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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第141号

春です。春です。

だいぶ春らしい季節になってきました。皆さんもそろそろ外へ出て運動をしてみませんか。先ずはウオーキングから始めてみましょう。
その時、傷めやすいのが膝です。今回は膝の再勉強です。膝の周囲には四つの骨があります。一つは大腿骨(太ももの骨)、二つ目は膝蓋骨(しつがいこつ;いわゆるお皿)、三つ目は脛骨(膝の下の骨でこれの延長が向こうずねとか弁慶の泣き所と言います。)です。それともう一つ腓骨という骨もあります。下腿(膝の下)には二本の骨があり、外側の細い腓骨と内側の太い脛骨から成り立っています。膝の関節は二つあり、一つは大腿骨と膝蓋骨からなる関節、もう一つは大腿骨と脛骨からなる関節です。膝は言ってみれば棒状の骨が上下に重なっているだけですから不安定です。そこで膝を安定化させているのが靭帯です。これらは四つあり、まず外側と内側にある靭帯で横の安定を保ちます。それぞれを外側(内側)側副靭帯と言います。更に前後の揺れを防止するために、膝の中に十字になっている靭帯があります。これを前(後)十字靭帯を言います。関節の部分には軟骨と言われるつるつるの部分があり、これがスムーズに動くことで痛みもなく関節を滑らかに曲げ伸ばし出来まるようになっています。関節には安定を保つために凹凸がありますが、安定感を増すために、そして膝の曲げ伸ばしがスムーズに行くように半月板と言う軟骨の組織があります。同じ軟骨でも半月板の軟骨はふつうの関節の軟骨と違い、その働きは、関節の安定化の他にクッション(衝撃吸収装置;ジャンプしたときなどの膝への衝撃を和らげる)の働きもあります。
整形外科を受診してレントゲン写真を撮影する場合、基本的には膝の三つの方向から撮影します。まず前後像と言って、膝の正面の写真です。膝蓋骨は大腿骨に重なるため大腿骨の端の方に丸く白く写ります。次に側面像と言って、膝を横から撮影したものです。スカイライン像と言って膝を曲げて撮る方法で、これによって膝蓋大腿関節の状態が分かります。変形性関節症の方の場合は、更に立ったまま状態でレントゲン写真を撮ることがあります。これによって、早期の変形性関節症が診断しやすくなります。

変形性膝関節症について

膝関節の軟骨が変性(軟骨のクッションとしての働きが低下する=軟骨がすり減ってくる)する事によって、軟骨の本来持っている機能やクッションの働きの低下が起こり、膝関節の滑膜が炎症を起こし膝関節痛が出現します。長年の膝への負担の掛かり具合で膝蓋大腿関節に変性が起こる人と、大腿脛骨関節に変性の起こる人がいます。大腿脛骨関節では変性はほとんどの場合内側に起こります。これは、人間が立位でいるときに下肢の体重が掛かる線が膝関節の中央からやや内側に通ることによります。
その他の変形性膝関節症の原因としては骨折を起こした場合や半月板損傷、靭帯断裂、離断性骨軟骨炎の最終的な状態として関節軟骨の損傷から変性を起こします。膝関節の軟骨が変性を起こし変形性膝関節症になった患者さんには、私はこのように説明しています。軟骨はつるつるの部分で膝が動くときにツルッツルッと滑るから痛くないのです。しかし、若いときからの無理が膝にかかっているとつるつるの軟骨がすり減ってきてしまいます。軟骨がすり減るとつるつるでなくなります。またひどいときは軟骨がなくなってその下にあるゴツゴツした骨がむき出しになります。そのような状態で歩くと滑りが悪いために膝に痛みが生じてきます。更に簡単に言えば、新築のふすまは
すーっと開きますが、古い家になると敷居がすり減って滑りが悪くなりスムーズに開かなくなります。これと同じ状態が膝に起きているのですとお話ししています。軟骨の変性があると、膝を動かす初期の段階で関節痛が生じます。つまり、立ったり座ったりするときや階段の上ったり降りたりするとき、和式トイレのとき、歩き始めのとき等に膝関節痛が出ます。
症状が進むと膝関節に関節液が貯留してきます。関節液が大量に溜まるとこれだけで関節はパーンと張った状態になり痛みが増し、曲げにくくなります。(この場合関節液を抜くことになりますが、皆さんは関節の水を抜くと癖になると言われます。
しかし、このようなこと全くありません。関節液を抜くと膝関節痛が楽になりいつもの通りのことをしてしまうために、そのことが負担になってまた関節液が溜まってしまうのです。これがあたかも水が溜まったのが癖になったかに感じるのです。)関節の変形が進むと関節の可動域(曲げ伸ばしの出来る角度)が減少してきます。正座が出来なくなったり、膝の関節がきちんと伸びなくなったりします。また、人によっては靭帯が緩くなったり切れたりすることで膝のぐらつきが生じる場合があります。このようになると膝の安定性が失われるために、膝の変形がどんどん進んでいきます。関節の内側に変形が起こっている人で、変形が進むとO脚歩になります。
症状と年齢、レントゲン写真で明らかに関節に変形が起きていれば診断は容易です。しかし、比較的若い壮年層で膝関節痛がある場合は、レントゲン写真のみでは軟骨の変性が分からないことがあります。場合によってはMRI(磁場によって靭帯を描出します)を撮影することがあります。特に以前外傷で膝を痛めたことがある人の場合にはMRIが有効だと思います。また、関節鏡検査(胃カメラみたいな検査で、直径5mmの筒を膝の関節の中に入れて見ます)で軟骨の損傷度合いを調べることもあります。
まずは、膝関節痛を予防することが大事だと思います。膝関節には体重の3~4倍の圧力がかかります。体重が50Kgであれば膝関節に150~200Kgかかることになり相撲の力士が乗っているようなものです。従って、肥満傾向の人はやせることが大切です。他に大腿四頭筋の筋力増強訓練をすることをおすすめします。これは仰臥位(仰向け)で寝て、膝をギュウッと伸ばして下肢をあげます。あげる目安としては踵を床から約15~20cmあげて、10ほど数えて足を降ろします。これを左右交互に行い、例えば一日3回に分けて、20回ほど行います。この運動のポイントは、あまり足を高くあげすぎないこと、両方の足を一緒にあげないこと、回数を多くするのではなく運
動を続けることです(三日坊主に終わらないように)。
他の治療としては、消炎鎮痛剤(痛み止め)の内服や消炎鎮痛剤の入った貼付剤を貼る場合があります。また、膝関節に注射をする場合があります。ヒアルロン酸製剤で、膝関節の滑動性をあげます。滑りが良くなることで痛みがやわらぎます。この薬の関節注射は続けてもあまり副作用で問題ありません。理学療法としては、膝関節の温熱療法があります。関節は冷えると痛みが強くなりますので、膝を冷やさないようにします。保温用のサポーターを使うのも一つの手段です。また、装具をつかう方法もあります。例えば、大腿脛骨関節の内側に変形がある場合(これは体重が膝の内側にかかるためで)、足の外側に厚みのある足底板と言う楔形の装具をはく方法があります。足の
外側に厚みがあるために体重が膝にかかる部分を外側に変えます。比較的外側の関節の軟骨に変性のない人には有効な方法です。
では、健闘をお祈り致します。

思い出の映画 私と長谷川一夫

私は現代を生きる者でありながら、古いものに憧れています。長谷川一夫のの映画がみたいと言う気持ちは、そこに由来するのでしょう。私がはじめて長谷川一夫を知ったのは銭形平次の映画を観た時でした。それからというもの、長谷川一夫の映画を見漁りました。
昭和三十年代から四十年代にかけて、時代劇が全盛だった頃、長谷川一夫の映画は、すでに一時代前の感じでした。当時、時代劇の王者といわれたのは東映でした。そこには中村錦之助、大川橋蔵、東千代之介らの若手スターがいました。大映にも市川雷蔵と勝新太郎がいました。錦之助、橋蔵、雷蔵が歌舞伎の出身。千代之介は日舞、勝新太郎は長唄の出身で、彼らの感覚は、長谷川一夫とは明らかに違うものでした。彼等は戦後という時代に特有な、リアリズムの感覚を身につけていたと思います。
昔、祖父からこんな話を聞いた事があります。能には能の演技があり、歌舞伎には歌舞伎の演技がある。新国劇には新国劇、映画には映画、テレビにはテレビの演技がある。どれがよいということはない。大正から昭和に変わる頃、長谷川一夫は林長二郎として映画界に入りました。映画は目玉の松ちゃん、阪妻らの活躍で全国に広まったものの、歌舞伎に比べれば、まだ活動写真と呼ばれ、社会的地位は低いものでした。歌舞伎は板の上で芝居をする。映画は土の上で芝居をする。歌舞伎から出て映画に行った者など、土くさくて二度と舞台には戻れないというのでした。映画俳優として松竹に所属し、東京暮らしをしてからも関西を忘れず、映画の撮影は東京と京都を往復すること
をつとめていました。彼の人生を考えてみる時。京都風の柔らかな外見に隠された、底知れぬ強さは、そこから生まれたのかもしれません。
銭形平次役を演じたのは、嵐寛寿郎、長谷川一夫、里見浩太郎、大川橋蔵などたくさんがいますが、極めつけは、やっぱり長谷川一夫でしょうね。彼は平次を演るにあたって、十手を三本持っていました。歩いている時の十手は短めで歩きやすい物。抜く時では長く格好いい物。アップの時では本物の刃のついた物。この三本をうまく使い分けていました。あの投げ銭はかつての名投手・別所や金田のフォームを研究したというし、十手さばきは長嶋のフォームにヒントを得たとか。そういや野球も目明かしもどっちも捕り物ですよね。このシリーズはアクション映画ではなく、事件
の解決に悩む平次、平次を思うお静、またそのお静を思いやる平次の夫婦愛の物語です。
ぜひ、一度ご覧ください。あの流し目を。