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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第170号

直立二足歩行と腰痛

突然ですが、ヒトとサルの最大の違いはなんだと思いますか?
知能? 体毛の有無? それとも、直立して二本足で歩けるかどうか?
直立二足歩行をするようになったことで、人類が一気に大きな進化を遂げたということは、よく言われていますが、どうやって二足歩行するようになったかについては、実のところ、いまだ分っていないことがたくさんあります。
最近、人類進化に関する本を読む機会がありました。
ヒトはいかにして類人猿から分かれて人間となったのか。この進化論はまだ不明なことが多く、直立二足歩行の獲得を奇跡だといわれているようです。
新しい学説が発表されました。これがイースト・サイド・ストーリー(東側物語)なのです。
800万年前、アフリカ大陸を南北に縦貫する大地溝帯(二つの隆起帯に挟まれた溝状の地形)が形成され、地溝帯の西側では、大西洋から湿気を含んだ偏西風が吹くために、熱帯雨林が維持されましたが、東側では、偏西風が隆起帯に阻まれて、雨が降らなくなり、サバンナとなりました。その結果、西側では、ゴリラ、チンパンジー、など、熱帯雨林に適応した類人猿が残存しましたが、東側にいた類人猿は、森を失い、草原で二足歩行の生活を余儀なくされたのです。この人類の祖先は、二足歩行によって自由になった二本の手で道具を使い、それによってサバンナの厳しい自然を生き延びました。また、直立二足歩行により、喉頭が下降して、それが人類に言語を話すことを可能にしたとも書かれていました。ヒトは、こうした道具の製作と言語の使用により脳を発達させ、高度に知的な動物となったというわけです。
二足歩行は木の上での行動を容易にしたり、子供を抱えて授乳するのに有効だったりするといわれています。また、さらに環境が厳しくなり、食料が得にくくなった状況で、貴重なカロリーの消費を節約するからだとも考えられています。
人間が直立歩行する際、130Cal/kmのエネルギーを消費するが、同じ体重のチンパンジーが二足歩行(あくまで前肢を使わないというだけの、這い歩きに近いものだが)する時は、500Cal/kmを消費する事がわかりました。
チンパンジーが前肢も地面について歩く時は、それより若干カロリー消費量は減り、400Cal/kmになります。つまり、チンパンジーは二足歩行をすれば、余計にエネルギーを消費するようです。この結果からみると、二足歩行の方が消費カロリーは増えるのです。人間はより長い下肢と適切な筋肉付着部位のため、より効率的な歩行が可能になっているようです。要は、氷河期にはいり、食料が得にくくなった状況で、より広範囲なハンティングが必要になった人類の祖先が、より効率的な移動手段を、形質進化させていったと言うことのようです。直立二足歩行のおかげで脳の容積を増大させることができ知能が発達したと考えられています.直立二足歩行するために,最もドラマティックな変化を示した構造物は骨盤と腰椎です.骨盤は上半身の重量をがっちりと受け止めることができるようにより円形の構造をとるようになりました.腰椎は安定した直立姿勢が取れるように,前方に向かってカーブした前彎と呼ばれる形態を獲得しました.しかしながら,直立二足歩行は腰椎に多大な負担をかける結果となり,ヒトにとって腰痛は避けられないものとなったのです.実際,厚生労働省の調査によりますと腰痛は最も訴えの多い症状であります。

腰痛の発生原因について以下のように分類すると分り易いと思います.
1.背骨(脊椎)の異常に起因するもの
背骨の異常により周りの組織に負担がかかって発生するもの
背骨や椎間板の異常により神経が圧迫されて発生するもの
2.背骨(脊椎)とは別の異常に起因するもの
精神的なストレスにより発生するもの
内臓の異常により発生するもの
インフルエンザなどの全身感染症により発生するもの

脊椎とは背骨のことをいいます.脊髄とは脳の延長であり背骨の中の脊柱管と呼ばれる管の中を通っています.そして脊髄から脊髄神経(脊髄の傍では根のように見えるために神経根と呼ばれます)が出ています.脊髄神経は脊柱管の外へ出て体全体に張り巡らされています.
MRIで背骨を輪切りにするように撮影してみますと,背骨の横断面を見てみますとことになります。脊椎骨の内部は管のような空洞になっていて,脊柱管と呼ばれています.脊柱管の中を裏打ちするように硬膜と呼ばれる膜が存在していて,硬膜で囲まれるくも膜下腔と呼ばれる部分には脳脊髄液と呼ばれる透明な液体が絶え間なく循環しています。脊髄は脳脊髄液の中に浮かぶように存在しているのです。そして脊髄からは神経が出現していて体の筋肉や感覚器官を支配しています.MRIでは造影剤により脳脊髄液が白く写るようにしてあるために,脊髄と神経が黒く抜けて写ります。

運動、運動、運動

人は動物の仲間です。動物は動いて食料を探し、食べることにより、生命を維持しています。また生きるために、さらに動き回ります。常に目的は、食べて生命を維持するためなのです。
現代生活は、食料を探し回り、得るための努力は、あまり必要としなくなり、そのために、人の活動に余裕ができ、そのほかの分野に活動を広げ、文明を発達させてきました。
移動のため、生活のため、仕事のためなどに動く機会は、少なくなっています。そのために"生活習慣病"を代表とする、疾患の登場となりました。生活習慣病の基礎となる"メタボリックシンドローム"は、いろいろな疾患の発生源となります。
なぜ運動するとよいかは、
1.筋肉は人の身体の50%以上を占める最大の臓器です。
2.筋肉は、ブドウ糖や脂肪を消費して、運動効果を発揮します。
3.筋肉を、十分に働かすことが、特に大切になります。
筋肉が十分に働くことにより、消費された物質を補充する活動が盛んになります。身体活動が活発になれば、運動や生理機能の維持、さらには組織の強化にもつながり、新陳代謝も改善されてきます。
新陳代謝を盛んにし、血液や神経機能の働きも向上し、心身ともに"メリ、ハリ"が利くようになります。
脂肪分や、糖分を消費し、内臓機能を調節する自律神経機能も強化されます。
運動により"発汗"現象が起きるため、水分を運動の前後に十分に補給して、血液の流れをよい状態に保つことも必要になります。
運動は、身体の中の、余分な脂肪や糖分を燃焼させ、食欲を抑える働きも持っています。
また大脳は、ブドウ糖のみを運動エネルギーとします。運動によりブドウ糖が効率よく供給され、精神活動も活発となります。
身体を動かすことにより睡眠も、十分に取れるようになり、肉体的ばかりでなく、精神的な安静も得られるようにます。
適度な運動は生活の正常なリズムを取り戻し、ストレス解消にもなります。
毎日こまめに動くこと、できるだけ立位を取ることから始め、徐々に運動量や自分の生活リズムにあった、運動習慣をつけることは、生活習慣病を防ぐ第一歩です。最初に高い目標をおくと、挫折します。いつもより少し身体を動かす工夫から始め、無理をしないことが、長続きの秘訣でしょう。
運動習慣がつくと、動かないときには、体調が悪くなるのを実感できるようになればしめたものです。

整形外科疾患とサプリメント

サプリメントとは、補足とか付録の意味があり、栄養補助食品といわれるものです。食生活に充足感がでて、余裕がみられるようになると、健康について不安を感じることも多くなります。手軽な健康維持の方法として、「サプリメント」が宣伝され、新聞、週刊誌の紙面をにぎわせています。日本には「サプリメント」を規制する法律はなく、そのため関節症や変形予防に効果があるかのように報道されています。
 人が食べた物は、炭水化物はブドウ糖に、タンパク質はアミノ酸に、また脂肪は脂肪酸グリセリンに、それぞれ分解されたのち腸管で吸収されます。このたんぱく質、炭水化物、脂肪にビタミン、ミネラルが加わり5大栄養素として生体の構成材料、生命の維持、エネルギー源として活用されているのです。
 関節症に効果があるとされる『グルコサミン』は、カニやエビなどの甲羅の主成分であるキチン質の主成分であり、糖とアミノ酸(蛋白質)が多数結合した構造でできています。
またグルコサミンの一種であるヒアルロン酸はグルコサミンとグルクロン酸といわれる糖類が多数結合し、関節、硝子体、皮膚、脳などに広く分布し極めて高い保水効果を持ち、鶏冠、臍帯などから良質のヒアルロン酸が分離されていますが、最近では乳酸菌や連鎖球菌から、大量に生産されるようになりました。
コンドロイチンもグルコサミンの一種であり、タンパク質を中心に、多くの糖類が結合した糖たんぱく質の一種です。
 このように関節周辺に存在する物質は、糖とたんぱく質が結合した複雑な構造をもつ巨大分子で構成されています。
 体内に吸収されるときには『グルコサミン関連物質』などの巨大分子は、アミノ酸、ブドウ糖、脂肪酸グリセリンに分解されます。吸収されたのちに、体内の必要性により種々の物質に作り変えられるため、『グルコサミン』に必ず再合成されるわけではありません。
 軟骨は、スポンジ状であり、血管が存在しないため、その代謝は、関節にかかる圧力の増減により行われています。このため関節運動が正常に行われていることが、関節の新陳代謝に必要となるのです。関節機能の強化と変形の予防には、筋力強化とストレッチングが大切となります。
これらの関節に関連する物質は、数年前から学会などで報告され注目を浴びてきますが、鎮痛効果や関節軟骨再形成、変形予防効果に疑問が示されています。
 サプリメントも心の栄養に対してはいいかもしれないが、やはり効果的なのは、関節運動と筋力トレーニングであることに間違いありません。
ですから、運動、運動です。