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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第115号

「宇宙からの贈りもの」

コロンビア号の爆発事故に大ショック!
日曜日の朝起きたら、テレビもラジオもスペースシャトル「コロンビア号」の事故の話題ばかり。カメラの目の前でバラバラに飛び散っていくシャトルの映像は、無惨としか言いようがありませんでした。チャレンジャー号の事故が離陸直後で、今回の事故が着陸前のできごと。やはり航空機は、離陸と着陸時にもっともリスクの高い乗り物のようです。ところで今回の事故のニュースを見聞きして、「スペースシャトルは何をしていたの?」と思った人は多いのではないでしょうか。最近はスペースシャトルが宇宙に行くだけではなかなかニュースにならず、日本人飛行士が搭乗した時か、事故の時ぐらいしかニュースにならないのです。かつて世界中を熱狂させた宇宙開発も、最近はすっかり地味な扱いを受けています。
日本人宇宙飛行士の毛利衛さんは、今回事故でなくなった飛行士たちと親交があったそうです。毛利さんの書いた本を読めば、今人類が宇宙で何をやろうとしているのかが少しわかるかもしれません。それにしても、宇宙飛行士の仕事は今も命がけなのですね。

宇宙で生まれた新技術

宇宙への進出は、未知の世界への挑戦であり、常に新しい技術が必要となります。米航空宇宙局(NASA)は、宇宙への壮大なチャレンジのために、新しい技術をつぎつぎと開発してきました。
これらの技術は、単に宇宙開発だけで終わらずに、私たちの生活の、さまざまな場面で役立てられています。たとえば医療機器や照明装置などで使われるレーザー技術は、アポロ計画のとき、地球と月の距離を正確に測定するために生まれた技術でした。
また、スペースシャトルの宇宙服の技術の応用からは、感染物質を扱う時に使用されています。また、スペース・シャトルの通信システムとして開発されたものに体内に埋め込むペースメーカーがあります。さらに、コンピュータの高性能化、小型化は、宇宙開発で生まれたIC(集積回路)のおかげです。このように、宇宙開発の過程で生みだされた新技術は、私たちの日常に数多く見ることができます。今後、これらの技術はさらにスピンオフされて新技術を生み、地球環境問題、医療への対応にますます活用されるでしょう。
スペースシャトルでの実験も医学の発展に貢献しています。現在の整形外科で使われている材料は金属、高分子、セラミックスにわけられます。金属は他の物に比べて強くタフさに優れており生体材料として現在幅広く使われています。プレート、クリップ、人工関節、ワイヤーなどに使われています。生体用材料に必要な特性は安全性、耐食性、耐久性、親水性です。体内に埋め込まれる材料が必要な時間、生体に害を与えることがなく、その機能を十分に発揮することが重要です。体内の特徴は腐食性の過環境、また骨荷重が繰り返しかかることにあります。体内で溶け出した金属は時には生体に毒性をしめすことがあります。荷重に関しては一日に5000歩歩くとすると20年間ですと大体4000万回の繰り返し荷重がかかることになります。そのために磨耗したり、金属疲労を起こし、破損したりすることがあります。

なぜ腐食するのでしょうか。

体内はアミノ酸、たんぱく質などによって0.9%食塩水に近い状態になっています。そのためにマクメテージが活性酸素を産生し、その中の過酸化水素水が細胞膜を通り、金属イオンと金属イオンの間に入り込み、被膜を溶かし、金属が腐食してしまいます。体内で溶けた金属イオンは酸化物を形成しそれが臓器に付着しアレルギー、癌、奇形の原因になるといわれています。そのために現在はクローム、ニッケル、などは使われなくなり、チタンが主流になってきています。しかしそのチタンも純度がまた高くないとアレルギー反応をおこす危険があると疑われています。出来るだけ純度の高い生体材料が必要になります。真空の場所、無重力での合成が行われれば更に純度が高くなり危険性も少なくなってきます。

金属疲労について

金属疲労が問題になるのは歩くたびに繰り返し荷重がかかる人工関節、プレートです。人工関節のように硬い材料と柔らかい材料の組み合わせではやわらかい材料が磨耗します。が時として硬い材料も磨耗することがあります。これをメタローシスといわれ、現在の難題になっています。金属表面の被膜が磨耗によってなくなり、局所的に金属面が露出し、体液にふれ腐食をおこします。生体内金属は一定の力を繰り返し1000万回くわえた結果により採用されています。しかし理論上、実験上では耐久性に優れていてもこれは大気中での事であり体内のように腐食が関係してくると耐久性は低下してきます。
あたらしい材料がこれからの医学に求められています。金属アモルファス、金属系複合材料などに新しい金属系の生体材料や金属表面の性質を変える研究が宇宙開発によって行われています。期待したいと思います。

思い出の映画 『ライト・スタッフ』    

宇宙計画をテーマにした映画としては、『ライト・スタッフ』が有名です。宇宙飛行士が事故に遭う話としては、やはり『アポロ13』につきるでしょう。この映画では最後に飛行士たちが大気圏で燃え尽きず、無事地球にたどり着けるかが大きなクライマックスになっていましたが、今回のコロンビア号の事故はまさに同じ場面で起きたことになります。
宇宙開発には飛行士だけでなく、地上にいる科学者や技術者の夢が託されています。宇宙もので一番感動するのは、じつは宇宙飛行士がひとりも出てこない『遠い昔、銀河の彼方から、、』かもしれません。
人類初の有人宇宙飛行をめざす男たちをドキュメンタリー・タッチで描きアカデミー四部門に輝いた感動のドラマ。ロケットの弾道飛行に成功したアメリカは、次いで、有人宇宙ロケットを新たな目標として掲げていた。それに選ばれたのは、空軍パイロットの中でも特に優れた"ライトスタッフ"と言われる男たちであった......。ソ連との技術競争の中、危険を覚悟で人類未踏の新境地に臨む男たちと家族とのドラマを、英雄伝説的に誇張せず、しっかりとした視点で描くことにより良質の人間ドラマを生み出しています。しかし本作で一番心に残るのは、仲間たちが次々に宇宙飛行士を目指し英雄となる中、飛行機による音速飛行の限界に挑む一人のパイロットの姿で、対象は違えども、それぞれ人類の限界に挑戦し続ける開拓者たちの対比が巧妙なエッセンスとして、深い広がりを与えている。大好きである、感情移入できた、興奮した、といった類ではありませんが、バランスの良い安定した作品だと思います。
ケネディー大統領、エドサリバンショーなど実写が挿入されていますが、よくあるように嫌らしさはありません。ロケットの打ち上げなども実写だと思いますが、映画の時代設定の雰囲気をよく現しています。サムシェパードが最後に真っ黒で焦げだらけで生還した姿はホッとすると共に思わず涙が、、、。

『アポロ13』

1970年4月、月へ向けて打ち上げられたアポロ13号に爆発事故が発生します。その絶望的な状況の中、ヒューストン管制センターでは3人の乗組員を無事地球に帰すため、必死の救出作戦が展開されます。どんな困難な危機であっても、人類の英知の前に不可能がない事を知らしめた、あまりにもドラマティックな実話を遂にハリウッドが映画化。ロケット発射のスペクタクル、実際の無重力状態の中で撮影された船内シーン、T.ハンクスを始めとする充実の役者陣(特に地上サイドの責任者E・ハリスと置いてけぼりをくったG.シニーズが素晴らしい)、と見るべき所は多い作品であるが、全体的には今ひとつ不完全燃焼の感があります。クライマックスのの演出など、あざといほどに上手いのだが、実話という事を意識し過ぎたか、R.ハワードの演出は案外と控え目なものになっています。次々と続出するトラブルの"原因"と"解決策"の処理も、もっと観客に状況を理解させようとしてもよかったような気がします。
今回のコロンビアの事故がどうしても頭からはなれません。そういう気持ちで観ているせいでしょうか。人類月へ立つ(NHK-TVで放映された)とアポロ13の宇宙シーンは全て航空機の弾道飛行による微小重力場で行っています。一回の飛行で20~40秒しか取れず、宇宙シーン全体では弾道飛行600回を超えたらしい。大変だったと思います。NASAの全面協力がなければ完成しなかった映画です。事実を元にした映画なので、結果がどうなるのかわかっているのに、最後のシーンでは思わず泣いてしまいました。
科学技術が世界を幸福にすると皆が信じていた夢のある時代の感動的な人間ドラマです。宇宙開発に関しては、日本人も飛ぶ時代ですが、夢をのせていた一時代があったと思いますが、今後どこへ行くのでしょうか、そんなことを空想しながら映画を見終わりました。
この二本とも多少長い映画ではありますが、実話をもとにしていますのでSFといわれる映画よりも身につまされる思いがします。