで炎症反応が続きます。関節リウマチの場合は「免疫」が自分自身を攻撃し、関節に炎症を起します。関節とは骨と骨をつなぐ部分であり、全身に68個ありますが構造は共通しています。固い骨と骨が直接ぶつからないように、わずかな隙間(関節腔)は粘りのある関節液(滑液)で満たされ、骨の先を弾力のある軟骨が覆ってクッションの役割を果たしています。軟骨は水を80%も含む弾力のあるやわらかい骨で、コラーゲンという繊維成分を含み強さを保っています。軟骨は加齢や加重によりすり減るなど変化します。
関節全体は関節胞に包まれ、その内側にある滑膜が関節液を分泌して、関節の動きをスムーズにして栄養を補給します。この滑膜に炎症が起こると関節に腫れや痛みが起こります。滑膜の炎症は免疫細胞が自己を攻撃しはじめることで引き起こされます。T細胞や好中球などの免疫細胞が滑膜の中に入り込むと滑膜の中にリウマチ因子があらわれ関節液へこぼれだします。リウマチ因子はIgGという抗体と結びつき「免疫複合体」になり、さらに補体というたんぱく質と結びつき好中球やマクロファージをよびよせ、プロスタグランジンという物質を出して「免疫複合体」を攻撃します。この物質は滑膜に炎症を起したり骨や軟骨を破壊します。多量の関節液が分泌されて関節は腫れあがって痛みます。T細胞やB細胞が攻撃に加わるとさらに炎症が進み慢性化します。

ステージ1(初期)は
関節腔に関節液が増えると骨のカルシウム分が失われていき、まだ骨の破壊は起きていないが骨にスが入ったような骨萎縮がみられる場合があります。

ステージ2(中等度)は
滑膜の細胞が増殖し肉芽(パンヌス)を形成、肉芽が軟骨と軟骨下の骨を侵食しはじめ、骨びらんがみられます。関節周辺の筋肉に萎縮がおこります。(この肉芽組織の増殖に関して特別な物質を出す細胞があるのではないかと考えられています)

ステージ3(高度)は
軟骨の侵食が進み骨も破壊され関節がうまく噛み合わなくなり関節の変形や亜脱臼・脱臼が起こります。筋肉に強い萎縮がみられ筋肉や腱の伸縮が悪くなり関節の変形が起こります。

ステージ4(末期)は
肉芽が繊維化して硬くなり、二つの骨の端がくっついて骨癒合の状態となり関節がまったく動かせない状態になります。

多くの場合、関節リウマチは非常にゆっくりと進行します。ごく初期には食欲不振からだがだるい熱っぽいなどの全身性のはっきりしない症状が続き、これにからだがなんとなく「こわばり」動きづらい(特に朝、手指や全身の関節がこわばる。からだを動かす内に消えていく)が感じられると関節リウマチの前兆である可能性が高くなります。その後、関節リウマチ特有の症状が出はじめます。最初は小さな関節から腫れやこわばり、痛みが手首や手足の指など。特に手指の第二第三関節が多い大きな関節から始まることもあります。日本人の場合は膝関節が侵されやすく、初期は手指などの腫れが「紡錘型腫脹」と言われ、炎症を起した関節の回りが腫れ、指の形が糸巻きに似た形になります。複数の関節で同時に、しかも左右対照に起こり、最初は一箇所でも、次第に他の関節にも広がっていきます。動いたり体重をかけると痛く、とくに朝に痛み、動いているうちにやわらぐ傾向があります。関節以外にも全身の症状を併発することがあります。定期的な観察と治療が必要ですし、7割ぐらいは寛解します。
病気がよくなることを「治癒する」といいますが、関節リウマチでは症状が収まることを意味する「寛解する」という言葉を使います。

関節リウマチはカゼが治るように完全に治ることは少ないですが、変形した関節は元に戻せないけれど「寛解」できればそれ以上の病気の進行をストップさせることは可能なのです。現在では早期発見と治療で多くの患者さんが寛解に持ち込めるチャンスが増えてきました。
患者のうち、3%は完全寛解(薬を減らしても悪化しない。治療をやめても10年以上再発しない人もいる)、70%程度は、骨の変形・破壊はそのままですが、関節の腫れ、痛みはなくなり進行が停止する寛解に持ち込めるようになってきたとも言われています。残りの骨の破壊が進行してしまう患者さんについても、もっと早く発見・適切な治療を行っておけばもっとよい結果が得られる可能性もあります。

関節リウマチの経過はいくつかのタイプがあります。
資料により分類の仕方やパーセンテージは多少異なりますが、いずれにしても早期治療や方法の改善によって病状が悪化していくことは減っていくと思われます。

①単周期型は
発症後数週間~数年間続くがその後軽快しほとんど再発がみられない。

②多周期寛解型は
寛解と憎悪を繰り返し症状に波があるが徐々に良くなっていく。

③多周期憎悪型は
寛解と憎悪を繰り返し長期間かけて徐々に進行していく。

④進行型は
よくなることがほとんどなく急速に進行する。

次回は関節リウマチの治療についてです。
この病気をいまだ未知の事も多く、これからの研究が期待されています。
分からない事は看護師にお聞きください。