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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第175号

シップ剤について

病院から処方されるシップ剤はいわゆるシップ剤とは違い、経皮吸収消炎剤と言われています。
今回はそのシップ剤についての勉強です。

薬には
①内服薬(口からのむ薬)
②注射
③外用薬(皮膚や粘膜から吸収させる薬
)④坐薬(肛門から入れる)の4種類があります。

最近、薬を"必要な時間に必要な量で必要な場所に"届けるシステム-DDS(drugdeliverysystem;薬物送達システム)が注目を集めています。
DDSの理想の形が、薬物を皮膚や粘膜から患部に送り届けるシステム-TTS(Transdermaltherapeuticsystem;経皮吸収治療システム)です。 TTSの薬─経皮鎮痛消炎薬は、使用が簡単なうえに、体内で一定の薬物量を持続でき、長時間効果が続きます。また、経口薬のように薬物が肝臓を通過しないので、全身的な副作用が少なく、仮に副作用が発現したとしても、はがすだけで早急に対応することができます。さらに、使用する大きさを変えるだけで薬物量のコントロールも容易にできます。喘息、狭心症、高血圧などにも使われています。
一般に言われている冷やしたり、温めたりする湿布薬とは違い、投与経路が異なるだけで、内服薬と同じ効能が得られる薬なのです。

昔、ヨーロッパでパンやオートミールに水や牛乳を混ぜ薬草を入れ、身体に塗ったものがパップと呼ばれるようになりました。パップ剤を辞書でみますと医薬品の粉末と精油成分を含み、湿布に用いる泥状の外用剤。ふつうカオリンパップが用いられる。以前は亜麻仁・芥子泥(かいしでい)・麦などを煮て粥状にしたものが用いられた。また、英和辞典によると「病人や幼児用のお粥」などの意です。紀元前千年頃のバビロニアの粘土板に、Pou1iticeやP1asterの記載がみられます。
このことから考えてみますと起源は紀元前ということになります。その後ギリシャ時代にはFomentation、1世紀初頭のアレキサンドリアではCatap1asmsが同義の製剤として登場していたようです。また、詳しく調べてみますと「キリストの唾」です。新約聖書「ヨハネの福音書」9章の「生まれつきの盲人をいやす」と題する次のくだりで、「イエスは地面に唾をし、唾で土をこねてその人の目にお塗りになった。・・・・・そして言われたシロアムという池に行って洗いなさい」」と記載されています。日本では徳川14代将軍家茂公を治療した昆虫の湿布剤(芫菁げんぜい湿布剤)で、劇薬に近い、強い刺激作用がありました。胡蝶の夢(司馬遼太郎著)では、蘭方医・松本良順により処方されています。その部分を引用してみます。「良順は浮腫のはなはだしい心臓あたりに湿布することを主張した。(中略)湿布は血行や代謝をさかんにするだけでなく、ときに用いようによっては臓器に有利な刺激を与えることもありうる。」・・・・と書かれています。

その後、別府温泉の坊主地獄の噴き上がる熱泥からヒントを得た「玉盛シンセン」があります。水分を大量に抱えた泥状のもので、現在のパップ剤に近いものと考えられます。その後いろいろな形のものが出現してきました。昭和9年にはカオリンパッブといわれるものが日本薬局方に収載されました。これが日本で言うシップ剤の原点だと思われます。泥を布に延ばす製剤の完成には、15年以上の歳月を要しました。悪戦苦闘の理由は、いくつもの要件を同時に一枚の形に込めなければならなかったことにあったようです。

現在は新しい形のパップ剤として発売されています。非ステロイド性消炎鎮痛薬を有効成分とし、パップ剤です。日本が育んだ特有の製剤が、古今東西を超えつつあります。
プラスター剤とパップ剤との違いは「基剤」とは主にその形状をつくっているもので、薬剤(有効成分)ではない成分のことをいいます。例えば、液体の薬であれば基剤は水(精製水や滅菌精製水など)、軟膏であればワセリンなどを指します。貼り薬はこの基剤と作用範囲から、プラスター剤とパップ剤とに分類されます。プラスター剤は脂溶性の高分子を主たる基剤成分にしており、面積あたりの塗布量が少なく薄いのが特徴です。パップ剤は、水溶性の高分子を主たる基剤成分にして、水分配合量が多く、厚みがあります。成型パップ剤は主薬と基剤を混和した膏体を不織布などの支持体にのばし、膏体表面をプラスチックフィルムで覆ったものをいいます。プラスター剤型貼り薬はプラスチック製フィルム、布、ニットなどの上に薬剤を含ませた粘着剤を塗った粘着テープ型や、薬剤貯留層と粘着層を組み合わせた剤型です。使用法が簡便で、粘着力が強く、皮膚刺激が少ないなどの特徴があります。
パップ剤型貼り薬はガーゼ、不織布などに局所刺激剤、抗炎症鎮痛剤などを含ませた貼り薬です。局所刺激作用を持つカンフル、ハッカ油、メントールなどを含み、消炎鎮痛作用を示す製剤は、冷感タイプと呼ばれ、急性炎症期の疾患に用いられます。一方、トウガラシエキスやノニル酸ワニリルアミドを含有するものは、皮膚の温点を刺激するところから温感タイプと呼ばれ、慢性炎症期に使用されます。
冷感タイプと温感タイプの使い分けは、どのようにしたらいいですか?
患部の状態に合わせて使い分けされるようお勧めします。
水や氷で冷やした方が気持ちよい場合や打撲直後の患部が熱をもった症状(急性症状)の場合は、温感タイプを使用するとその配合成分の刺激により、さらに痛みが増すことが考えられますので、冷感タイプのご使用をお勧めします。
過去に打撲した部分が痛む(慢性症状)の場合は、お風呂等で温め血行を促進させた方が気持ちよいと感じることがあります。このような場合には温感タイプをお勧めします。

なぜパップ剤を貼付したまま入浴してはいけないのですか?
パップ剤には吸水ポリマーが含まれています。貼付したまま入浴すると浴槽の水分を吸収して膨潤します。これは不快なだけではなく、有効成分が吸水ポリマーと共に溶け出し、効果がなくなってしまいます。
また、特に温感タイプについては、温感を感じさせる成分により、たとえぬるま湯でも痛みを感じることがあるからです。
入浴の1時間前には剥がし、入浴後30分位してから貼付し直すのがいいでしょう。

おでこ等に貼る冷却シートとパップ剤では、何が違いますか?
基本的な構成成分はよく似ていますが、有効成分が大きく異なります。パップ剤は鎮痛・消炎成分が含まれていますので、打ち身、捻挫、肩こりなどに効果がありますが、冷却シートには有効成分が含まれていません。冷却シートは、薬剤に含まれた水分による冷却と清涼成分による心地よい冷感で、熱のある部分を冷やしたり、リフレッシュ時に使用するものです。打ち身・捻挫等の患部の腫れ(熱をもっている場合)に対して冷却する場合には有効です。

パップ剤でかぶれることはありますか?
患者さんの体質や体調、使用状況により、かぶれが起こることがあります。連続して使用する場合は、半日程、使用を中止して患部を休めたり貼付部位を少しずらすなどして使用ください。
特に皮膚の弱い方(絆創膏などでもかぶれる方)は、医師又は薬剤師にご相談ください。

開封後はお早めにとありますが、目安はありますか?
開封後はたとえチャックをしていても、微量ながら薬剤が乾燥していきます。薬剤中の有効成分や水分が揮散して、効果が乏しくなったり、粘着力が低下する可能性があります。この度合いは、保管状態により異なりますが、目安として開封後1ヶ月以内での使用をお勧めします。

3月の勉強会
シップの効果的な貼り方

3月27日(木)
午後1時30分より
3階 食堂

1.効果的な使い方
2.冷感・温感の使い分け
3.冷感タイプの使い方
4.温感タイプの使い方
5.保管の方法
6.上手な貼り方・はがし方

ぜひ、ご参加ください。