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コスモス新聞

コスモス新聞 病院からのお知らせ、ちょっとしたエピソード、医療に関するお話、患者様よりお寄せ頂いたメッセージ、思い出の映画など情報満載です。

コスモス新聞第112号

ダイエットに挑戦

ダイエットは関節の悪い方には、けっこう大変です。まず、関節の痛みがあり、運動でカロリーを消費するというのがなかなか難しく、そして、たいてい中高令者の多くの人は、今まで習慣としてきた食生活を急に変えることが困難になるのです。
しかし、減量のために固い決意をしたとして、減量をシミュレーションしてみましょう。まず、運動でカロリーを消費することを想定してみます。体重70Kgの人が、5kmウォーキングしたとしますと70×5=約350カロリーの消費となります。歩行のスピードに関係なく、体重(kg)×歩行距離(km)が消費カロリーになります。(これで体脂肪が約35g減ります。)
しかし、これだけ努力しても、このカロリーはショートケーキ約1個分です。労多くして、得る物はわずかです。これならショートケーキ1個を食べない方が簡単です。肥満の方は、たいてい「私は全然食べないのに太ります。」といいます。しかし、これは単なる言い逃れにすぎません。飢餓の国の人々の写真を時々見かけますが、彼らは皆やせています。食べないのに太る人はいません。肥満の人は消費カロリーに比べて、摂取カロリーがオーバーしています。摂取カロリーを減らすのが、減量のための最も合理的、経済的、現実的な方法です。
次に、食事の質から考えてみますと、糖質は 1g=約3カロリー脂質は 1g=約10カロリーです。よく、太らないようにおかずだけ食べて、ご飯を残す人をみかけますが、トンカツやコロッケを食べて、ご飯を残すのは善くないことです。残すべきはトンカツやコロッケの衣であって、ご飯ではありません。揚げ物の衣には油がしみこんでいて、たとえば油が10gしみこんでいたとすると、この油だけで約100カロリーもあります。これだけでご飯茶碗約半分に相当します。
昔ながらの日本食は、ご飯、野菜、みそ汁、魚などですが、このような日本食はたいへんヘルシーです。カロリーが少なく(脂肪分が少なく)栄養のバランスがとれています。ただし、塩分をとりすぎになりがちです。本当は、玄米・米・麦のミックスご飯に、納豆、低脂肪乳を主食にするといいです。昔流にいうと、麦ご飯に納豆、脱脂粉乳です。かなり質素です。あとは野菜、みそ汁、魚などです。ご飯など粒状のまま穀物を食べることを粒食、パンなどのように一度粉にして調理して食べることを粉食といいますが、粒食のほうが粉食より食べた後の血糖値の上昇が緩やかで、糖尿病になりにくいといわれています。玄米など、固い穀物の方が血糖値の上昇はより緩やかです。
なお、仕事をしているといやが上にも、つきあいなどで月に数回はごちそうを食べてしまいますが、普段質素な食事をしていると、たまにごちそうを食べると、とてもおいしく感じられます。
肥満の方の食事を見ていますと、脂肪分・糖質をとりすぎています。毎日こういった食事をしていると、こってりした物、甘い物を十分食べないと満腹感が得られないようになっています。
長年続けてきた食生活を変えるのは大変です。しかし、日本人は少し前まではたいてい貧しく、食事も質素でした。今の中高年世代も、少しはその時の記憶があるはずです。動物性脂肪の少ない昔ながらの日本食を食べましょう。ただし、塩分のとりすぎに注意しましょう。(高血圧・脳卒中の予防のため)よく見かける誤ったダイエット法の一つが、朝食を抜くなどの食事の回数を減らすことです。これは逆です。1日のカロリー量が同じだと仮定すると、食事回数を増やして食べる方が太りにくいのです。ボディビルをする人は体脂肪を付けないために、1日6食にしています。
また朝食はエネルギーとして消費されますから、しっかり食べても大丈夫です。夕食は食べ過ぎると体に蓄えられるだけなので、少な目に低脂肪・高蛋白にしましょう。夕食は、刺身、冷や奴など酒の肴程度で十分です。それから、早食いの人もカロリー過多になりがちです。これは、食事を始めて血糖値が上昇し満腹感が得られるまで約20分かかりますが、それまでは空腹感と本能のおもむくがままに、いくらでも食べてしまいがちだからです。食事はよくかんで、楽しくお話でもしながら、ゆっくり召し上がってください。
1日に必要な摂取カロリーは、年齢・性・身長・生活様式などで変わります。中高年のあまり運動しない女性の場合は、だいたい1600~1800カロリーもとれば十分でしょう。

現実的な正しい減量法

食事
1.昔ながらの日本食を食べる
2.3食をしっかり食べる(特に朝食)
3.よくかんでゆっくり食べる
運動
歩ける人は、2日に1回は、約20分ほど(早歩きで)散歩しましょう。健康な人は安易にエレベーターを使わずに、階段を利用しましょう。これは省エネにもなります。また、面倒がらずに体を動かしましょう。「おい、お茶」、「お箸」はだめです。それぐらいは自分でしましょう。これなら実現可能な運動です。
人はどうしても「ごちそう」、「楽な生き方」に流されてしまいます。「より豊かに、より便利に」、これが人類の近代文明、経済成長をもたらした源です。ごちそうを食べながら、テレビのリモコンを操作している姿は、その典型です。しかし豊かになって、ごちそうを食べ、自動車に乗るのが人類の幸福なのでしょうか。結果的に生活習慣病になり悩んでいる人を多く経験します。
人の本来あるべき姿、それを考えることが減量の第一歩です。そして、これは地球温暖化防止にもつながる考え方ではないでしょうか。

古き善き名作邦画 小津安二郎を観る

東京物語
日本映画を代表する傑作の1本。巨匠・小津安二郎監督が、戦後変わりつつある家族の関係をテーマに人間の生と死までをも見つめたシリアスなドラマです。
故郷の尾道から20年ぶりに東京へ出てきた老夫婦。成人した子どもたちの家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯だった。唯一、戦死した次男の未亡人だけが皮肉にも優しい心遣いを示すのだった......。いまでは失われつつある思いやりや慎ましさといった"日本のこころ"とでもいうべきものを原節子が演じている。家でひとりたたずむ笠智衆を捉えたショットは映画史上に残る名ラスト・シーンのひとつ。具体的に何がよいのか簡単には説明ができないくらい、生涯忘れることのできない作品のひとつです。これほど親子の断絶の関係をさりげなく、そして厳しく描いた作品も稀だと思います。特に母親危篤の知らせを受けた長男が縁側から犬を呼び寄せて可愛がるシーン、喪服を持っていくことを何の感傷もなく言ってのける長女の姿には、悪意がないだけにより胸に突き刺さります。
いわば「他人」の次男の嫁(原節子)と若く潔癖な末娘(香川京子)のラスト近くのやり取りに救われる思いがします。小津っぽさという点で見れば異色なくらい重くドラマティックな物語ですが、それにしても画面の見事さ、各役者の見事な台詞まわし、全てのショット、全ての音、全ての動きが奇跡的な美しさを誇っていると思います。

秋日和
小津監督のカラー作品の中で、最も充実した作品だと思います。
原節子演じる旧友の未亡人の再婚話と司葉子演じる未亡人の娘の縁談とを描いた作品ですが、何より旧友の同級生を演じた佐分利信、北竜二、中村伸郎のトリオの掛け合いが楽しい。また、バックの音楽も軽妙でテンポがよく心地良い。
岡田茉莉子のシャキシャキっとしたすし屋の娘も可愛らしい。また、佐田啓二演じるサラリーマンも爽やかできちっとした印象。小津監督は、若い女性の縁談を描いた作品が多い。これらどの作品でも小津監督の視点が感じられます。こういう世界を観ると、今の日本は余りにかけ離れているように感じます。それにしても、小津作品は美しい。

麦秋  
ここは、映画の中の小津世界にどっぶりとつかりたい。
戦争の傷跡、南方で行方不明のままの次男の存在が良いアクセントになっています。母親・東山千栄子が未だに復員を待っていることを告げるシーンの次のカットで空にはためく鯉のぼりが繋がれる部分は思わず泪がこみあげてきます。或いは、佐野周二の曖昧な存在も面白い。恋愛沙汰として絡むわけではないが、原節子とも淡島千景とも微妙な関係が見え隠れする。人情の複雑さの表現ということでは、原節子が嫁に来ても良いと云っているという話を杉村春子から聞いた後の二本柳寛の表情の曖昧さも忘れがたい。また、高徳院の鎌倉大仏、原節子と三宅邦子が会話する砂浜のカット、ラストの奈良の麦畑を横移動したカットなど視覚的な力強い画面です。小津のカットの特徴はローアングル、フィクスであることは間違いではないですが、ローアングル、フィクスだけの演出家ではないことがようく判ります。この『麦秋』でも印象的な小さな移動撮影が思いの外多くみられます。特に大和のお爺さん・高堂国典と一緒に観劇するシーンの後の、無人の劇場のカットとその直後の誰もいない家の中のカットが共に移動カットで繋がれる部分にはびっくりしてしまいました。
秋刀魚の味、小早川家の秋、浮草、彼岸花、お茶漬の味、晩春、父ありき、戸田家の兄妹などまだまだたくさんあります。この機会にぜひビデオででも観てみませんか。古き善き日本が見えてきます。