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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第153号

変形性膝関節症による膝の痛みの軽減のために

不安を解消し、自信をもつて活動的な毎日を送ることが膝の痛みの軽減に役立つことをこ存知でしょうか?

膝軟骨の変性と痛みについて

変形性膝関節症は、痛み、O脚変形、関節の動きの制限が症状ですが、痛みが最も大きな問題です。それにしても、この病名は、何とかならないものかと常々思っています。「変形性」と言われると、いかにも痛そうで、元に戻らない印象を受けてしまうからです。変形性膝関節症を簡単に言うと「加齢や生活習慣の積み重ねによって、膝の軟骨が摩耗し、ひざに痛みが生じる病気」というところです。しかし実は意外でしょうが、軟骨の老化と痛みの関係はよく分かっていません。レントゲンであまり変化がみられなくても、痛みが強い場合もありますし、逆にかなり軟骨の変性がみられても痛みがないこともあります。
「数年前に左ひざが痛くて先生に治してもらったのですが、今度は右ひざが痛くなりました」と、患者さんから言われるようなことがよくあります。そう言っていただけるのは医者としてうれしいものです。もちろんヒアルロン酸の効果だと思いますが、痛みは消失してしまったのです。では、ひざの痛みは、何が原因なのでしょう。膝の周囲が痛みに対して敏感に関節が痛いといっても、軟骨や骨には知覚神経がありませんから、そこが痛みの発信地となることはありません。ほとんどは、ひざの周囲の筋、腱(けん)、靱帯(じんたい)などが痛みの発信地となります。分かりやすく言えば「ひざ凝り」とでも言えると思います。すなわち、膝関節を支える、これらの部分が「凝る」というわけです。
その他、関節粘膜が痛みの発信地となっていることもあります。この場合においては、粘膜の炎症が起きているので、炎症性の浸出液(関節の水)がたまることがあります。炎症の起きるメカニズムもよくわかっていませんが、私の臨床経験からは、そのきっかけは運動であったり、怪我であったり、それらが機転になるように思います。
軟骨の変性と痛みの関係が明確でない一方、最近では不安が大きな関係があるといわれるようになりました。最初に痛みの起きたきっかけは物理的なことで発症し、それがストレスとなり、次第に大きくなり、脊髄後角にある痛みを抑制する仕組みが働かなくなり、普通では脳まで届かない程度の痛み信号でも脳に届き、痛みを感じるようになります。外出を控えるようになり、また夜間にトイレヘ行くことの不安などでますますストレスが大きくなっていきます。ひざを動かさないようにするのでひざの周囲の筋肉はこわばり、伸展ができなくなってしまいます。このようにして痛みの悪循環に陥ってしまうのです。(脊髄後角:脊髄の内側には神経細胞体からなる「灰白質」がありますが、このうち背側にある灰白質を「後角」といわれます。末梢からの痛覚情報は、この脊髄後角に伝えられ、ここがら脳へと送られます。)

ストレスと痛みの悪循環

最近の欧米の文献では、痛みに関係するものが多くみられます。たどえば「ひざ痛を有する患者の大半は他の部位にも疼痛(とうつう)があること、身体機能に制限があり、不安にも悩まされていることが明らかになった」「現在、高齢者の57%は人生後半のある時期で何らかの形の悩みがあると推定される」などです。
ストレス→交感神経緊張→血管収縮→酸欠→発痛物質の産生遊離→痛覚神経を刺激というふうにして、痛み信号が発生します。また、ストレスによって痛みの閾値(最小値)が低下するため、わずかな痛み刺激も脳に届いてしまうわけです。このような状態が長く続くと、神経回路の可塑的変化が生じて慢性痛となってしまうのです。大切なことは、早く痛みを止めて、よく動かすようにすることです。それには消炎鎮痛剤や、注射、リハビリなどが効果的でしょう。そして、不安を解消し、ひざに自信をもち、悲観的な意見には耳を貸さないことです。慢性化してしまった場合、消炎鎮痛剤よりも運動療法などが効果があることがあります。
それもホームエクササイズがたいせつなのです。毎日、毎日少しずつ、あきらめずにやることです。まとめてみますとこのようになります。
だから、ストレッチが効果があるのです。
だから、安静を保つよりも動くことが大切なのです。
だから、トリガーポイント注射が効果があるのです。
だから、ヘルニアがあっても痛くない人もいるのです。
だから、読書療法でも治ることがあるのです。
だから、消炎鎮痛剤が効くのです。
だから、シップが効くのです。
だから、手術で治ることもあれば治らないこともあるのです。
だから、いろんな治療があるのです。
だから、ストレスと関係しているのです。
だから、「慢性疼痛」なのです。
だから、再発をして手術を繰り返すこともあるのです。
だから、圧痛点があるのです。
だから、側彎がおきることがあるのです。(痙性斜頚と同じ、寝違いも)
だから、下肢を挙げると痛いのです。
だから、親指の背屈力が低下するのです。(筋痛で力↓、テニス肘で握力↓と同じ)
だから、痛みの場所が変わることがあるのです。
だから、痛みの程度が変わるのです。
これらの痛みは慢性痛といわれ、治療は、医師個人により解決されるものではありません。欧米では早くから慢性痛の治療は、センターと言われる所でチーム医療として行われています。日本においてもこれからは慢性痛の治療がチーム医療で行われるようになることが望ましいと思います。
シュバイツァー博士の言葉に「痛み」は死そのものより恐ろしい暴君である。というものがある。慢性痛の治療は困難な道のりであり、すぐに解決できるものではありませんが、臨床家として、私が心がけているのは患者さんの痛みをとるのは、けっして薬ではなく、患者さんの心と患者さんを思いやる医療者の心であるという気持ちであると考えています。わたしたちは新しい医療を目指しています。
  

思い出の映画
『キューポラのある街』

この映画は1962年に公開されました。浦山桐郎監督の作品で、私の記憶では彼の監督デビュー作だと思います。私の好みのジャンルじゃないのですが、吉永小百合の魅力にひかれて観に生きました。テレビの『まぼろし探偵』や、小林旭や赤木圭一郎のアクションもので彼女のことはそれ以前に興味を持っていました。それで、「吉永小百合は、いいぞお。オレが保証する」と、映画友だちのM君を誘って観に行ったら、M君は大のサユリストになってしまいました。「貧乏な家に育っても、心が清らかだと、あんなに清純で可愛くなるんだ」とか、「頭がよくて、可愛くて、理想の女性だあ」とか、口を開けば出てくるのは小百合礼賛ばかり。この映画で彼だけでなく、全国的にサユリストが増えたのですが、私としては吉永小百合に有名になってほしくなかったんですけど。私だけのサユリちゃんでいて欲しかったんです。有名になりすぎて、私は逆に興味を失いかけました。だけど、この作品を久しぶりにDVDで観たら、吉永小百合さんはやっぱり可愛かったです。
15歳の中学生ジュン(吉永小百合)は高校へ進学したいけど、鋳物職人の父親・辰五郎(東野英治郎)が勤めていた工場が買収されクビになり、働きながら定時制高校へ通える大工場へ就職しようと決意する。ジュンの弟・タカユキ(市川好郎)はガキ大将で、クズ鉄盗みなんかやって、ほっておくとグレかねないので、ジュンは心配でたまらない。若い工員の克巳(浜田光夫)がジュンの相談相手。克巳は辰五郎の就職を心配しているが、辰五郎は組合活動をしている克巳をアカ呼ばわりして世話になろうとしない。ジュンの級友の父親のコネで辰五郎は新しい工場へ就職するが、新技術についてゆけず、その職場をアッサリ辞めてしまう。それで仕方なく母親・トミが飲み屋へ働きに出る。生活環境の悪化の中でも、ジュンとタカユキはまっすぐに青春を走っていく......
キューポラとは、鋳物工場の屋根についている鉄板でできた特殊な煙突のことです。鋳物工場の街(川口市)を舞台にしているのです。早船ちよの原作を映画化した作品です。脚本は浦山監督の師匠である今村昌平との共同執筆です。
この映画を見ていると、物余りの現代社会が本当に豊かな社会か疑問に思えてきます。ジュンとタカユキが示した在日朝鮮人姉弟との友情なんか、心の豊かさを感じますね。物の豊さと引換えに、精神面での大切なものを失ったような気がします。
一度、映画楽会で上映したいと思っています。お楽しみに!!