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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第136号

運動の秋です。

いままで中高年の運動は、動脈硬化が原因となって起こる生活習慣病(高血圧、心筋梗塞、糖尿病など)の予防が目的とされ、ウォーキングなどの有酸素運動が勧められてきました。しかし、これからは老後の「質の良い生活」こそ最大の目的とするべきと考えられ、その目的も動脈硬化の予防だけではなく、「筋力づくり」、「柔軟性の維持」が注目されています。ただ長生きするのではなく、寝たきりになることなく生活の質を良好に維持する体力づくりこそが目的というわけです。
年齢を重ねるごとに気になるのは、代謝がどんどん鈍くなっていくこと。増えていく体重が気になる人も、最近、どうも疲れがとれないという人も、気がつけば、代謝が悪くなっていることが原因の一つになっていることも多いのです。
運動には、大きく分けて2種類があります。100m走や重量挙げのように、「ンッ!」と息を止めて力を入れる、無酸素運動。そして、ウォーキングや水泳などのように体内に酸素を取り入れながら行う有酸素運動です。無酸素運動は瞬間的に力を使う運動で、筋肉に蓄えられたグリコーゲンを使う運動ですが、有酸素運動は体内にある体脂肪を酸素を使って燃焼させながら継続的に行う運動です。全速力で走って「ゼイゼイ」と息を切らせるような運動は無酸素運動、ゆっくり走ったり自転車をこいだりして「ハアハア」と息がはずむ、呼吸を意識するのが有酸素運動と考えて下さい。運動生理学の専門機関の調査によると運動を始めてから3カ月後には筋力が14%アップしたことが明らかにされています。一般に、中高年以降、何も運動せずに過ごしていると、筋力は1年で1%程度低下するといわれていますが、運動すれば3カ月でこんなに強化されるということは、それだけ若返ったと考えられます。「今さら運動したって」とあきらめることはないのです。筋力づくりを取り入れて、筋肉自体が鍛えられるには約2カ月かかります。しかし、筋肉や関節に「動く」指令を与える神経機能の改善は、もっと早くあらわれます。中高年の場合は神経系の反射が改善されることだけでも効果を実感できる点で、たいへん意味のあることではないかと思います。歩くことは、全身の筋肉と200以上ある関節の60~70%がまんべんなく動くことを意味する全身運動です。さらに、左脳の細胞と脚の緊張筋とは密接な関係にあり、歩かないと大脳細胞の老化は確実に早まります。ウォーキングはボケ防止の運動といわれるゆえんです。そこで、ウォーキングに筋力アップ運動を取り入れるとどうなるか--。それは、大脳細胞の活性化に加えて、人間の日常動作の基本となる脚力の衰えを防ぐことになり、寝たきりになるのえお避けられるのです。ウォーキングといっても、散歩や軽い歩行では全身の筋力アップまではいきません。そこで、通常のウォーキングに少し動きを加える工夫が必要です。特に中高年の人に鍛えて欲しいのは、肩、腰、脚の筋肉です。
まず、片足を前に出したとき、そのまま腰を少し沈める。そして、出した足のほうへ体重を移して立ち上がる。これの繰り返しです。つぎに、歩いている途中でときどき片足で立って、上半身を逆にひねる運動を反復する。最後は腕を歩行に合わせて無意識に動かすだけでなく、堅く握りこぶしを作って肘より先を左右交互に上げ下ろしする。このとき上腕に力こぶが出来るのを意識します。
これらの筋力アップ運動をウォーキングしながら行います。ただし、ウォーキングそのものは20分以上続けないと効果はありませんが、こうした運動は人の目のない時だけ数回行えばいいです。これならそんなに恥ずかしくないと思います。
では、さっそく始めましょう。がんばって!!

膝の仕組みを知っておきましょう

膝の関節は大腿骨、脛骨、腓骨、膝蓋骨の四つの骨から構成されています。しかし膝が果たさなければならない複雑な動きに対応するには、それらの骨の周囲にある骨以外の組織の存在が欠かせません。膝の骨同士のかみ合わせは浅いので、内、外側側副靭帯、前、後十字靭帯という4つの太い靭帯によって4つの骨が前後や内側や外側にずれないように支えられています。
また大腿骨と脛骨の間には、内側、外側に半月板という組織があります。これは、からだの重みが直接骨にかからないようにやわらげているクッションの役目を果たしている組織ですが、膝がおかしな方向へずれないようにしたり、関節の潤滑をよくしたりする働きもしているのです。実際に足を動かすには色々な筋肉の助けが必要ですが、膝蓋骨を介して脛骨につながっている筋肉で、膝を伸ばす大腿前方の大腿四頭筋や膝を曲げる大腿後方の大腿二頭筋はとくに重要です。
人間の脚は股関節が左右である程度離れているのに対して、足首で両足の関節が体の中心に寄っているため、膝関節を前から見ると正常な膝でも少し外側に曲がっています。日本人に多いO脚は膝の内側に余分に負担がかかるため、変形性膝関節症を起こしやすくなるのです。
骨と骨の接する部分は、厚さ2~4ミリの白くて光沢のある関節軟骨という柔らかい組織で覆われています。また関節内は、潤滑をよくするために2~3ミリリットルの潤滑液で満たされいます。これらの働きで骨と骨との摩擦が緩和されスムーズに動くことができるのです。私たちは常に膝に負担をかける生活をしていますから、年とともに関節の軟骨はどうしてもすり減っていくものですが、O脚、肥満や姿勢の悪さが膝の変性を促進してしまいますので注意が必要です。軟骨は年をとると含まれる水分が減り、古くなった消しゴムのように硬くなり弾力を失っていきます。すると軟骨は膝にかかる負担を吸収するクッションの役割を十分に果せなくなり、負担がかかるたびに徐々にすり減ってしまうのです。また、年齢とともに大腿部の筋肉が衰えてくることも、膝にかかる負担を増やす原因です。病状が進行すると軟骨だけでなく、半月板にも変性が生じ、膝の骨も変形してきてしまいます。
初期症状は、歩き出そうとしたり、椅子から立ち上がろうとした時などの動作の始まりに痛みを感じることです。膝がこわばるような感じや、膝の後ろがつる感じも起こります。症状が進行すると階段の昇り降り、特に降りる際に痛みを強く感じるようになり、長い距離は休み休みでないと歩けなくなります。走れない、正座ができない、関節に水が溜まるという症状があらわれ、更に重症になると足を引きずったり、杖なしでは歩けなくなります。

思い出の映画  私は貝になりたい

太平洋戦争、高知県で妻・新珠三千代と一緒に床屋を営む清水豊松・フランキー堺に召集礼状が届きます。お人よしなので非人間的な軍隊ではヘマばっかしていて上等兵に目をつけられてしまいます。ある日、豊松の部隊で米兵が捕虜になるという事件が起きます。戦意高揚のため隊長は捕虜を銃剣で刺殺するよう命じます。捕虜目がけ豊松は必死に突進します。戦後、高知に戻った豊松のところにMPと警察がやって来て、豊松は戦争犯罪人として逮捕されます。罪は捕虜虐待。豊松の判決は死刑でした。数年前テレビでリメイクされましたが、それを見て感動した人は絶対見てください。総てにおいて比較にならないくらい、映画のほうが、胸に迫るできばえです。豊松と同房になる若い将校も印象に残る役でした。妹が差し入れてくれた聖書を手にしているのでたぶんクリスチャンなんでしょうね。いつも物静かでにいろいろと世話を焼いてくれます。おそらく、ただ一人の身内である妹を残して死ななければならない彼の「嫌な時代に生まれて嫌なことをしたものです」という台詞に、私は感動してしまうのです。豊松がいよいよ処刑される日、教戒士、笠智衆がやってきます。豊松は一言も声をだしません、押し黙っています。笠智衆が豊松の肩に手を置いて慰めようとした瞬間、豊松は教戒士の体にしがみつきます。それは執念であり未練であり、そして運命に対する最後の抵抗なのです。しかし豊松の腕は静かにふりほどかれてしまいます。最後まで豊松を弁護した矢野中将が処刑されたことには疑問を抱きませんでしたが、戦地で指示をした上等兵は実行犯ではないからということで死刑を免れます。なんという矛盾だろうかと、怒りすらこみ上げてきます。
あくまでも美しく無垢な妻、父の帰りを信じて平和がおとずれた浜辺を全力で駆けて行く長男。その姿に「今度生まれてくるときは妻や子供のことを心配することもない、深い海の底の貝になりたい」というナレーションがオーバーラップします。
戦争が個人の幸福をいかに残酷に略奪するのか、この映画はじっくりと語りかけてきます。
皆さんと一緒にこの映画を観る機会を作りたいと思います。