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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第119号

腰痛は宿命なのか

重力のある地球上を直立二足歩行する人間にとって、腰痛は宿命的なものです。ご存じのように背骨は横から見ると真直ぐではなく、S字形にカーブしています。それが力学的に強い構造になっているのです。しかし、24時間常に背骨をまっすぐにしているわけではありませんから、特別な背骨の病気がなくても、ふとした日常的な動作から予期せぬ腰痛に見舞われることがあります。俗に言う「ぎっくり腰」です。欧米では「魔女の一撃」と呼ばれています。
特に朝、起こる事が多く、要注意です。まだ体が寝ている状態なので、動作が鈍く腰に負担をかけてしまいます。布団やベッドから起きあがるときは危険です。朝目が覚めたら、できたらベッドのなかでしばらく様子をうかがい、ぱっちりと目が覚めてから、おもむろに起きあがるのがいいでしょう。洗面の時、腰を前にかがめますが、この時にギクッとくるケースも多いです。洗面の時は、少し膝を曲げ、背骨のS字カーブをくずさないようにして顔を洗いましょう。スクワットの姿勢です。また、物を取ったり持ったりする動作で(特に重い物を持たなくても)、腰が前かがみになった時などに、よくぎっくり腰になります。物を持ち上げるときは、膝を曲げ、腰を落として、荷物は体の近くで、背骨はなるべくまっすぐにして持ち上げましょう。また、重い物を持ち上げるときは、できたら多人数で協力し合って持ち上げましょう。人は一人では生きていけません。
長時間座った姿勢(たとえそれがどんなに良い姿勢であっても)など、同じ姿勢を続けるのも腰にはよくありません。腰の筋肉が長時間つっぱった状態になります。また、座った状態では、腰の椎間板(背骨のクッション)にかかる圧力が、まっすぐ立った状態に比べて1.5倍かかると言われています。電車の中では乗客は競って座席に座ろうとしますが、立っている方がかえって腰への負担が少なく、また脚の筋力トレーニングにもなります。(しかし、やっぱり座った方が本が読みやすいし、だいいち居眠りできますね...)
肥満も腰痛の原因になります。おなかが出ると腰椎の前方に数kgのおもりをしょっているのと同じで、腰椎の負担が増えます。、肥満の解消・予防に努めましょう。以上は主に「姿勢」のことについて述べましたが、もう一つ、腰のまわりの筋肉、特に「腹筋」が大事です。腰を痛めた時、コルセットを腰のまわりに巻くと腰痛が楽になりますが、腹筋は生まれ持ったコルセットです。腹筋を鍛えましょう。腹筋を鍛えるというと、特別な体操を思い浮かべる方が多いと思いますが、座った状態でも、おなかに力を入れてやるだけで、これは立派な腹筋の体操(等尺運動)になります。これならいつでもできます。(ただし、おならが出ないように気をつけましょう。)
人間は歩く動物です。二日に一度は早足で20分以上歩きましょう。特別なスポーツは興味や動機づけがなければ長続きせず、週に一度のスポーツは、しないよりはましですが、健康にはあまり寄与しません。一週間のうちに、向上した「体力」(持久力・瞬発力)が元に戻るからです。また、一週間に一度、体をスポーツ傷害の危険にさらすことになります。一週間に一度スポーツをしているからといって、健康に特別に良いことをしていると思わない方がいいと思います。
腰の椎間板は、20歳頃から「老化現象」をおこし始めますが、曲げられたり捻られたりするのに弱いと言われています。テニスはゴルフと同様、腰を曲げて捻る動作をしますが、腰痛をおこしやすい人や既におこしている人には不向きなように思われます。また、テニスは片腕だけを使うので、両側の胸郭出口症候群の患者様にとっては良いスポーツだとは思われません。(でも、スポーツをして汗を流すのは良いことです。もし興味を持ってテニスをしているのなら、お続けください。)腰痛は、脊椎の病気だけでなく、ときには膵臓・肝臓等の内科の病気、尿管結石等の泌尿器科の病気、婦人科の病気などの一症状として現れることがあります。「腰痛」の気になる方は、他科の診察を受けておきましょう。

肩凝りも宿命か

肩こりは、僧帽筋という筋肉に起こります。この筋肉は、上部は後頭部、外側は肩、下部は肩甲骨の内側まであり、その形状から僧帽筋と呼ばれています。肩こりは、この筋肉がつっぱる姿勢を長時間続けると生じます。なお、なで肩の人は肩こりが起こりやすくなります。
一般的には、肩こりは職業病として起こることが多く、事務作業・パソコンの操作・手作業・炊事・裁縫・編み物・読書・テレビ鑑賞・ゲームなど、腕をダラッとさせ首が前屈みになった姿勢を長時間続けると、生じやすくなります。運動不足(による筋力低下)や、精神的ストレスは肩こりを助長します。肩こりは、まず予防が大事で、特に仕事中の姿勢が重要になります。首が前屈みになる姿勢、腕(肘)が浮いた姿勢はよくありません。また、どんなに良い姿勢でも、同じ姿勢を長時間続けると肩が凝ります。しょっちゅう姿勢を変えてみましょう。そして、30分に一度程度は席を立ち、腕や肩の体操をしましょう。
運動不足も肩こりにはよくありません。ご自分のライフスタイルにあった運動を続けることが重要です。可能な人は週に2~3回、運動をして汗を流すことをお勧めします。朝の散歩も効果があります。隔日でいいですから、大きく手を振って早歩きで20分前後歩きましょう。
肥満も肩こりの原因になることがあります。おなかが出ていると、その代償として首が前屈みになりやすく、その結果肩こりが出やすくなります。肥満の解消にも努めましょう。ときには肩こりは、脊椎の病気、肝臓・膵臓の病気、心臓や肺の病気などの一症状として生じることがあります。頑固な肩こりでお悩みの方は、一度、内科等を受診した方がいいでしょう。

グレゴリ-ペックに捧ぐ

名優グレゴリ-ペックの悲報が伝えられました。今回は彼の出演した名画をご紹介し、冥福を祈りましょう。

アラバマ物語

ピューリッツァ賞を受賞したH・リーの『ものまね鳥を殺すには』を「サンセット物語」や「レッド・ムーン」などの社会派ドラマを多く手掛けたパクラ=マリガンのコンビが映画化した名作です。不況の風吹く1932年、南部のアラバマ州。幼い息子と娘を抱える弁護士フィンチに、暴行事件で訴えられた黒人トムの弁護の任が下る。だが偏見根強い町の人々は黒人側に付いたフィンチに冷たく当たるのだった......。映画はフィンチの子供たちを通して、父親の苦難や町の横暴を極めて客観的に描く事に成功しており、問題意識を振りかざさず、しんみりと心に染み入らせるものになっています。ペックは心強い父親像を出しており、アカデミーの主演男優賞に輝きました。黒人弁護のストーリーと並行して、近所に住む精神障害者と子供たちの関係も描出され、これが物語の終息で融合し、映画に深い余韻を持たせています。冒頭のノスタルジックな雰囲気を感じさせる、エルマー・バーンスタインのピアノの音色とクレジットの映像は、この作品が子供の目から見た物語であることを予感させ、ここの部分の音楽とバックの映像の動きは大変印象的になっています。そして、スカウトの独白をバックとした、どこか寂れた田舎町の描写は、白黒映像にも関わらず、物語の舞台の空気感や熱気が伝わってきます。演出は、妻を亡くした弁護士アティカス・フィンチの2人の子供達(兄=ジェム、妹=スカウト)の日常風景を基調としながら、彼らの世界を中心に物語は描かれていき、本作品は、アメリカ南部における黒人差別という大きなテーマがあるが、これらのシーンの描写も、子供達の目線を通した父親の姿、といった演出によって、社会的主張よりも、あくまで子供達の成長と父親の存在感を感じさせます。逆にそのことによって、黒人家族達の存在がぐっと心に響いてきます。どんな大人の理論よりも、人々の生きる現実に出会い、発見し、考え、そして教えられていく子供達の姿の方が心打たれます。弁護士アティカスを演じたグレゴリー・ペックは、心の奥に秘めた正義感や現実を冷静に判断する懐の深さを感じさせ、そして、台詞を話す際の表情にそれ程大きな変化を付けてはいませんが、子供達と接する姿からは、兄と妹の各々で微妙に存在感に抑揚を付けている様に感じました。特に終幕における、スカウトが「ブー」に向かって語りかける台詞とバックの音楽を始めとする演出の見事な融合は大変感動的でした。
また、スカウトの独白をバックにした、父と娘の描写も素晴らしく、映画が終わりを迎えたとしても、いつまでもいつまでもこの情景が続いていくであろうことを、心地良い余韻と共に観る者に暖かく感じさせてくれる。
いずれにしても、父親を演じたグレゴリー・ペックの演技は素晴らしく、主演男優賞受賞は当然でしょう。
本作品は1962年度のアカデミー賞各賞の候補になれましたが、本作品が現在公開されたとしたら、間違いなく作品賞を受賞するに値する、優れた作品だと思います。ちなみに1962年度のアカデミー作品賞は「アラビアのロレンス」です。