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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第151号

関節リウマチの新しい治療薬

今回は新しい関節リウマチ薬の話です。これは抗体医薬という新しい種類の薬です。抗体医薬というのは、「抗体」というタンパク質を薬にしたものです。「抗体」というのは、体内に異物が入ったときに、異物に結合し、これを除去するためのタンパク質です。体内には、侵入するさまざまな異物や細菌に対する抗体が存在します。抗体は、異物と結合することで、その異物の働きをおさえ、細菌を殺します。このような考え方によって創られたのが新しい関節リウマチ薬レミケードです。この薬は遺伝子組み換え技術により作られた抗体です。
このレミケードは日本でも最初にクローン病の治療薬として認可され、その後、関節リウマチに対しても使用が認められました。関節リウマチに対する新しい治療薬として、すでに欧米をはじめとして世界各地で使われ、めざましい効果を上げている薬が、日本でも使えるようになりました。これは新しい抗リウマチ薬で生物製剤と呼ばれています。平成15年に厚生労働省の認可を取得し使えるようになり、当院においても平成17年9月より使えるようになりました。これらの薬の関節リウマチによる関節炎を抑える力は、現在使われている抗リウマチ薬の中でも一番強いと思われます。
この薬は関節リウマチにおける関節炎を強力に抑え、関節の腫れをとり、痛みを和らげ、時に痛みをほとんどなくし、関節・骨の破壊の進行を効果的に抑えます。しかし、残念ながら、破壊されてしまった関節や骨を修復する力はありません。ですから、関節リウマチによる関節炎が強い患者さん、つまり、あちこちの関節が腫れて、血沈が亢進しCRPが高く、今までの薬で関節リウマチによる関節炎を抑えきれない患者さんに対してこの薬が使われます。
関節リウマチによる関節炎に対して非常に有効ですが、従来の薬と同様に、時に副作用がでることがあります。免疫機能も抑えるため、副腎皮質ステロイド剤と同様に、結核や、日和見感染、いろいろなウィルス感染にかかりやすくなります。レミケードによる治療を始める時や治療中は、感染症に対する十分な注意が必要です。ときに、レミケードによる治療に伴い、その他の様々な副作用がでることもあります。
このように、新しい薬は、効果が期待できる患者さんに適切に使うことによって、関節リウマチ治療の革命ともいえるようなすばらしい力を発揮します。しかし、時に重大な副作用が出現することもありますので、医師、専任看護師に相談し、十分な説明を受けて正しく使用されることが大切です。
関節リウマチの関節では、TNFαという物質が大量に作られています。TNFαは元々人の身体にあるものですが、関節リウマチでは異常に増加しています。関節リウマチが起こるメカニズムには様々な要因が関係していますが、なかでもTNFαは重要な物質とされています。このようなTNFαの働きを止めることは、関節リウマチの症状や進行をくい止めることにつながります。レミケードはTNFαにくっついて、その働きを抑えます。また、TNFαを作っている細胞そのものも壊します。

レミケードの投与方法

従来の薬(消炎鎮痛薬や抗リウマチ薬)で十分な効果が得られなかった場合に、レミケードによる治療を始めます。レミケードは病院で点滴します。1回の点滴は3時間以上かけて行ないます。レミケードの点滴を行なっている時は、血圧・体温・呼吸数などを測り、点滴投与時に起こる副作用をチェックします。初めての点滴の後は、その2週間後、6週間後に投与し、以後は8週間ごとになります。

レミケードの効果

レミケードによる治療は、次のような効果が期待できます。
1.関節の痛みや腫れを和らげる。
2.関節破壊の進行をくい止める。
3.生活動作(歩行、手先を使った作業など)の障害の軽減。
従来の治療法では十分な効果が得られていなかった患者様にレミケードを投与したときの効果をご紹介します。(これらは学会報告です)レミケードの点滴を始めてから6週間後(3回目投与前)と14週間後(4回目投与前)に、効果ありと判定された人の割合を調べると、6週間後では95.0%、14週間後では92.7%の患者様で効果がみられました。レミケードによる治療を始める前の痛みの強さを100として、治療後に痛みがどのくらい軽くなったかを調べると、レミケードを3回投与した後には痛みの強さは40まで減っており、49人中34人(69.4%)の患者様で痛みに対する効果がみられました。X線を撮影し、関節に起きた変化を点数(スコア)化して調べると(スコアが高いほど関節破壊が進んでいます)、従来の治療ではスコアが高くなりましたが、レミケードの点滴を受けた患者様ではスコアがほとんど変化せず、関節破壊の進行がほぼ止まっていました。また、血液検査で「CRP」を測り、炎症の程度を調べると、CRPは初回の点滴から2週間後には0.5近くまで下がっており、レミケードの効果が速やかに現れていることがわかりました。

抗体医薬とは

この治療のターゲットは、TNFαというタンパク質です。TNFαは、リウマチになっている部位から分泌され、炎症に関与するさまざまな細胞を活性化し、炎症を悪化させます。またリウマチの特徴である骨の破壊にも関与しています。TNFαが作用するためには、TNFαがTNFα受容体というタンパク質と結合することが必要です。TNFαの作用を抑制するためには、TNFα受容体とTNFαを結合させないようにすることです。TNFαに対する抗体であるレミケードは、TNFαと強力に結合し、TNFα受容体とTNFαを結合させないよう妨害します。レミケードはTNFαが結合しているTNFα受容体から、TNFαを引きはなす作用もあります。また、TNFαを細胞表面に持つ細胞を破壊することも出来ます。以上の3段重ねの作用によりレミケードはTNFαにより誘発される炎症を抑制します。
もともとTNFαというのは、体内に存在しているタンパク質なので、TNFαに対する抗体は体内に存在しません。そのため、レミケードは遺伝子組み換え技術を用いて、人工的に作られました。TNFαは非常に大きな分子で、通常の薬の100倍以上の大きさがあるため、普通の方法で作った化合物は小さすぎて、TNFαの作用を抑制することが出来ないのです。現在は、抗体医薬の開発が大規模に行われています。というのは抗体は、ターゲットタンパク質を正確に見極める能力がある(特異性が高い)ため、通常の薬剤よりも強力な作用があり、副作用が低いと考えられているからです。
数々の抗体医薬が臨床試験段階にあることから、近い将来、炎症、癌、などなど様々な分野で有望な抗体医薬が創られることが期待されています。自己免疫疾患の治療のこれからの展望自己免疫疾患の関節リウマチの治療において、我が国では従来ステロイド、抗リウマチ剤を中心の治療が行われてきましたが、最近は免疫抑制剤(リウマトレックス)が多く使われています。これからの自己免疫疾患は、あまり病名の壁をつくらずに広い見地にたって、柔軟な抗炎症治療をしていく必要があるのでないかと思います。その中で、例えばリウマチ性疾患の治療する上で、特にリウマトレックスなどの免疫抑制剤が無効例には、次の選択としてレミケードのような抗サイトカイン療法がでてきていますので、自己免疫疾患の種類や症状にあわせて選択できる日もそう遠くないのかもしれません。いずれにしても、今後大きな期待があると思います。

思い出の映画 緋牡丹博徒シリーズ

待ってました!お竜さん!!
娘~ざかりを~渡世に賭けて~
お竜さんに会場から声が飛ぶ。拍手が上がる。これが映画館で映画を観ることだったんだなあと思い出します。映写室からの一筋の光の中。健さんとお竜さんの悲恋に涙する。あの時代、映画は確かに娯楽の王者であったと思います。
鶴田浩二、高倉健と並ぶ女任侠スターである藤純子の代表的な任侠シリーズで、全8本が作られました。緋牡丹の刺青を背負った女仁侠人、緋牡丹のお竜さんが、女ながら義理と人情のしがらみの中に生き、不正には身を持って立ち向かっていくというのがお話です。藤純子のきりっとしたなかにも女らしさを秘めた物腰が、実に魅力的でした。
姓は矢野、名は竜子、人呼んで緋牡丹のお竜と発します」というお竜さんの仁義は、車寅次郎の「私、生まれも育ちも葛飾柴又、帝釈天で産湯を使い・・」とともに脳裏に残る名セリフです。女剣劇に、あっと驚くほど美しい様式性と幻想的な情感を盛り込んだのが、この緋牡丹博徒シリーズです。歌舞伎の舞台か浮世絵版画のような日本的様式美の極致でもありました。藤純子の引退と同時にこの傑作シリーズは終わりをつげます。
彼女の色香は言いようのないもので、あの大きな瞳とえくぼのせいだけではなく、歌舞伎的な様式美とじわじわと心にしみ込んでくる情感は最近の映画にはないものです。特に雪の渡橋で常次郎に渡すミカンがコロコロと転がるシーンなどは、あまりの美しさにため息が出ます。そういうものが言うに言われぬ愛情表現の小道具として使われ、お互いにぐっとかみ締める胸の内を代弁していました。
東映の任侠ものは、洗練された折目正しい動作をする博徒たちの、絵にかいたような美しい動きや粋な表情、渋くきまったポーズなど、現実にはまったくあり得ない絵空事の美しさを愉しむものでした。その意味で、藤純子のような純日本的な美女が、テンポを早めて激しい動きも取り入れた日本舞踊のような見事な裾さばきで賭場の壷を振り、仁義をきり、嘆呵をきり、刀を振りまわすという趣向は、任侠映画の粋をあつめたものになっていたのです。
お竜さんが仁義をきる瞬間、こ背中がざわざわとしてきます。ほんまにカッコええなァと見惚れてしまいます。時には男以上に男であり、時にどうしようもなく女である。それはやっぱり、藤純子という稀有な女優を得たからこそ、初めて出来上がったものだと思います。要所要所に出てくる緋牡丹の花が痛いくらいに鮮やかにあでやかで。
艶麗なお竜さんは永遠に不滅です!