香川県高松市での整形外科・内科・健康診断・予防接種は吉峰病院へ。

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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第134号

人の一生、骨の一生

人の一生はいつからはじまるのでしょうか。それは母親のお腹にいるときからはじまるのです。骨量の一生を考えるとき、胎児の時期が最も重要な時期の一つです。赤ちゃんの骨をつくるためには30~50g/日のカルシウムが必要で、成人のカルシウム所要量が0.6g/日であることからすると、大変なカルシウム量が必要になるのです。もし、母親が妊娠中にカルシウムをまったく摂取しなかったとしたら、赤ちゃんに必要な30~50gのカルシウムは、母親の骨から溶けだして供給されることになります。不足分はその母親の骨に貯蔵してあるカルシウムで補うことになり、骨からはカルシウムが失われる結果になります。これは非常に大変な問題で、特に自分の母親が骨折したり腰が曲がったりしている妊婦の場合、十分にカルシウムを摂取する必要があります。成人では体内にカルシウムが約1kgありますが、その99%は骨に蓄えられています。厚生省の『日本人の栄養所要量』では、妊婦のカルシウム摂取は0.9g/日となっていますが、外国人では1.5g/日で日本より多く摂取する必要があるとされています。次に出産後の問題ですが、新生児は、体重がすくないと、生まれたときから骨密度に問題をかかえていると考えられます。未熟児はすべて骨量減少症になっていて、そうした未熟児は、1歳になっても2歳になっても他の子の骨量に追いつくことができない。骨粗鬆症のはじまりは赤ちゃんにある、という報告が見られます。その為か、昔より子どもの骨折率が増えていると思われます。厚生省の『小児の骨発育と骨障害に関する研究班』によって、膨大な人数の男女を対象に日本人の骨塩量の一生が調査されました。その結果、保育園の幼児から高校生までの骨を調べたデータによると、骨折する園児、学童、生徒の絶対数が増えているだけでなく、骨折率も増えていることがわかりました。しかも骨折した子どもの骨塩量を測定すると、骨塩量が低い子どもに骨折率が高いことがわかりました。
そのため、発育期の骨塩量を増加させる事が重要視されるようになってきました。また、老年期の骨塩量の低下のスピードに比べ、思春期の骨塩量増加のスピードが3倍も上回ることからも、発育期・思春期こそ骨を増やすのに効果的な時期であることが認識されてきました。本来、骨塩量が急激に増えなければならない時期に骨塩量が増えないと、将来は骨粗鬆症になります。若い時期に骨塩量が増えない原因は、一般的にはカルシウム摂取量の不足が考えられます。朝飯抜き、ダイエットなどが増えていることも無関係ではありません。これらはいずれも骨塩量の減少につながります。普通の子どもは猛烈なスピードで骨塩量が増加しているのに、ダイエットなどでは逆に骨塩量は減少していきます。重要な発育期に骨塩量が減ってしまうと回復不可能となり、取り返しのつかないことになってしまいます。
栄養、運動が骨を増やす因子となります。これはそれらの因子がそれぞれ骨を増やすホルモンに影響を与えるからです。さらに、それらのホルモンが成長因子に影響を与え、それぞれの成長因子が骨をつくるわけです。一般的には、男性では男性ホルモン、女性では女性ホルモンが多いと骨密度が高くなります。ホルモンの分泌が少ない男女とも、骨量の少ないものが多いことがわかりました。運動すると骨が非常によく増えます。その運動は運動部の激しい運動だけではなくおだやかな運動、例えばよく歩くことも骨に良い結果をもたらします。逆に、運動量の多い女子のマラソン選手には、骨塩量の低下がみられます。
女子にとって、あまりにもハードなスポーツなので消耗が激しいことと、ハードな運動のため女性ホルモンの分泌に悪影響を及ぼすからだと考えられています。栄養の面では、カルシウムの摂取量が問題となります。現在の中学・高校生の男女とも必要量の60%しか摂取していないといわれています。わが国の厚生労働省が決めたカルシウム必要量は世界的にみると非常に少なく、例えば、日本では発育期の女子が700mg/日となっているのに対し、アメリカでは1200~1500mg/日となっています。日本の必要量はアメリカの標準の半分です。体格の違いはありますが、日本の所要量は非常に少ないといえます。しかもこの所要量さえも摂取していない日本の現状は
、深刻であるといわざるを得ません。
ところで、骨を増やすためにはカルシウムの摂取と運動とどちらが重要かとよく質問されます。アメリカで、25歳前後の女性を対象に、カルシウム摂取量を一定にして万歩計で運動量に変化をもたせたグループと、万歩計で運動量を一定にしてカルシウム摂取量を変化させたグループとに分けて調べたところ、どちらのグループの女性も骨塩量が増加していた。この実験から、骨塩量の増加には、カルシウム摂取も運動も重要であるということです。先にも述べたように、骨量を高める重要な因子である運動、栄養を組み合わせて考えることが一番大切なことなのです。
現在、骨粗鬆症の検診が盛んにおこなわれるようにりましたが、骨粗鬆症の検診は小学生のときに行うのが最も大切なのです。小学生のときに検診を受け、その結果、骨塩量が低いとわかった子どもは、カルシウムを多く摂取し、よく運動をするなど環境を整え、10年ぐらいの間に骨塩量を増やすように努力すべきです。これが骨粗鬆症の最良の予防法だといえます。
人の一生と骨量の一生を考えた骨粗鬆症予防を進めていくことが、これからの社会に求められています。
このことから当院では、若年者の骨粗鬆症問題に真剣に取り組むチームづくりを考えています。
今後、皆様にアンケート等にてお願いをする事があるかも解りませんがその時はご協力ください。

思い出の映画 日本沈没

最近、台風、高潮、地震のニュースが毎日のように報道されています。被災者の不安・恐怖感は想像を絶するものがあります。こういう記事に接すると「日本沈没」という映画が脳裏をよぎります。地震多発国日本の宿命なのか。いったいこれからどうなる?。もしも、これが現実の出来事だったら、僕はどうするだろう。多分、ひどく絶望しながらも、生きる道を選ぶと思います。僕は、日本人であり、地球人。故郷「日本」が海に沈み無くなっても、生きる事を選んだ人々は、形容しがたい悲しみにくれながら、文化や風習の全く違った所で、故郷のない難民として生きてゆく事になるだろう。
日頃私は、自分が日本人だと特に意識しない。自分が日本人である事、山々の緑、しっかりと揺るぎない大地、青い海、それらは当り前のことだ。いつも見慣れた風景に感動することも、平和で静かな大地に感謝することもしない。もし平和が壊されるとすれば、「日本沈没」よりも、むしろ「戦争」の恐れが強いのではないだろうか。しかし、それさえも、この国で起こるはずがないと思い込んでしまっている。だから、なおさら「日本沈没」など、想像もしない。しかし、現実には、異常気象、地震などが頻回に起こっています。何十年か先には、日本の地形が少し変化しているかもしれない。
小松左京のSF推理小説「日本沈没」を八甲田山の森谷司郎が映画化し好評を博しました。日本列島は太平洋プレートとユーラシアプレート、フィリピンプレートが互いにぶっつかり合うその真上に乗っている。映画ではそのプレートの動きが著しくなり、日本海溝が異常に沈下して、そのため日本列島が沈没の可能性が出てきたという設定で始まります。日本各地で激しい地震活動が頻発し、地割れや山崩れ、今まで静かだった山がいたるところで溶岩を噴出し、噴火を起こす。そして、とうとう運命の日が来て日本列島はまるで巨大客船が傾きながら沈むように、海の底に沈んでいく。大筋はそういう内容の物語です。
日本人は過去、さまざまな幸不幸を味わってきた。今では繁栄と豊かさの中につかりきっている。しかし、日本が地震列島であるという現実と、それに対応する政治的、社会的システムが、いまだに無力であるという状況に変わりはない。これから起こるかもしれない災厄に、日本人が対決するときの参考になれば。これが監督の意図でしょう。僕は、主人公の田所博士になぜか心引かれました。風変わりで、社会的地位や名声に何の執着もない人。日本では受け入れられにくい学者。しかし、彼ほど日本を愛している人はいなかったでしょう。